2012年5月3日木曜日

第83回中央メーデー ~国民生活の危機打開を!

5月1日、代々木公園で「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」をスローガンに第83回中央メーデー式典が開かれ、2万1000人が参加しました。
 野田政権が、多くの国民の反対を押し切って、消費税増税を強行しようとするなかで、今年のメーデーは、労働者、自営業者、農民の連帯をいっそう強くするものになりました。
 4月29日の早朝に関越自動車道で起きたバス激突の大惨事は、2000年、自公政権と民主党の賛成で、道路運送法が改悪され、規制緩和によって過当競争が煽られたことが背景にあります。
 競争至上主義で、労働者の賃下げと長時間・過密労働が横行するなかで、さまざまな弊害と生命の危険が生じています。労働者の生活と権利を守ることは、国民の命と暮らしを守ることと直結する問題になっています。
 また、TPP交渉参加で日本の農業が大打撃を受ければ、食糧自給率が下がり、食の安全が脅かされることになります。それは国民生活と国のあり方にかかわる大問題です。関税によって自国の農業を守ることは主権国家として当然のことです。
 野田政権の国民犠牲の政治、大企業とアメリカの利益優先の政治を止めるために、今年のメーデーが跳躍台になることを期待しています。
83rd_Mayday.jpg
******************************************************************************************************
 第83回中央メーデー宣言

 私たちは本日、労働者・国民の団結と連帯の力で第83回中央メーデーを成功させました。
 国民生活の危機、日本の危機が進行し、歴史的な転換の時期にある今こそ、メーデーの原点に立ち返り、すべての働く者が連帯と共同の力を発揮したたたかいで、くらしと雇用・仕事が安定した憲法がいきる社会をめざすことを確認しました。
 消費税増税、TPP参加を推し進めようとする野田政権の悪政との当面のたたかいや、3.11東日本大震災からの早期復興と原発ゼロにむけたとりくみに力を寄せあい、要求実現をめざす決意を固めあいました。

◇すべての労働者・国民のみなさん
 「3・11」から1年余が経過しましたが、被災地の傷跡は余りに大きく、くらしも生業も復旧にはほど遠い状況です。仮設住宅での相次ぐ孤独死、ゼネコン 主導の復興による賃金ピンハネの横行、職を求め、ハローワークに列をなす労働者-いま被災地では生活の再建とそれを支える雇用の確保が喫緊の課題です。
 原発事故が未だに収束しない福島では、16万人もの方々が故郷を追われ、多くの方々が健康と将来に不安をかかえながらの生活を強いられています。政府の対応は、災害に比して不十分で政治災害の状況です。
 こうしたもとで野田政権は、消費税率を10%に引き上げる大増税の法案を提出し、国内産業に壊滅的な打撃を与えるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定) への参加表明を行おうとしています。福島原発事故の原因が未解明な段階で、「大飯原発再稼働」を押し進めようとしています。被災者と被災地城にさらなる負 担を押し付け、その心情を顧みない悪政に、激しい怒りが沸き起っています。
 私たちは、その怒りに共鳴し、一部の大金持ちや輸出大企業の求める政治から「99%」の国民が望む政治への転換を求めます。生活危機突破の要求を高く掲げてたたかいを広げ、野田政権を追い詰めましょう。

◇すべての労働者・国民のみなさん
 2000年代を通じ、労働者の賃金は減少し続けてきました。不安定で劣悪な労働条件を強制される非正規労働者も増加し続けました。労働者の状態悪化が国 内消費を縮小させ、日本は成長しない国になりました。一部の大金持ちと大企業に富が集中し、格差と貧困が拡大し続けています。大企業が元気になっても、労 働者の雇用は安定せず、所得も増えず、地域経済も活性化しませんでした。国や地方自治体の財政も悪化の一途です。
 いま必要なのは、デフレ・スパイラル=負の連鎖を止め、内需中心の経済に転換させることです。賃上げと雇用の安定、適正な下請け単価の支払いのための規 制を強めます。被災者本位の震災復興に全力を挙げ、年金、医療などの社会保障を充実するなど、労働者・国民の懐をあたためる施策を大胆に進めることです。 巨額な内部留保をため込む大企業などに応分の負担を求め、軍事費などの無駄を削減して内需拡大の財源を確保することです。
 今の生活を守り、明日の日本社会に希望をつなぐたたかいに立ち上がりましょう。
 大阪・維新の会による憲法違反・競争主義強化の二条例制定や組合攻撃など、憲法をないがしろにする逆流とのたたかいを強めましょう。

