2014年5月31日土曜日

ベトナム戦争とアレン・ネルソンと9条

 今日、DVD「9条を抱きしめて ~元海兵隊員 アレン・ネルソンが語る戦争と平和」を観ました。企画・制作は、アレン・ネルソン平和プロジェクトです。(2013年、50分)
 いま、安倍政権は「集団的自衛権の行使容認」という、憲法よりも軍事同盟を優先する国政の大転換を行おうとしています。「戦争中毒」と呼ばれるアメリカの軍需産業依存国家の実態を知れば、憲法9条を持つ国の国民として到底容認することはできません。
 アレン・ネルソンさん(2009年3月没・享年61歳)は、1966年に海兵隊員としてベトナム戦争の最前線に派遣され、非人間的な体験に心を蝕まれ、帰還した後は重いPTSD(心的外傷ストレス障害)に苦しみ、治療に18年の歳月を要しました。そんなネルソンさんは、学校で子どもたちに戦争体験を話し、自らの罪を認めることで立ち直りのきっかけを得ます。そして日本で1996年から13年間で1,200回を超える講演活動を行ってきました。DVD「9条を抱きしめて」は、アレン・ネルソンさんの戦争体験と講演活動、憲法9条への思いを収録したドキュメンタリーです。戦争を知らない世代に戦争の本当の恐ろしさを知っていただくためにぜひ観ていただきたいと思い、紹介します。
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2014年5月6日火曜日

沖縄-愛と平和と-宮良瑛子展(丸木美術館47周年)

 5月5日、原爆の図で有名な丸木美術館の開館記念日(47周年)の行事があり、私は初めて丸木美術館を訪れました。丸木美術館では、沖縄で戦争や社会の現実に向き合う女性画家・宮良瑛子さんの個展が7月12日まで開催されています。
 順路に従って、2階に上がると、宮良瑛子さんの絵本原画が展示されていました。一つは「湖南丸と沖縄の少年たち」で、1943年12月21日に湖南丸という船が米軍の潜水艦グレイバック号によって雷撃され800人あまりの児童が犠牲になった事件を題材にしたものです。沖縄の海では戦争でたくさんの船が沈み、子どもたちも犠牲になりました。もう一つは、「忘れな石」という作品です。1945年、米軍沖縄上陸の直前、八重山諸島の最南端・波照間島の人々は飼っていた牛や豚を軍隊に皆殺しにされ、西表島に疎開させられました。しかし疎開した多くの子どもたちがマラリアに倒れ亡くなりました。沖縄戦が終わって2か月後に波照間国民学校の校長が「この石を永遠に忘れるなかれ」と痛恨の思いを込めてコツコツ彫り込んだのが「忘勿石」だったというお話です。
 2階の広い部屋と1階に、丸木夫妻(位里さん、俊さん)による『原爆の図』の作品群が展示されています。原爆が投下された広島の現実はまさに地獄絵ですが、丸木夫妻の共同制作で生み出された作品は、生死をさ迷う人にも、亡くなってしまった人にも、確かに生きた証があったことを感じさせます。それは、無惨だと言い捨てることはできない、受け入れがたい死だということを思いました。私が強く印象に残ったのが、「原子野」「少年少女」「母子像」「焼津」「とうろう流し」です。
 1階の宮良瑛子展は、色彩鮮やかな「市の女たち」「七月エイサー」、戦争が残した傷跡を描いた「海底幻影」(1986年)、「転生」(1994年)、「オモニ・幾星霜」(1996年)、現在の基地問題を描いた「美ら島・辺野古」(2005年)、「漂泊の島より-辺野古断章-」(2009年)などの力作が目をひきました。ぜひ多くの人にみていただきたいです。
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 この日、午後1時から「開館記念日の集い」、1時30分から外岡秀俊さんによる講演「沖縄の明日 不屈の美 -宮良瑛子さんの展覧会に寄せて」が行われました。
 丸木美術館の入門書としておすすめは、同館で発行・販売している『戦争と平和と美-丸木位里と丸木俊の芸術-』ジョン・W・ダワー著/袖井林二郎訳です。また、同館学芸員・岡村幸宣著『非核芸術案内-核はどう描かれてきたか』岩波ブックレットNo.887も購入して興味深く読みました。033.jpg

