2013年12月27日金曜日

福島の「いま」を見る・考える・・・旅(2)

 Jビレッジをあとにして、楢葉町に入った私たちは、宝鏡寺に向いました。600年の歴史を持つ古刹「宝鏡寺」の住職・早川篤雄さんは40年以上も地元で反原発の運動をされてきましたが、恐れていた原発事故が現実のものとなってしまい、お寺のご本尊様を持ち携えていわき市で避難生活をしています。当日、お寺に住職はいませんでしたが、原発事故の完全賠償をさせる会の佐藤さんに境内を案内してもらいました。楢葉町は2012年8月に警戒区域を解除され避難指示解除準備区域となり、泊まれないが日中の出入りはできるようになり、現在除染作業が進められています。宝鏡寺も除染作業をしたものの、裏山から木の葉や表土が落ちてくればすぐに放射線量が上がってしまい、今は作業をしてないそうです。早川さんがかつてお孫さんとすごした田んぼには、除染作業で出た汚染廃棄物の黒い土のうが積まれていました。静かな農村をこんな姿にしてしまった原発事故の罪深さを痛いほど感じました。
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 楢葉町の北の富岡町はさらに深刻な様相を呈しています。町の北部は今後4年以上帰れない「帰還困難区域」で、放射線量が高く立ち入りができないように柵で覆われています。人口の約3割がこれにあたるといいます。その手前が4年以内の帰還を見通せるという「居住制限区域」が人口の約6割ですが、津波と放射能汚染の両方に破壊されたJR富岡駅周辺は、まったく手つかずの状態で、壊れずに残った家屋の荒廃もすすんでいます。かつては桜の名所でにぎわった夜ノ森地区は、「帰還困難区域」との境になっており、放射線量(4~5μ㏜/h)が高いため、車から降りずに窓からゴーストタウンになってしまったその様子をうかがいました。
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 暗くなる前に、来た道をもとに戻り、夜はいわき湯本温泉のホテルに泊まりました。いわき市内にはたくさんの避難者が住んでいて、先の見えない生活のなかでストレスをためていたり困難が続いています。街の様子は表面的には落ち着いているように見えても、賠償について東電との交渉をめぐる問題や津波被災者や漁師の生活再建の問題などが山積しており、避難生活者と住民とのトラブルなども一部に生じているといいます。
 2日目は、避難を余儀なくされた双葉高校、双葉翔陽高校、富岡高校が教室を借りている(サテライト校)いわき明星大学、津波で校舎1階や実習棟、体育館などが壊されて一時は小名浜高校の校舎を借りていた県立いわき海星高校を見て回りました。日曜日で人気はありませんでしたが、様々な困難を乗りこえて学ぶ高校生の姿を想像しました。
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 原発被害と津波被害の被災者を支えて、もとの生活、あるいは新しい生活ができるようになるまで、国と東電、地方行政が最善の努力を払うことを強く願います。現地を視察した私たちは、立ち遅れている現実を多くの人に知ってもらい、福島県内で住む人々の生活と健康の保障、県外に避難している人たちへの支援、原発ゼロ=エネルギー政策転換を実現するまで、声をあげ続けていきたいと思います。
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福島の「いま」を見る・考える・・・旅(1)