◇すべての労働者・国民のみなさん
 日本でも世界でも、変化がおきています。6割の国民が「脱原発」を切望し、さる3月11日には全国で10数万人以上が「震災復興と原発ゼロ」を求めて行 動に立ち上がりました。消費税増税や「TPP参加」反対のたたかいでは、要求の一致点での国民的共同が全国で広がっています。アメリカでは「ウォール街占 拠」運動が世論を動かし、ヨーロッパでは投機のつけ回しによる財政緊縮策に反対するたたかいが国境をこえて広がっています。
 震災に便乗した期間社員の雇止めを撤回させる一方で、解雇・雇止めを容認する不当判決が出されるなど、労働者の権利と雇用をめぐる状況も複雑です。しか し、働く者すべてが力をあわせ、明日への希望を持ってたたかいつづければ、攻撃は必ず跳ね返すことができます。それは、世界の動きとメーデーの歴史からも 明らかです。
 今日を機に、「99%」の力の総結集で「雇用と仕事の確保、賃上げ、社会保障拡充で、内需中心の経済、震災復興、原発ゼロ」のたたかいを飛躍的に前進させましょう。
 働く者の団結万歳! 世界の労働者万歳! 第83回中央メーデー万歳!

2012年5月1日
     第83回中央メーデー集会

タグ:メーデー

2012年4月30日月曜日

沖縄と結び、日米安保と日本の進路を考えるつどい(2)

「沖縄と結び、日米安保と日本の進路を考えるつどい(1)」のつづきです。
 伊波洋一さんの講演に続いて、弁護士で日本平和委員会代表理事である内藤功さんが、「基地撤去・安保廃棄と砂川違憲判決の意義」を特別報告されました。
 砂川事件は、1957年7月、当時の砂川町にあった米軍立川基地拡張に反対するデモ隊の一部が基地に立ち入り、同年9月に23人が日米安保条約に基づく 刑事特別法違反容疑で逮捕され、うち7人が起訴されたものです。1959年3月30日、東京地裁は米軍駐留は違憲として7人に無罪を言い渡しました。伊達 秋雄裁判長の名前から伊達判決と呼ばれます。
 伊達判決は次のように述べています。「わが国に駐留する合衆国軍隊はただ単にわが国に加えられる武力攻撃に対する防禦(ぼうぎょ)若しくは内乱等の鎮圧 の援助にのみ使用されるものではなく、合衆国が極東における国際の平和と安全の維持のために事態が武力攻撃に発展する場合であるとして、戦略上必要と判断 した際にも当然日本区域外にその軍隊を出動し得るのであつて、その際にはわが国が提供した国内の施設、区域は勿論この合衆国軍隊の軍事行動のために使用さ れるわけであり、わが国が自国と直接関係のない武力紛争の渦中に巻き込まれ、戦争の惨禍がわが国に及ぶ虞(おそれ)は必ずしも絶無ではなく、従つて日米安 全保障条約によつてかかる危険をもたらす可能性を包蔵する合衆国軍隊の駐留を許容したわが国政府の行為は、『政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起きない ようにすることを決意』した日本国憲法の精神に悖(もと)るのではないかとする疑念も生ずるのである。」「わが国が外部からの武力攻撃に対する自衛に使用 する目的で合衆国軍隊の駐留を許容していることは、指揮権の有無、合衆国軍隊の出動義務の有無に拘らず、日本国憲法第9条第2項前段によつて禁止されてい る陸海空軍その他の戦力の保持に該当するものといわざるを得ず、結局わが国内に駐留する合衆国軍隊は憲法上その存在を許すべからざるものといわざるを得な いのである。」「安全保障条約及び行政協定の存続する限り、わが国が合衆国に対しその軍隊を駐留させ、これに必要なる基地を提供しまたその施設等の平穏を 保護しなければならない国際法上の義務を負担することは当然であるとしても、前記のように合衆国軍隊の駐留が憲法第9条第2項前段に違反し許すべからざる ものである以上、合衆国軍隊の施設又は区域内の平穏に関する法益が一般国民の同種法益と同様の刑事上、民事上の保護を受けることは格別、特に後者以上の厚 い保護を受ける合理的な理由は何等存在しないところであるから、国民に対して軽犯罪法の規定よりも特に重い刑罰をもつて臨む刑事特別法第2条の規定は、前 に指摘したように何人も適正な手続によらなければ刑罰を科せられないとする憲法第31条に違反し無効なものといわなければならない。」
 判例文の引用が長くなりましたが、日本国憲法に照らして、在日米軍基地の存在が許されないこと、基地内においても日本国民の人権が保障されなくてはいけ ないことを述べています。検察は東京高裁を飛び越えて上告(跳躍上告)し、最高裁は「高度に政治的な問題は、一見明白に違憲でない限り、第一義的には国 会、内閣が、最終的には国民が判断する」と憲法判断を避けて破棄差戻し判決をしました。
 当時の日米両政府は、米軍の駐留は憲法違反だとする伊達判決に驚き、マッカーサー米駐日大使は田中耕太郎最高裁長官と「内密の話し合い」を持つなど、司法の独立を侵す重大な介入をおこないました。
 内藤弁護士のお話を聞いて、日米安保と基地問題が、憲法五原則=(1)国民主権と国家主権、(2)恒久平和、(3)基本的人権、(4)議会制民主主義、 (5)地方自治、を侵害する根源的な問題であることがよく分かりました。憲法記念日を前に、このようなつどいで学習をすることができてたいへん有意義だっ たと思います。