2014年5月4日日曜日

5・3憲法記念日の集い(千葉市)

 5月3日、千葉市文化センターで憲法記念日の集い(主催:千葉県憲法会議・憲法改悪反対千葉県共同センター)が開かれ、500人を大きくこえる参加者が会場を埋めました。
 最初に文化行事で、合唱団プリマベラによる澄んだ歌声を堪能しました。
 記念講演は、森英樹さん(名古屋大学名誉教授)を講師として、「どうなる憲法?どうする憲法!―暴走する改憲・壊憲の矛盾を突く」と題して行われました。
 森英樹さんは、安倍晋三氏が2007年1月の内閣総理大臣施政方針演説で「戦後レジーム」からの脱却を宣言し、憲法を頂点とした行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みを見直すとともに、憲法「改正」にむけて全力で取り組むと述べたことを、彼のホームページに5年前から掲載していることを指摘し、歴代の首相のなかでも日本国憲法を攻撃する姿勢が突出していると述べました。
 日本国憲法は、日本が犯した侵略戦争の反省のうえに、戦争の放棄、基本的人権の尊重、国民主権を柱にしたすべての法律の基本法です。しかし、安倍首相は、「特定秘密保護法」制定に示されるように国民の人権保障よりも国家目的のために人権を制限し、教育の場にも上意下達の「愛国心」教育を押し付け、現憲法下では絶対に認められないとしてきた「集団的自衛権の行使」を容認する憲法解釈をごり押しするなど、日本国憲法を壊す(あって無きものにする)壊憲=暴走政治の道をすすんでいます。
 森氏は、国民の多数が、「戦争する日本」を拒否しているなかで、集団的自衛権の行使を「限定的にする」と誤魔化しながら導入しようとしているその手口に注意を促し、閣議決定だけでは派兵できないので、同盟国(米国)の戦争に派兵するための法律の制定、ガイドラインの改定などが必要になってくると述べました。一方、安倍内閣による靖国神社参拝や従軍慰安婦への軍の関与否定など、侵略戦争を美化し、戦後国際秩序を否定するさまざまな言動を挙げ、国際的に孤立していることを指摘し、第一次安倍内閣の改憲を阻止した「九条の会」などの市民パワー、国民的な運動で改憲・壊憲を阻止することを呼びかけました。
 憲法記念日の集いは、最後に集会アピールを参加者全体で確認して、成功裏に閉会しました。
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2014年5月3日土曜日

原発再稼働に反対し続けて・・・

 首都圏反原発連合は、5月2日(金)に100回目の首相官邸前デモ(2012年3月を行い、約3000人が参加しました。私は7時過ぎに、桜田門から国会正門前での抗議デモの隊列の横を通って反対側に横断歩道を渡り、“希望のエリア”のデモに参加しました。政府が原発ゼロを決断し、全国の原発を廃炉にして、政府と東電が福島原発事故の被害者を全面救済していれば100回目の官邸前抗議行動はなかったのですが、安倍政権はまったく私たちの願いを踏みにじって、原発の再稼働を行おうとしています。参加者から次々に抗議のスピーチがあり、「原発再稼働反対」「海を汚すな、命を汚すな」「子どもを守れ」「原発なくせ」のコールが続きました。トランペッターの松平晃さん、国会議員の吉良よし子さんもお話しされました。
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第85回中央メーデー