 12月14日~15日、全国教育文化会館で働く仲間たち9人で、福島の被災地を視察する1泊2日の旅に行きました。1日目は、福島県の南にあるいわき市から北上して、福島第一原発から10㎞に位置する富岡町まで、10人乗りのレンタカーで見て回りました。「ガイドポイント」地図にあるように、津波被害が大きかった四倉から久之浜を最初に訪れました。放射線から子どもたちを守るための屋内の遊び場、地震・津波・火事・原発事故など、いくつもの困難に襲われた商店がおこした「浜風商店街」(久之浜町商工会)が、津波と放射能被害の重さを物語っていました。http://www18.ocn.ne.jp/~hisahama/
 次に行った広野町は、福島第一原発から30㎞圏内に位置し事故当時は全町民が避難しました。2011年9月に、国は広野町の緊急時避難準備区域の解除を発表し、広野町は詳細なモニタリングに基づく除染作業やインフラの整備をすすめてきました。2012年3月には、いわき市に移転していた役場機能を広野町の本庁舎に戻して従来の業務を再開しました。しかし住民は事故当時の人口5400人のうち約2割しか戻らず、小中学校生徒もいわき市内の仮設住宅などからバスで通学しているといいます。町の北部にあるJビレッジ(福島県、東京電力、日本サッカー協会、Jリーグが共同出資して作ったスポーツ施設)は、福島原発事故収束作業にあたる労働者の集結拠点になっています。ビレッジの裏側は除染作業で出た放射能汚染物を詰めた黒い大きな土のうが集められ、広い敷地に3段に積み上げられていました。(次回に続く)
◆被災地・現地視察ガイドポイント(クリックして拡大)
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2013年12月11日水曜日

日本IBMによるロックアウト解雇を許さない

 12月4日、もう一週間前のことですが、東京・千代田区の日本教育会館で、「許すな!日本IBMのロックアウト解雇 12・4大集会が開かれ、800人が参加しました。私もその一人です。
 集会は、南部合唱団によるうたごえ、コメディアン・松本ヒロさんのオンステージで始まりました。
 そのあと、東京地評議長の伊藤潤一さんが、「日本IBM解雇撤回闘争支援全国連絡会」の結成を宣言し、「日本IBMの乱暴な解雇攻撃は、すべての労働者にかけられた攻撃」だと訴え、全国連絡会への参加を呼びかけました。全労連議長の大黒作治さんは、「どこでも、だれでも解雇できる仕組みづくり、日本IBMはその先導役である。労働組合の存在価値が問われるたたかい。勝つまでたたかいぬこう」と訴えました。JMIU委員長の生熊茂実さんは、「解雇を制限する判例法理の『整理解雇の4要件』をすり抜ける違法・脱法だ。退職強要に反対し雇用を守ってきた労働組合弱体化を狙った解雇でもある」とこの間の経過を報告しました。
 IBM支部と原告が、寸劇で争議に立ち向かう原告家族と支部のたたかいを演じ、「僕は大人になったら、お父さんのように、勇気ある人になりたい」との子どもの作文に拍手がわきおこりました。日本IBM支部委員長の大岡義久さんは「人間の尊厳を奪い、犯罪者のように扱うロックアウト解雇を許せない。紙切れ一枚で首をきられてたまるか」と、たたかう決意を表明し、「集会アピール」を満場の拍手で確認しました。
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集 会 ア ピ ー ル