2012年4月29日日曜日

沖縄と結び、日米安保と日本の進路を考えるつどい(1)

4月28日、「サンフランシスコ講和条約・日米安保条約発効60年~沖縄と結び、日米安保と日本の進路を考えるつどい」が、東京・明治大学で開催され、190人が参加しました。
オープニングは、東京のうたごえ協議会のみなさんによる演奏。
次に主催者を代表して、日本平和委員会代表理事の畑田重夫さんが開会あいさつをされました。
私が青年の頃、畑田さんが都知事選挙に革新候補として出られたことを思い出しました。ご挨拶のなかで90歳とおっしゃっていましたが、たいへんお元気でした。
講演は、元宜野湾市長の伊波洋一さんが、「いま、沖縄から訴える これからの沖縄と日本、アジア」と題しておこないました。
沖縄復帰から40年にもなるのに、沖縄の米軍基地がなぜ存続し続けるのかについて、日米安保条約の下で日本政府がまったくアメリカに対してものが言えない 実態があること、4月27日の日米両政府による在日米軍再編計画見直しの「共同発表」にあたっては、当初25日に公表する準備をしていたものが、米上院軍 事委員会のレビン委員長らが意見を出したために延期して文書が修正されるなど、まったく日本政府の意図しないところでものごとが決まっていくありさまが話 されました。
住宅密集地にある普天間基地の危険な実態についてはこれまでも聞いていましたが、大型ヘリ墜落事故後に沖縄防衛局が作成した飛行航跡図を見ると、明らかに 普天間飛行場の場周経路をはみ出して住宅地上空を旋回飛行しているのに、国は「場周経路飛行はおおむね守られていると考える」と言っていることには驚きま した。
在日米軍基地は、アメリカの軍事的目的のために好き勝手に使われているのに、「抑止力」という言葉で日本の国民はだまされてきたこと、台頭する中国と米国 の間で「台湾問題」をめぐって軍事的緊張が取りざたされたが、経済的にはアメリカも日本も中国との関係を強めており、軍事的衝突を避ける力が働いているこ とが話されました。2010年11月下旬のNHK日米安保特集アンケートでは、日米安保の将来像について、「日米同盟を基軸にする」が19%に対して、 「アジアの国々と国際的な安保体制を築く」が55%、「防衛力を持たず中立を保つ」が12%を占め、日本政府がおこなっている外交・安全保障政策は、民意 を反映していないことが示されました。
伊波さんは、日本政府が戦争国家アメリカへの従属をやめて、米軍基地を撤去させ、日米平和友好条約を締結する、そういう時期に来ていることを訴えました。