 5月1日、東京・代々木公園で第85回中央メーデー集会が行われ、2万7千人が参加しました。
 メインスローガンは、◇安倍「暴走政治」ストップ。憲法がいきる安全・安心社会の実現 ◇すべての労働者の大幅賃上げ。最賃は全国一律1000円以上に。派遣法など労働法制改悪反対。ディーセントワークの実現 ◇消費税大増税・TPP参加反対。被災者が希望のもてる復興。原発ゼロ。社会保障制度の大改悪反対 ◇「戦争ができる国づくり」反対。集団的自衛権の行使容認・改憲反対。特定秘密保護法の廃止。教育の国家統制反対。普天間基地の即時撤去、辺野古新基地建設反対。オスプレイ配備・訓練反対。核兵器の全面禁止を ― です。
 私はとくに、集団的自衛権の行使を容認しようとする安倍政権の暴走を止めなければ、自衛隊員が海外の紛争地で米軍とともに戦争をすることが現実になってしまうこと、国の言いなりになる「愛国心」教育の徹底をはかる教育委員会制度の大改悪を止めなければいけないということを強く思い、メーデー集会とデモ行進に参加しました。
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 第85回中央メーデー宣言

 本日、私たちは労働者・国民の団結と連帯の力で第85回中央メーデーを成功させました。
 集会では、日本を再び「戦争できる国」へと変える安倍「暴走政治」にストップをかけ、生活と雇用の危機を打開する国民共同のたたかいをすべての職場・地域・学園で強めていくことを誓いあいました。

◇すべての働く仲間のみなさん
 「アベノミクス」は大企業やファンド、富裕層には多くの恩恵を与える一方、庶民に対しては物価高、消費税増税、社会保障制度改悪で痛みを押し付けています。労働者の賃金は年々減少し、「貯蓄ゼロ」世帯は全体の3割に、また貧困ライン以下で生活する人は2400万人にものぼっており、「格差と貧困」は拡大するばかりです。安倍首相は「経済の好循環のために賃上げを」と言いながら、派遣法改悪など、非正規化と解雇の自由化、賃下げを加速させる労働法制の大改悪を進めています。
 何よりも優先されるべき被災地の復興は、3年たっても遅々として進ます、原発事故の収束のめどすらたっていません。被災者は、復興事業で儲ける元請大企業を横目でみながら、生活苦に沈み、将来を思い描くこともできず、筆舌に尽くしがたい失望を味わっています。

◇すべての働く仲間のみなさん
 安倍「暴走政治」への国民の反撃もはじまっています。「特定秘密保護法」廃止にむけた学者・文化人、市民、労働組合などを結集したたたかい、国の教科書押し付けに抗する沖縄・竹富町の人々、集団的自衛権行使による戦争できる国づくりに反対する「九条の会」アピールへの広範な著名人の賛同など、新たな国民的共同が拡がっています。派遣法など労働法制改悪でも、日弁連やすべての労働団体が反対を表明し、取り組みを強めています。沖縄・名護市長選での「新基地建設NO」を掲げる稲嶺市長の再選や東京都知事選で都民本位の都政を訴える候補の健闘など、政治転換をめざす流れも強まっています。
 春闘では、私たちが一貫して主張してきた「大企業の内部留保還元」「賃上げによる景気回復」の要求が政府や財界・大企業を動かし、一部大企業の賃上げ回答を引き出しました。しかし、増税負担や生活悪化の下、生活改善や経済の好循環という点では到底十分とは言えません。あらためて「すべての労働者の大幅賃上げ」「最賃は全国一律1000円以上に」などの要求の実現にむけ、職場・地域からたたかいを強めていきましょう。

◇すべての働く仲間のみなさん
 世界の労働者は、国の緊縮財政政策に反対し、「格差と貧困」解消に向けたたかいを繰り広げています。ドイツでは来年から8.5ユーロの全国一律最低賃金導入を決め、アメリカではオバマ大統領が最賃10.10ドルへの引き上げを訴え、連邦政府の発注事業で働く労働者の最賃を同額とする指示を出しました。
 新自由主義に反対し、「格差と貧困」解消を求めるたたかいは世界の労働者共通の課題です。多国籍企業の民主的規制を求め、アジアや世界の労働者と団結、連帯してたたかいを進めていきます。
 「すべての労働者の賃上げによる日本経済の回復、8時間労働制の実現をはじめディーセントワークの実現、社会保障の拡充、被災者が希望の持てる復興、原発ゼロ」の実現をめざしてたたかいを進めていきましょう。

 働くものの団結万歳!
    世界の労働者万歳!
       第85回中央メーデー万歳!

 2014年5月1日  第85回中央メーデー集会