 本日わたしたちは、東京・日本教育会館大ホールにおいて「許すな!日本IBMのロックアウト解雇 12・4大集会」を開催し、800人を超える仲間が参加した。集会は、日本IBMのロックアウト解雇を告発するとともに、解雇攻撃とたたかうJMIU日本IBM支部の仲間を激励し、共にたたかう決意を固めあった。
 日本IBMではいま、いわゆるロックアウト解雇が猛威をふるっている。これは、終業時間間際に、突然、上司が労働者を別室に呼び出して解雇通告を読み上げ、「私物をまとめてただちに出て行け」と命じる極めて乱暴な解雇である。会社は、「就業規則上の解雇要件に該当する」と告げるのみで具体的な理由をいっさい示さないばかりか、労働組合との事前協議も行なおうとしない。
 このようなやり方で昨年7月以降、JMIU日本IBM支部組合員だけでも26人が解雇通知を受けた。そのなかには、労働組合活動の先頭に立ってきた役員が数多く含まれ、組合活動に重大な支障が生じている。しかも、職場単位でみると、JMIU組合員が集中的に狙われている。
 JMIU日本IBM支部は日本IBMの職場における唯一の労働組合として、常に職場での雇用と権利をまもるたたかいの先頭に立って奮闘してきた。ロックアウト解雇が、リストラによる利益の極大化と、労働組合と職場労働者との分断を図り、たたかう労働組合の団結破壊と排除を目的としているのは明らかである。
 JMIU日本IBM支部では、10人の組合員が解雇の無効を訴えて裁判所に提訴するとともに、労働委員会に不当労働行為の救済申立を行うなど、解雇撤回のたたかいに立ち上がった。マスコミもいまでは、日本IBMを「国内最大のブラック企業」と呼び、この事件に注目し始めている。
 「企業が世界でもっとも活動しやすい国をめざす」として、労働規制緩和をすすめる安倍政権の目標の中心は、「解雇の自由」にある。元社長が「リストラの毒味役」と自称したように、これまでも日本IBMは、他社に先んじて新しい手法のリストラを編み出し実行してきた。ロックアウト解雇も安倍政権がたくらむ「解雇の自由」そのものであり、この暴挙にストップをかけなければ、日本国中にロックアウト解雇の嵐が吹き荒れることになるだろう。こうした攻撃は日本IBMにとどまらず、全国の労働者・労働組合にかけられたものであり、総力をあげて反撃しなければならない。
 今日結成された、私たち「日本IBM解雇撤回闘争支援全国連絡会」は、多くの労働者・労働組合の結集により、「解雇自由」をはじめとする「安倍雇用改革」に反対する人々と広く手をつなぎ、日本IBMでのロックアウト解雇阻止のために総力をあげることを呼びかける。

2013年12月4日

              許すな!日本IBMでのロックアウト解雇 12・4大集会

2013年12月7日土曜日

秘密保護法案の強行採決・成立に抗し、憲法を守り生かすたたかいを

 昨日、参議院で強行採決された「特定秘密保護法案」に対する仁比そうへい議員の反対討論は、圧巻でした。「…同僚議員のみなさん、今この瞬間も立場をこえて国会を包囲し、国のすみずみから噴き上がっている、希代の悪法・特定秘密保護法案廃案、今国会成立などもってのほかという圧倒的な国民の声がどう聞こえているのでしょうか」(中略)「安倍政権がこの世論から逃げ切ったと考えるなら大間違いであります。追いつめつめられているのは、安倍政権と暴走する与党の側であります。たとえ国会多数をたのんで強行しても、法案の施行など許さない、廃止を求める国民のたたかいは一層燃えさかることになるでしょう」と抗議し、採決されてもさらにたたかいを進める決意を表明しました。
http://youtu.be/iYN1wFKbRG4

 日本弁護士連合会は、法案成立後直ちに「特定秘密保護法の採決強行に抗議する会長声明」をだし、「同法案の採決を強行したことは、内容面・手続面いずれにおいても国民主権・民主主義の理念を踏みにじるものであり、到底容認されるものではない」と強く抗議するとともに、「当連合会では、民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道の自由の侵害、重罰化、適性評価によるプライバシー侵害のおそれをはじめとした様々な問題点が残されている同法について、引き続きこれらの問題点の克服のための活動を行っていく所存である」と頼もしい決意表明をされました。*****************************************************************
 特定秘密保護法の採決強行に抗議する会長声明