(次回につづく)
20120428.jpg

2012年4月21日土曜日

第8回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞

先日届いた、DAYS JAPAN 5月号の特集は、「第8回DAYS 国際フォトジャーナリズム大賞」でした。
東日本大震災の被災者と世界各地で人権の危機に直面した民衆の姿がそこにありました。
http://daysinternational.net/jp/category/award/award_2012/

第1位 林典子「東日本大震災 混沌と静寂」

DAYS特別賞 岩手日報社(鈴木多聞、熊谷真也、横田真紀、山本毅、鹿糠敏和、三浦隆博、佐藤光、長内亮介)「東日本大震災 襲いくる津波」

第2位 レミ・オシュリック「リビア革命」 (オシュリック氏は受賞を知った直後、シリアで砲撃にあい亡くなりました。心からご冥福をお祈りします)

第2位 アレッサンドロ・グラッサーニ「モンゴルの環境避難民」

第3位 カイ・レッフェルバイン「ガーナ 若者を蝕む先進国の廃棄物」

第3位 大久保忠司「東日本大震災 まなざしの先に」

第3位 アレックス・マージ「イラク戦争 本当の犠牲者」

審査員特別賞 千葉康由「東日本大震災 津波が消し去った街」
       恒成利幸「東日本大震災 慟哭の海」
       深田志穂「東日本大震災 津波の跡に」
       ミロス・ビカンスキ「ギリシャの経済危機」
       エド・オウ「エジプト 若者とネットの革命」
       アリス・メッシーニス「リビア 最後の戦場スルトにて」
       リサ・ウィルツ「フィリピン スラムの炭焼き場で」
       グエン・デュボウトミュー「コンゴ民主共和国 魔術師にされて捨てられて」
       アティット・ペラウォンメータ「インドネシア 硫黄鉱山の労働者」

 私はこれらの作品を見て、過酷な現実のなかで懸命に生きる人々の姿に大きく心を動かされました。

 審査員講評のなかからDAYS JAPAN編集長・広河隆一氏の言葉を紹介します。
 「選考にあたって、改めてフォトジャーナリストとは何かと考えました。その状況を理解し、それに対して自分が何をできるか、どう責任をとれるかを常に自 問自答する、それがフォトジャーナリストです。昨年は世界中で民衆の動きがあり、アラブ諸国では革命が、日本でも反原発のデモがありました。しかし、そこ にある怒りとか鬱屈を無視して、絵になるところだけを撮るのではその名に値しません。フォトジャーナリストは写真の上手下手で判断されるべきではなく、 「人間の生きる価値」をどこまで理解しているかにかかっています。・・・・(略)・・・・」

