2013年8月26日月曜日

国境をこえ、かけがえのない「いのちの輝き」

 今日、DAYSフォトジャーナリズム祭 in 赤レンガ倉庫 を観に行きました。
 前回の記事で内容紹介しましたが、私が観た順で再度紹介します。
 DAYSの展示がされている赤レンガ倉庫1号館は、2棟ある赤レンガ倉庫の小さい方の建物です。
 今日は、その1号館脇の広場に消防車がならんでいて、何だろうと思ったら、「横浜防災フェア2013」が開催されていました。
 2階に上がって、休憩スペースの向こうに受付が見えました。中は撮影禁止だと思ったので、入る前にスナップ写真を1枚撮りました。受付で入場料を払い、左手(無料スペース)のアニマルワールド「びっくり動物写真展」を堪能し、その奥の部屋へ移動。
 そこは、沖縄の基地問題を中心にした展示です。最初の「米軍政下で生きる」は、1960年 団塊の子ら(森口豁さん)から1965年 那覇市での中高生の「大行進」(森口)まで、その時代を感じさせる作品がならんでいました。次の「復帰40年目のオキナワ」は、沖縄県高校生文化連盟がまとめた高校生による作品で若い感性を感じました。そして、沖縄タイムス社による報道写真が続きます。私が強い印象を受けたのは、1969年2月4日「B52出ていけ」で、2・4ゼネストに結集した約4万人が嘉手納基地を包囲するなか、爆音を立ててベトナムに飛び立つB52戦略爆撃機の大きな翼です。それから、1959年6月30日、宮森小学校に米軍戦闘機が墜落して多数の死傷者がでた事件で、米兵に担架で運ばれる子どもの痛々しい姿です。
 左側一番奥の部屋は、広河隆一さんが40年間撮り続けた作品をまとめた「チェルノブイリから福島、そして世界の戦場」です。去年のDAYS JAPAN写真展で観た「新・人間の戦場」の作品があり、2002年・パレスチナ西岸地区カランディア検問所でイスラエル兵に対して長時間Vサインをかかげ続けるパレスチナ人女性の写真に目を引かれました。
 右側奥の部屋は「拝啓、震災後を生きる子どもたちへ、大人たちへ」で、爆発した福島第一原発の写真からはじまり、チェルノブイリ原発事故後のウクライナ周辺の村の写真では、農地を放射能で汚染された老夫婦の姿を目に焼き付けました。「福島の人々の声をきく」では、先の見えない避難生活のなかで懸命に生きる母子の写真とコメントを見ました。そして放射能汚染から子どもたちを守りたいと作られた保養施設「沖縄・球美の里」で福島の子どもたちが撮った写真がありました。きれいな海で笑顔で遊ぶ子どもたちの姿が輝いていました。
 右側の次の部屋は、「地球の上に生きる」第9回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞受賞作品です。ここに展示されていた作品は、以前私のブログでも紹介しましたので省略します。
 最後に、受付の右側の部屋が「いのちのかたち~誕生・成長・老い・死~」の作品です。宮崎雅子さんの「Mother-いのちが生まれる」「NICUのちいさないのち」を観ると、すべての赤ちゃんが幸せでありますようにと祈る想いがこみあげてきます。ブルース・オズボーンさんの作品は、親子をテーマにしたもので、東日本大震災の被災地で生きる親子の絆を強く感じました。大塚敦子さんの「さよなら、エルマおばあさん」は多発性骨髄腫(血液のガン)を患いながら生きて、穏やかに死を迎える、そんな心を感じる作品でした。
 国境や民族をこえて、「平和に生きたい」と、ささやかな幸せを願う想いが、どの作品群にも共通して感じられました。DAYSフォトジャーナリズム祭 in 横浜赤レンガ倉庫は、8月28日までです。ぜひ足を運んでみてください。
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2013年8月12日月曜日

DAYS フォトジャーナリズム祭 in 横浜赤レンガ倉庫

 「いのちの地球(ほし)に生きる」をテーマに、DAYS フォトジャーナリズム祭が、8月16日から、横浜赤レンガ倉庫で開催されます。
 内容がたいへん充実していますので紹介します。
赤レンガ倉庫1号館2Fで開催の「企画展示」は、
①「触れる地球とびっくり動物…◎アニマルワールド「びっくり動物写真展」
   ◎夏休み子ども自由研究「触れる地球」で地球環境を考えよう(8/20~27)
②「いのちのかたち~誕生・成長・老い・死~」…
   写真:宮崎雅子、大塚敦子、ブルース・オズボーン
③「沖縄」…沖縄タイムス紙や沖縄の高校生たち、ほかの伝える沖縄
④DAYS JAPAN 写真展「地球の上に生きる2013」…
   第9回DAY国際フォトジャーナリズム大賞受賞作品約60点を展示
⑤広河隆一「チェルノブイリから福島、そして世界の戦場」…
   2面大型スクリーンで体験する、広河隆一が撮り続けた世界
⑥「拝啓、震災後を生きる子どもたちへ、大人たちへ」…
   ◎子どもたちのために何ができるのか ◎チェルノブイリから学ぶ、福島の
   今とこれから ◎福島の子どものための保養施設「沖縄・球美の里」写真展

