2014年3月17日月曜日

メルトダウン 放射能“大量放出”の真相

 今日、NHKスペシャル「メルトダウン File.4 放射能"大量放出"の真相」を見ました。
 昨年3月10日に放送された「原子炉“冷却”の死角」に続く福島第一原発事故の検証番組です。
 それを見て私は、2号機の事故で大きな思い違いをしていたことに気付きました。3月11日に私のブログ記事「原発と東日本大震災と放射能汚染」で、「15日の午前0時2分にベントが実施され・・・」と書きましたが、実際にはベント機能が果たされなかったということです。ベントは原子炉の圧力上昇による冷却水注入困難などを解決するために、放射性物質を含む水蒸気を圧力抑制 プール(サプレッションチャンバー)から外に放出することです。2号機の建屋が無事だったのは、ベントが行われたためだと思っていましたが、そうではなく別の場所から大量の放射性物質を含む水蒸気が漏れ出したということです。
 2号機について調べ直してみると、政府の事故調査・検証委員会の報告書も、国会の事故調査委員会の報告書も、ベント機能が果たされることはなかったと考えていますが、原子力安全・保安院の報告書では、ドライウェル(原子炉格納容器)ベントが起きた可能性を指摘していました。
 検証番組では、放射性物質の大量放出を防ぐための“最終手段”と位置づけられている「ベント」の思わぬ落とし穴も明らかにされました。圧力抑制 プール(サプチャン)内の水温が上昇すると、放射性物質を含んだ水蒸気が水に戻らずに、大半がそのまま放出してしまうということです。このように福島第一原発は、いくつもの機能不全をおこして、おびただしい量の放射能をまき散らすことになったのです。
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2014年3月13日木曜日

原発と東日本大震災と放射能汚染

 今日、3・11東日本大震災から3年目をむかえました。
 私は、世界の貧困や戦争の問題を正面から取り上げているフォトジャーナリズム誌「DAYS JAPAN」の2011年1月号(2010年12月発行)の「浜岡原発 爆発は防げるか」を読んで、地震と津波によって原子力発電所に臨界事故(メルトダウン)が起きることを知り、警鐘を鳴らす必要を感じ、ブログに記事を書きました。
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2010-12-21
そして、2011年3月11日の東日本大震災によって恐れていたことが現実になってしまいました。福島第一原発は、電源喪失により原子炉の冷却が不能に陥り、翌日(12日)、1号機が水素爆発を起こし、14日には3号機、15日には4号機の原子炉建屋が爆発しました。建屋が爆発しなかった2号機でも14日の夜には炉心溶融が始まり、15日の午前0時2分にベントが実施され、6時14分に圧力制御室付近で爆発音がありました。大気中に放出された放射性物質は福島県内だけでなく関東地方にも降り注ぎましたが、政府はそのことの重大性を隠してきました。
 DAYS JAPAN 2012年6月号は、「隠される被ばくに立ち向かう」を特集しました。ETV特集「ネットワークでつくられる放射能汚染地図5」に関わったディレスターの手記、チェルノブイリ事故後の子どもたちの病と向き合ってきたベラルーシの母親からのメッセージ「わが子が甲状腺がんを宣告された日」、原爆被爆者の治療を続けてきた肥田舜太郎さんのインタビュー(聞き手・おしどりマコさん)などを掲載し、放射性物質の飛散情報が隠されていたために、半減期が8日と短いヨウ素131による被ばくの実態が把握されていない問題と危険な内部被ばくへの注意を喚起しました。
DAYS2011-12&2012-6.JPG 福島第一原発事故は現在進行中です。メルトダウンした核燃料は放射能を出し続け、核燃料棒もまた崩壊しそうな原子炉建屋のプールにあるのです。原発の再稼働をすすめる政府に対して、多くの国民が抗議の声を上げ、全国各地にある原発の廃炉を求め行動しています。放射能汚染をこれ以上広げないためには、廃炉しか道はありません。

2014年3月2日日曜日

真実から目をそらす情報操作 ~映画「フェア・ゲーム」

 少し前の映画ですが「フェア・ゲーム」(製作2010年)をDVDで観ました。イラク戦争の「大義」とされたイラクの大量破壊兵器=核兵器開発の情報への疑惑(核開発計画はなかったこと)をイラク戦争開戦前に調査して明らかにしていたCIA秘密諜報員のヴァレリー・プレイム・ウィルソン(ナオミ・ワッツ)とその夫で元大使のジョー・ウィルソン(ショーン・ペン)が、ホワイトハウスの不正とたたかいます。
 これは実際にアメリカをゆるがした“プレイム事件”を映画化したものです。ヴァレリーには2人の幼い子どもがあり、CIAエージェントとしての激務をかかえながらも、夫の協力を得て家庭を大切にして生活していました。しかし、2003年3月にイラク戦争が始まり、イラクの核開発についての情報がねつ造されたことをジョーがニューヨークタイムズ紙に投稿すると、その妻であるヴァレリーがCIA秘密諜報員であることを暴露されるといった合衆国政府からの報復を受け、見知らぬ人からの脅迫電話などによって平穏な家庭生活を壊されていきます。ホワイトハウスは誤った核開発情報によってイラク戦争をミスリードし、その疑惑から国民の目をそらすために、ヴァレリーをマスコミの餌食にしたのです。
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 アメリカの国家権力の中枢による不正を告発し、それとたたかったヴァレリーとジョーの苦闘を描いた作品がこのように映画化されたことに私は驚き、ダグ・リーマン監督とスタッフに尊敬の念を抱きました。
 DVDには、特典映像のなかにインタビューがあり、ナオミ・ワッツとダグ・リーマン監督の次に、「ヴァレリー・プレイム×ジョー・ウィルソン」が収録されており、真実を曲げずにたたかった2人の想いが語られています。
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