2012年3月12日月曜日

東日本大震災から1年 ~かけがえのない“命”~

私は、昨年の3月11日は、東京で開催していた組合の大会中に震災に遭い、帰宅できない参加者の宿舎を探して確保し、本部の男性役職員は事務所に段ボー ルを敷いて一夜を明かしました。その間に、東北地方ではたくさんのかけがえのない命が津波にのまれ、津波から逃れた人たちのなかにも寒空の下で命を落とし た人たちがいました。そしてさらに福島第一原発の重大事故が、出口の見えない放射能汚染の被害をもたらしました。
 私達はこのことを決して忘れないし、今なお続く被災地の困難と被災者の苦しみについて考え行動しなければいけないと思っています。私はこの一週間の仕事の忙しさで、ブログに書き残す言葉を考える時間を持てずにいましたが、いま静寂のなかで思いをめぐらしています。
 大震災と原発事故を受け止め、考えるために、私の手元にある3冊の本を紹介します。
 一冊目は、『命が危ない 311人詩集 -いま共にふみだすために-』(編者:佐相憲一、中村純、宇宿一成、鈴木比佐雄、亜久津歩)です。543頁にお よぶこの詩集は、第1章・こども、第2章・仕事、世の中、第3章・動物、草花と共に、第4章・自死ということ、第5章・病気も老いも生きぬいて、第6章・ 農村、山里にて、第7章・レクイエム、第8章・戦争と平和、第9章・歴史と自由、第10章・考える、感じる、第11章・東日本大震災・津波など、第12 章・原発、第13章・願いと祈り、結びの詩、解説・あとがき、で構成されています。この詩集を買うきっかけになったのは、DAYS JAPAN 3月号の特集「詩と写真による3.11 鎮魂歌から続く世界」を読んだこと。そこに紹介された詩は、詩集に掲載されたものと一部異なりますが、心に響いた 詩人の作品をあたってみました。結城文さんの「3・11」、名古きよえさんの「風にゆれて」、福田操恵さんの「海を見つめる少女」、酒井力さんの「水のい のち 放射能汚染を憂える詩」、どれも津波と原発事故の本質を浮き彫りにする詩人の感性が伝わってきます。そして、未来への希望である赤ちゃんと私達おと なの責任を詠んだ空色まゆさんの「種蒔き」がとてもいいと思いました。
 二冊目は、『これでわかる からだのなかの放射能』(安斎育郎著)です。放射性物質の大気中への飛散と海への流出によって、大気と水が汚染され、植物が 汚染され、すべての動物が放射能被曝の危険にさらされています。放射線量の測定は多くの場所で実施されるようになりましたが、食物に潜在する放射能による 内部被曝については、未知の部分が多いです。小さいこどもを持つ親にとって最大の心配事です。本書では、放射性物質の種類によって異なった影響があること を解説し、健康被害を避けるためにできることを例示しています。原発事故によって飛散した放射性物質は自然界にある放射線とはまったく異質の危険性を持っ ています。自然界の放射線の話を持ち出して心配ないという無責任なことは通用しません。具体的で説得力のある本書が広く読まれることを期待します。
 三冊目は、『人間と教育』73号(編集:民主教育研究所)特集・東日本大震災と日本の教育です。子どもたちを震災から守り、放射能から守るための学校と 教育の課題について考えさせられます。大企業の利益優先の社会は、子どもたちが生きる「地域」をおろそかにしてきました。津波で破壊されてしまった「地 域」を再生する拠点としての学校の役割はとても大切だと思います。そして教育の課題もまた地域社会の再生を軸に、考え直していかなければなりません。
 紹介した3冊の本をざっと斜め読みしただけですが、私は、1冊目に紹介した『命が危ない 311人詩集』の解説として佐相憲一さんが書かれた次の文章が、震災後のいま考えるべき“命”の視点だと感じましたので、最後に紹介します。
 ~「命」には二つの側面があって、一つは物質的な肉体の生命、一つは内面的なこころの生命、です。そのどちらも不安な現代生活と言えましょう。昨今の健 康食ブームは、…(中略)…「高度経済成長」「バブル経済」を経て崩壊したこの国の経済「成長神話」後の新たな価値観の模索、などを反映しているとも言え るでしょう。また、巨大な商業社会で「人と人とのこころのふれあい」の喪失が、苦しい経済状況や教育の荒廃とも相まって、さまざまな「こころの病」を生み だしています。いじめ、児童虐待、ひきこもり、家庭崩壊、正社員になれない若者の自信喪失、過度の競争社会におけるサラリーマンのストレス症状、孤独死、 介護疲れからくる自殺や他殺、など。こうした暗い世の中でも、日々何とか明るく頑張って生きておられるというのが多くの人々の実感かもしれません。「命」 をキーワードにして見つめると、この社会のあり方も根本的に考え直さないといけないのではないかと言わざるをえません。~(佐相憲一「解説1 命の声の詩 集です」から抜粋)