 以上の企画展示の他に、横浜市開港記念会館で16日と18日に「イベント」が行なわれます。いずれも魅力的な企画ですので、ぜひ足を運んでみてください。
http://www.daysjapan.net/event-info/pdf/chirashi201307_1.pdf
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2013年8月16日(金)~28日(水)
時間 12:00~18:00 (金曜と土曜日は19:00まで)
     ※最終日は16:00まで
会場 横浜赤レンガ倉庫1号館2F
入場料 500円(高校生以下、70歳以上無料)
     ※展示室1は「触れる地球とびっくり動物」は無料
主催 DAYS JAPAN
お問い合わせ yokohama2013@daysjapan.net

2013年8月10日土曜日

ヒロシマからの愛の伝言 ~映画「アオギリにたくして」

 一昨年(2011年7月)に他界された被爆体験の語り部、沼田鈴子さんをモデルにした小説『アオギリにたくして』(中村柊斗著)の映画を、今日、渋谷UPLINKで観ました。
 原爆によって人間としての、女性としての幸せを、ことあるごとに打ち砕かれながら、生き抜いた田中節子(沼田鈴子さんがモデル)の生きた軌跡が丁寧に描かれています。劇中の主人公は、フリーライターの片桐千草(菅井玲が演じる)。3・11から1年たった東北を取材しに行ったときに、福島で被爆アオギリの幼木を植えている場面に出会い、アオギリのおばあさん=田中節子について取材することを決意し、広島に向かいます。そこで節子の妹、良重に出逢い、節子の壮絶な人生を知ることになります。「被爆者が被爆者を差別する」という言葉に象徴されるように、広島に落とされた原爆は、人間の肉体だけでなく心も蝕んでいきました。
 若き日の節子の心の苦しみ、葛藤は、観るものの心を強く打ちます。
 物語はもとより、映画作品としてすばらしいものだと感じました。原作・脚本・監督がずべて中村柊斗さんであり、彼は、沼田鈴子さんをよく知る中村里美さん(シンガーソングライターでこの映画のプロデューサー)のお兄さんなのです。
 小説の一節を紹介してこの映画の核心に触れたいと思います。片桐千草の想い「本当は、語り部になってからの日々こそが田中節子の真骨頂なのだ。何十万という修学旅行生たちに被爆体験を伝え、世界を股にかけて八面六臂の活躍を見せる。しかし、その部分はすでに多くの著作が残されているし、平和公園の原爆資料館に入れば、語り部としての彼女の肉声を聞くこともできる。私が書かなければならないのは、そこではない。今まで誰も書くことのなかった、彼女の心の内側を切り取るのだ。そして、- 田中節子は、いかにして田中節子となったのか。その一点だけを描けばよい。それが私の仕事だ。」
 是非多くの人に、この映画を観ていただきたいです。そして映画で描ききれていない部分を、小説で読んでほしいです。この夏、心が震えた作品でした。
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2013年8月9日金曜日

「第2の白血病」と闘う被爆者と医師 ~傷つけられた遺伝子

 今日、長崎被爆68年を迎えました。この1年間で新たに亡くなった長崎の被爆者は3404人といいます。8月6日放送のNHKスペシャル「終わりなき被爆との闘い~被爆者と医師の68年~」では、十数年前から被爆者の間に増えている新たな病気、「第2の白血病」と呼ばれるMDS(骨髄異形成症候群)についての医学的な研究と被爆者の苦しみが報道されました。DSC00989.JPG

 被爆者の命を救おうと、広島・長崎の医師たちは、MDS発症のメカニズムの解明を進めています。原田浩徳さん(広島大学病院)は、被爆者の方の骨髄細胞で染色体異常を研究しています。一つの染色体の中に平均およそ1000個ある遺伝子の一つ(RUNX1)が放射線によって傷つけられると、まわりの遺伝子の異常を誘発して、異常な遺伝子が少しずつ増えていき、その結果60年かけて染色体全体の異常を引き起こすと原田さんは考えました。
 MDSと被爆の関係を世界で初めて証明した朝永万左男さん(長崎原爆病院院長)は、ノルウェーの首都オスロで開かれた核兵器禁止をめざす国々による国際会議で、「放射線によって傷付けられた遺伝子は、被爆者を一生、白血病やガンで苦しめます」「(被爆者の)この苦しみを世界からなくすには核兵器の廃絶しかありません」と訴えました。
 広島・長崎への原爆投下によって被爆者となった方々の終わりなきたたかい。ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ。福島第一原発事故で引き起こされた被ばくの被害、アメリカの核戦略に同調する日本政府・・・・。私たちは、核兵器廃絶と原発ゼロの声をもっともっと大きな世論にして、世界を動かしていかなくてはいけないと思いました。
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