2012年11月26日月曜日

大企業がため込んだ内部留保をはき出して雇用拡大を!

 民主党政権とそれ以前の自民党・公明党連立政権がすすめてきた大企業減税の恩恵を受けて、不況の中でも大企業は内部留保をため込んでいます。「企業の内部留保の主要部分である利益剰余金が上位20社(上場企業)で2011年度に前年度よりさらに約1兆4500億円増えたことが本紙(しんぶん赤旗)の調べで分かりました。11年度は上位20社合計で62兆8395億円。10年度は61兆3892億円、09年度は59兆977億円でした。日本経済が低迷するもとでも内部留保を着実に増やしています」【しんぶん赤旗11月25日付】
 いま、衆議院選挙の争点に景気対策があがっています。大企業本位の政策を続けてきた歴代の政権与党とそれを応援するマスコミは、「金融緩和」でデフレを脱却するという政策を宣伝しています。しかし、派遣労働者や非正規雇用の拡大、公務員の賃金カットで給与水準が大幅に下げられ、無法なリストラ・首切りの横行で失業者が増えていることを放置して、インフレ政策(物価上昇)をとれば、貧困と格差の拡大はいっそうひどいことになります。
 日本共産党の市田忠義書記局長は今月23日、滋賀県内で開かれた演説会で、「国民の暮らしと営業が大変なときに消費税が増税されたらたまったものではない」と述べ、消費税増税に頼らず、社会保障の充実と財政危機打開の道を示した日本共産党の経済提言を詳しく紹介しました。市田氏は、消費税に頼らない財源確保策として(1)政党助成金や軍事費、原発推進予算など、予算の無駄遣いの一掃、(2)大企業や富裕層に能力に応じた税負担を求める―ことを提言。こうして得られた財源で、子どもの医療費窓口負担ゼロ、国民健康保険料の1万円引き下げなどの社会保障の拡充を行い、暮らしに安心を取り戻して経済を活性化させることができると主張しました。さらに、大企業による無法なリストラ・首切り計画をストップさせ、雇用のルールや、大企業と下請け中小企業との公正な取引ルールを確立し、大企業にため込まれている潤沢な内部留保を国内市場に還流させることを提案。「こうすれば、内需が活発になり、デフレからも脱却できる。税収も増え、社会保障の充実と財政再建の両方を無理なくすすめることができる。企業・団体献金を一切受け取らない日本共産党の躍進で消費税に頼らない別の道、明るい希望ある道に踏み出そう」と訴えました。【しんぶん赤旗11月24日付・要約】

TPP参加は国をこわす道(2)