2012年2月17日金曜日

橋下大阪市長は人権侵害の職員思想調査をやめよ

橋下徹大阪市長は、市の職員に対する職務命令として「労使関係に関する職員アンケート調査」を実施しています。しかしその内容は、きわめて露骨に、職員の思想・信条の自由を侵害し、労働組合活動への干渉・介入を意図するものとなっています。
 今日(2月16日)、日本弁護士連合会(日弁連)は、「大阪市のアンケート調査の中止を求める会長声明」を出し、それに先だつ2月14日には大阪弁護士 会が「大阪市職員に対する労使関係に関するアンケート調査の中止を求める会長声明」を出して、その違法性をきびしく告発し、中止を求めました。
 私は思います。労働者は、自分の労働力を使用者に売ることでしか生活の糧を得ることができませんから、みんなバラバラにされて競争させられたら、人間ら しく生きる権利を行使することはできないと。労働組合は、労働者が思想・信条の違いを認めあいながら、使用者に不当な扱いをされず、少しでもいい条件で働 くために団結して行動する大切な組織です。
 今回の橋下市長によるアンケート調査には、労働組合への敵意や悪意が潜んでいます。労働者としての権利と基本的人権、民主主義を守るために、直ちに中止すべきです。
*************************************************************
【日弁連】
 大阪市のアンケート調査の中止を求める会長声明

 大阪市は、本年2月9日、市職員に対する政治活動・組合活動等についてアンケート実施を各所属長に依頼した。
 本アンケートは、組合活動や政治活動に参加した経験があるか、それが自己の意思によるのか、職場で選挙のことが話題になったか否か等について業務命令に より実名で回答を求めるとともに、組合活動や政治活動への参加を勧誘した者の氏名について無記名での通報を勧奨している。また、本アンケートは外部の「特 別チーム」だけが見るとされているが、アンケート内容により回答者に対し処分を行うとされている以上、結局は市当局がアンケート内容を知ることに変わりは ない。
 このようなアンケートは、労働基本権を侵害するのみならず、表現の自由や思想良心の自由といった憲法上の重要な権利を侵すものである。
 まず、本アンケートが職員に組合活動の参加歴等の回答を求めていることは、労働組合活動を妨害する不当労働行為(支配介入)に該当し、労働者の団結権を侵害するものであり、職員に労働基本権の行使を躊躇させる効果をもたらすことは明らかである。
 また、政治活動への参加歴や職場で選挙のことが話題にされることを一律に問題視して回答を求めることは、公務員においても政治活動や政治的意見表明の自 由が憲法21条により保障されていることに照らせば、明らかに必要性、相当性を超えた過度な制約である。そもそも地方公務員は、公職選挙法においてその地 位を利用した選挙運動が禁止されるほかは、非現業の地方公務員について地方公務員法36条により政党その他の政治団体の結成に関与し役員に就任することな どの限定的な政治的行為が禁止されるにすぎず、その意味でも本アンケートは不当なものである。
 ところで、本アンケートには、①任意の調査ではなく市長の業務命令として全職員に真実を正確に回答することを求めること、②正確な回答がなされない場合 には処分の対象になること、③自らの違法行為について真実を報告した場合は懲戒処分の標準的な量定を軽減することが、橋下徹市長からのメッセージとして添 付されているが、これも大きな問題である。
 すなわち、アンケートの該当事項が「違法行為」であるかのごとき前提で、懲戒処分の威迫をもって職員の思想信条に関わる事項の回答を強制することは、いわば職員に対する「踏み絵」であり、憲法19条が保障する思想良心の自由を侵害するものである。
 以上のように、本アンケートは当該公務員の憲法上の権利に重大な侵害を与えるものであり、到底容認できない。
 当連合会は、大阪市に対し、このような重大な人権侵害を伴うアンケート調査を、直ちに中止することを求めるものである。

2012年(平成24年)2月16日
      日本弁護士連合会
        会長 宇都宮 健児
********************************************************
【大阪弁護士会】
 大阪市職員に対する労使関係に関するアンケート調査の中止を求める会長声明