 本日、参議院本会議において特定秘密保護法案の採決が強行され、特定秘密保護法が成立した。
 同法は、国民の知る権利を侵害し、国民主権を形骸化するものである。衆議院における4党修正案によっても、官僚が恣意的に特定秘密を指定する危険性を除去する実効的な方策は規定されておらず、その危険性は何ら変わっていない。そのため、同法案に対しては、報道、研究、映画界等様々な分野から廃案を求める意見が出されてきたところである。
 ところが、国会で審議が開始されてからも、衆議院においては、政府側からの答弁に不一致や変遷が起きるなどして審議が混乱し、みんなの党及び日本維新の会からの修正案を取り入れた4党修正案についてもわずか数時間の審議で採決がなされてしまった。参議院では、衆議院で検討が不足していた論点について、十分な検討がなされるべきであったが、参考人や公述人の多くが反対意見や問題点を指摘する意見を述べたにもかかわらず、これらの意見についても十分に検討がなされないまま、短時間の審議で採決が強行された。これは、およそ重要法案の審議とはいえず、国会の存在意義を自ら否定するに等しい。
 よって、同法案の採決を強行したことは、内容面・手続面いずれにおいても国民主権・民主主義の理念を踏みにじるものであり、到底容認されるものではない。この点について強く抗議する。
 当連合会では、民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道の自由の侵害、重罰化、適性評価によるプライバシー侵害のおそれをはじめとした様々な問題点が残されている同法について、引き続きこれらの問題点の克服のための活動を行っていく所存である。あわせて、国民主権確立のために不可欠な情報公開制度・公文書管理制度の改正、特定秘密保護法の有無にかかわりなく整備されるべき秘密指定の適正化のための制度策定に向け全力を尽くし続けることを誓うものである。

                   2013年(平成25年)12月6日

                            日本弁護士連合会
                            会長 山岸 憲司

2013年12月5日木曜日

秘密保護法を参院の特別委員会で強行採決

 今日(12月5日)は、国会周辺(参院議員会館前と国会正門前など)で終日、特定秘密保護法の採決強行を許さない行動が行われました。昨日の国会包囲ヒューマンチェーン行動(6000人)に続く大規模な市民のデモンストレーションが展開され、私も参加しました。
 「秘密保護法」廃案へ!実行委員会が呼びかけた午後3時40分からの参院議員会館前の抗議行動の最中に委員会強行採決の知らせが入りました。混乱した委員会採決は、委員長の発言も聞こえず、何がどうなったのか分からないものだったということです。
 以下は毎日新聞 5日21時43分配信記事です。

 「議長!」。午後4時過ぎ、自民党の石井浩郎議員が突然、手を挙げて叫んだ。「委員長」と言うべきところを間違えたらしい。8人予定されていた質問者の7人目、宇都隆史議員(自民)の「国民に丁寧に説明すべきではないか」という質問に森雅子法案担当相が答えた直後。審議を打ち切り採決を求める動議だった。
 委員長席に野党の理事が殺到。マイクを奪って机をたたき、中川雅治委員長(自民)の発言を遮るかのように口の前に紙をかざす。自民党理事の佐藤正久議員の合図で与党議員が無言で起立した。中川氏は口を動かしたが、まったく聞こえない。午後4時7分だった。
 「何も聞こえていない。こんなのは絶対許されないぞ!」。仁比聡平議員(共産)が委員会室を退出する中川委員長の前に立ちふさがったが、一緒に出てきた多数の与党議員に押しのけられた。
 がらんとした委員会室では、民主党理事の福山哲郎議員が書類を机にたたきつけ、傍聴席に向かって叫んだ。「理事会では、今日採決なんて話は出てませんから!」~(以下省略)

 夜の抗議行動は、今まで以上に熱がこもり、次々に仕事を終えた人たちが国会に押しよせてきました。国会正門前行動での「秘密保護法絶対廃案」のコールは、ドラム隊から力をもらい、途切れることなく続きました。明日の参院本会議での採決を許さず、廃案にするための世論と行動を、もう一回り大きくしていきましょう。
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2013年12月3日火曜日

「秘密保護法」廃案へ!12・2国会前キャンドル行動

 貧困と格差の拡大、「愛国心」教育の押し付け、国家安全保障会議の設置、そして「特定秘密保護法」制定は、日本をアメリカとともに戦争する国へと作りかえるために、自民党が一貫してすすめてきた政治路線です。石破幹事長が、「秘密保護法」に反対する市民のデモを敵視して、「テロ」呼ばわりしたことは、こうした自民党の政治路線の本質をあらわにしたものです。
 今日(12月2日)午後6時から国会議員会館前で行われたキャンドル行動には、1500人が集まり、民主主義を否定する石破氏の発言と「秘密保護法」を許さないという市民の怒りが一段と強まりました。
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