 TPPが日本の農業に大打撃を与えることはよく知られていますが、医療や保険に与える影響は、まだあまり知られていないかもしれません。
 そもそもTPP交渉とは何なのか。もともと2006年に発足したシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Economic Partnership agreement)通称P4協定に参加する交渉で、2008年9月、米ブッシュ政権の通商代表部のシュワブ代表が「米国のP4への参加は、将来の米国の国際競争力強化につながり、成長と富をもたらす。特に、現在直面している不確実な時代にあっては、国際貿易の活性化は、米国経済の健全化にとってきわめて重要である」としてP4のすべての分野に参加するための交渉に臨む意向を表明。2009年11月、オバマ政権がTPP参加を表明し、2010年3月から現在のTPP交渉がオーストラリアのメルボルンで開始されました。日本政府は、野田総理の「交渉参加に向け関係国との協議に入る」ことの表明を受け、今年1月にベトナム、ブルネイ、ペルー、チリ、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドとTPP参加に向けた協議を行っています。このなかでオーストラリアとニュージーランドは包括的関税撤廃を日本が認めなければ、交渉参加を認めない立場を表明。米国政府とは2月に協議を行った時、「センシティブ品目の取り扱いについて関税撤廃からの除外があり得るのか」との日本政府の質問に対して、米国政府は「TPPは包括的な協定をめざしている」と一蹴しています。
 米国におけるTPP推進機関は「TPPのための米国企業連合」で、108社の多国籍企業を中心とした企業と業界団体が参加しており、たびたび米国政府にTPPに対する要望書提出しています。全米貿易協議会は「日本は、深く根ざした関税及び非関税障壁を撤廃する約束と政治的意志を示す必要。具体的には、為替の操作、自動車、保険、金融サービス、建設、建築、エンジニアリング、情報通信、医療及び農業を含む」とし、日本がこれまで築いてきた経済のルールや規制などを撤廃させて、アメリカに企業が参入できるように求めています。アメリカには日本のような公的医療保険がなく、個人が民間の保険会社と契約をしており、TPP交渉の参加で日本の医療保険制度が切り崩される危険が生じます。
 こうした問題に危機感を持った日本医師会は、昨年11月に「国民皆保険の堅持、医療の安全と安心の確保が約束されない限り、TPPへの参加を認めることはできない。また、TPP交渉参加の議論をきっかけに、医療の営利産業化を推進する考えが広がることも懸念される」との見解を表明し、3月には「日本医師会はこれまで、政府が、TPPにおいて日本の公的医療保険制度を除外することを明言するように求めてきた。しかしこのことについて政府からいまだ明確な回答はない。……日本医師会は、あらためてTPP交渉参加に反対の立場を明確にすることとした」と表明しました。
TPP交渉参加で、関税を撤廃して農業を破壊し、医療や食料の安全と安心を守っている規制を外すことは、一部の輸出企業が栄えても、根本において日本の国をこわす道です。

TPP参加は国をこわす道(1)

 突然の解散総選挙に踏み切った野田首相の狙いは、各方面からの反対が強まるTPP(環太平洋連携協定)参加を争点にして、選挙後に決行しようということです。財界が要求するTPP交渉への参加は、日本の農業を破壊し、医療を荒廃させることがこれまでも指摘されてきましたが、総選挙を目前にして再びこの問題を考える必要があると思います。
 全国農業協同組合中央会などが今月15日に開いた「TPP交渉参加断固阻止緊急全国集会」で日本共産党の志位和夫委員長があいさつし、決意を表明されましたので紹介します。
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 (前略)先日の所信表明演説で野田首相は、「守るべきものは守りながらTPPを推進する」といいました。(志位は)代表質問で「『守るべきものは守る』というが、『守るべきもの』とは何なのか、具体的に答弁せよ」と迫りました。そうしたら首相は「守るべきものは守ります」。これでは同じですね。ただ、そのあと、「世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村は断固として守り抜く」といいました。しかし、そのすべてを破壊するのがTPP参加ではないでしょうか。TPPは「例外なき関税撤廃」を原則としています。これに参加してどうして「美しい農村」を守ることができましょう。TPPは「非関税障壁の撤廃」を原則としています。これに参加すれば、混合診療の全面解禁、医療への株式会社の参入などで、「世界に誇る医療制度」が破壊されてしまうことは、いまや明瞭です。TPPに参加して「守るべきものは守る」など、ありえないということを私はいいたいと思います。すべてを失って、丸裸にされ、アメリカに経済主権を丸ごと売り渡す「亡国」の政治には、日本共産党はみなさんとスクラムを組んで断固反対を貫くことを表明します。
 世論も大きく変化しています。全国の市町村の議会の実に9割がTPP参加反対を決議しています。いよいよ総選挙です。相手は「TPPを選挙の争点にする」といってきました。受けて立とうではありませんか。この総選挙で私たちは、TPPがいかに日本の農業にとって有害なのか、日本の経済にとって有害なのか、日本国民にとって有害なのか、徹底的に明らかにして、国民の多数がTPPに反対の意思を表明するようにがんばりたいと思います。みなさん、TPP賛成・推進の議員、政党には残らず総退場してもらおうではありませんか。日本共産党は、最後までみなさんとともにがんばりぬく決意を申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
【「TPP交渉参加断固阻止緊急全国集会」日本共産党・志位和夫委員長のあいさつ】