 報道等によれば、大阪市は、去る2月9日、大阪市職員に対して、「労使関係に関する職員のアンケート調査」(以下「本件アンケート調査」という。)を、2月16日を回答期限として実施するとの指示を所属長に発したとのことである。
 本アンケート調査は、橋下徹市長の職員への回答要請文書に、「市長の業務命令として、全職員に、真実を正確に回答していただくことを求めます。正確な回 答がなされない場合には処分の対象となりえます。」と明記されており、職員は、その氏名を表示し、使用者に対して回答をすることが強制されている。
 本アンケート調査は、市の職員による違法ないし不適切と思われる政治活動、組合活動などについて調査することを目的としているとされる。しかしながら、 地方公務員は、公職選挙法により公務員の地位利用による選挙運動が禁止されるほかは、非現業の地方公務員について、地方公務員法により政党その他の政治団 体の結成関与や役員就任等、勤務区域における選挙運動などが限定的に禁止されているにすぎない。それ以外の場合には、地方公務員といえども、一般国民と同 様に憲法に保障された、思想信条の自由、政治活動の自由及び労働基本権を有している。
 本アンケート調査で回答を強制されている内容は、多くの問題を含んでいるが、とりわけ、次の点で看過することができない。
 第一に、職員の思想信条の自由や政治活動の自由を侵害する項目がある。
 「あなたは、この2年間、特定の政治家を応援する活動(求めに応じて、知り合いの住所等を知らせたり、街頭演説を聞いたりする活動も含む。)に参加した ことがありますか」との質問をし、「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」「誘った人は誰か」「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求 めている(Q7)。
 これは、勤務時間外に参加した正当な政治活動や選挙活動の内容についても回答を強制するものであり、それは、当該職員の支持する政党や政治家、政治に関する関心などの回答を求めることにつながり、職員の思想信条の自由や政治活動の自由を正面から侵害するものである。
 第二に、職員の労働組合活動の自由を侵害する項目がある。
 「あなたは、これまで大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動に参加したことがありますか。」として「自分の意思で参加したか、誘われて参加したか」「誘った人は誰か」「誘われた場所と時間帯は」との選択肢への回答を求めている(Q6)。
 ここでも、勤務時間外に行われた正当な組合活動の内容や参加状況についても回答を強制しており、また当該職員の組合活動への参加意欲や組合への帰属意 識、人間関係を調査するものである。したがって、その回答如何では、使用者からの処遇に影響を受ける危惧を抱く職員に労働組合活動への参加を抑制し、その 組合活動の自由を侵害することとなる。
 また、使用者が正当な組合活動への参加状況を業務命令をもって逐一調査することは、使用者から独立して活動する自由が保障された労働組合の運営に使用者として支配介入するものにほかならず、許されない。
 以上のとおり、本アンケート調査は、大阪市職員の思想信条の自由、政治活動の自由、労働基本権などを侵害する調査項目について職務命令、処分等の威嚇力を利用して職員に回答を強制するものであり、到底許されるものではない。
 したがって、当会は、大阪市に対して、本アンケート調査の実施を直ちに中止することを求める。

     2012年(平成24年)2月14日
      大阪弁護士会
         会 長  中 本 和 洋

2012年1月22日日曜日

アハメドくんの いのちのリレー

今年最初の記事は、去年の8月、集英社から出版された鎌田實さんの本『アハメドくんの いのちのリレー』の紹介です。小学生でも読める大きな文字でしたので、声を出して朗読してみました。途中、熱いものがこみ上げてきて、涙声になりました。
 パレスチナ自治区に住むアハメドくんは、12歳の時にイスラエルの兵士に射殺されてしまいました。脳死状態になった彼の父親は、医師から臓器移植につい て説明を受けます。悩んだ末に臓器提供の決意をした父親を、5年後、鎌田さんが訪問します。平和なパレスチナを実現したいという想いが、父親にアハメドく んのいのちのリレーを決意させたこと、臓器を提供されたイスラエル人とドナーの遺族であるパレスチナ人が家族の絆を結んだことに感動し、鎌田さんはこの本 を書きました。
 武力で平和を築くことはできないこと、民族や宗教が違っても、憎しみをもたらす現実があっても、人と人は分かり合い、愛し合うことができる。全世界に伝えたい実話です。

明 るく平和を好むパレスチナの少年アハメドくんは、12歳でイスラエル兵に撃ち殺されてしまいました。脳死状態になった彼の父親は、病院の医師から、他の患 者への臓器移植の提案をされます。しかし移植される患者は、敵国のイスラエル人かもしれないし、ユダヤ教徒かもしれない・・・・。悩んだ末に父は、臓器を 提供する決意をします。イスラエルとパレスチナの双方に積もる憎しみと悲しみを乗り越える、平和へのたたかいが始まります。武力では平和を築けない。民族 も宗教も違うけど、同じ人間、同じように尊い命。そのことを著者・鎌田實医師は絵本にして世界に届けます。