2012年11月17日土曜日

雨の中を意気高く「原発なくせ」のコール~「11.11反原発1000000人大占拠」

 今日、冷たい雨の中で、霞ヶ関にある省庁と国会議事堂前、官邸前を包囲する大規模な抗議行動が、首都圏反原発連合主催(協力:さようなら原発1000万人アクション/脱原発世界会議/原発をなくす全国連絡会/経産省前テントひろば)により行われました。
 私は午後3時から文部科学省前の抗議行動に参加し、午後5時から冷えた身体を温めるために地下鉄の改札付近で休憩して、5時半頃から夜7時まで桜田門から国会正門前の歩道を往き来しながら抗議行動に参加しました。
 文科省前には、インスタレーション(作品を単体としてではなく、展示する環境と有機的に関連づけることによって構想し、その総体を一つの芸術的空間として呈示すること)が展示され、その中心に1954年3月、ビキニ環礁沖で被ばくした第五福竜丸の無線長の久保山愛吉さんの遺影と「原水爆の犠牲者は私を最後にして欲しい」の言葉が掲げられていました。昨日ブログに書いたNHKのニュース「埋もれていた核実験被害 訴え続ける元教師」を思い起こしながら、福島の子どもたちを守らないといけないという想いを、集まったみなさんと共有しました。
 国会前抗議エリアは、たいへん混雑して歩道スペースと待機スペースをコーンで分離していましたが、なかなか前に進めす、雨も本降りになってきましたので、周辺の人の傘から雨が伝わり落ちてきてだいぶ濡れてしまいました。ファミリーブロックあたりで立ち止まり、「原発なくせ」「再稼働反対」「子どもを守れ」のコールをしました。(写真)
 国会前通り対岸の大集会メインエリアからは、宇都宮健児さんのスピーチが聞こえてきました。都知事選挙への出馬表明をされた宇都宮さんは、今回、デモ出発のための日比谷公園使用が不許可にされたことに対して「集会、デモの自由、表現の自由は、憲法上の基本的な人権であり、民主主義社会に無くてはならないものだ」と訴え、「東京から脱原発を!」と力強くアピールしました。女優で写真家の松田美由紀さんもかけつけてスピーチされました。最後まで参加して、名残惜しく帰路につきました。
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タグ:原発

2012年11月10日土曜日

埋もれていた核実験被害-ビキニ環礁水爆実験の被災者を追う

 今日、NHKのおはよう日本で、「埋もれていた核実験被害 訴え続ける元教師」が報道されました。1954年3月1日、ビキニ環礁で米国の水爆実験が行われ、第五福竜丸が被災して乗組員23名が帰港後にすぐ入院し放射能症と診断され、9月23日に久保山愛吉さんが亡くなったことは、多くの人が知っていると思います。このときに1000隻もの漁船が放射能を浴び、放射能に汚染された魚を処分させられたこと、それらの漁船の乗組員のなかに、体調不良を起こして自殺したり、40代、50代でガンで亡くなった人がいることはあまり知られていません。それは、アメリカが200万ドルの慰謝料を払うことでビキニ事件を決着することを日米両政府が合意し、被ばく者の追跡調査などを一切行わなかったためです。支払われた慰謝料は、漁業被害に費やされ、健康被害がその後問題にされることはありませんでした。
 高知県の元高校教師、山下正寿さんは室戸市や宿毛市、幡多地域のビキニ核実験被災者を訪ね歩き、健康調査を行い、埋もれていた被爆の事実を掘り起こしてきました。この活動は、今も高校生たちが参加する幡多ゼミ(幡多高校生ゼミナール)によって受け継がれています。被災者たちの証言は山下さんの著書『核の海の証言―ビキニ事件は終わらない』にまとめられています。
 山下さんは、「まだ解決していませんよ。ビキニ事件は終わっていませんよ。被災者は放置されたままです。こんな重大な人権上の問題が、この日本の中で、現代史から消されていいのかということを訴えていきたい」と話されました。
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