2012年5月29日火曜日

小選挙区制を廃止し、比例代表制的な選挙制度に

5月23日、衆議院の政治倫理の確立・公職選挙法改正特別委員会で衆院の選挙制度について参考人質疑が行なわれました。そのなかで五十嵐仁氏(法政大学大 原社会問題研究所)は、小選挙区制の害悪について詳しく話され、比例定数を削減する案を「民意を切る改悪」だと批判しました。民主的な選挙制度がない限 り、議会制民主主義は絵に描いた餅です。国民の命と暮らしを守る政治を実現するには、小選挙区制を廃止し、比例代表制を主体とする選挙制度に変えていく必 要があると思います。(MITURU)
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 衆院政治倫理の確立・公職選挙法改正特別委員会(23日)で法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授が行った意見陳述を紹介します。

 1993年に本を書いて小選挙区制を批判し、連用制の問題点も指摘しました。小選挙区制に問題があることはこのときから明りょうでした。過ちを改めるには今が絶好のチャンスだと思います。
 小選挙区制は最悪の選挙制度であり、ぜひ廃止してもらいたい。
 小選挙区の制度的欠陥は第一に、多数と少数が逆転するからくりが仕組まれていることです。イギリスでは1951年と1974年の2度、総得票数と議席数が逆転しています。民主主義を口にするなら認めてはなりません。
 第二は、少数(の得票)が多数(の議席)に読み替えられるという問題です。2009年総選挙で、民主党は47%の得票率で74%の議席を得ています。
 第三に、多くの死票が出て選挙結果に生かされません。09年総選挙では、46%が死票になっています。
 第四に、「過剰勝利」と「過剰敗北」によって選挙の結果が激変します。
 第五に、政党規模に対して中立ではなく、小政党に不利になります。このように、小選挙区制は人為的に民意をゆがめる根本的な欠陥をもっています。
 実際にどのような問題が生じてきたか。
 政権の選択肢が事実上二つしか存在しません。小選挙区で当選するための「選挙互助会」的な政党ができました。「風向き」によって短期間で多数政党が交代 します。二大政党の間の有権者を奪い合うために相互の政策が似通ってくる。地域や民意とも離れ、議員の質も低下しています。
 制度改革についての議論では、連用制が提案されています。しかも、頑張ってほしいと有権者が小選挙区で票を投ずるほど、比例代表では減ってしまいます。民意がゆがめられ「正当に選挙された国会における代表者」という憲法前文に反する可能性があります。
 比例定数の削減案も出ていますが、日本の国会議員は国際的に見ても多くない。現在より少なくするのは反対です。身を切る改革と言われていますが実際は民意を切る改悪です。比例定数の削減は小選挙区の比率を高め、問題点や害悪を増大させるだけでしょう。
 小選挙区の「0増5減」案は当面の緊急避難であり、人口移動が続けばいずれまた是正が必要になります。抜本的改革を先延ばしする口実であってはなりません。
 民意の反映か集約かという論争も以前からありました。選挙は民意を議会に反映するためのもので、その民意を討論によって一つの方向に集約していくのが国会の役割です。議会で民意を集約するべき議員自身が選挙での集約などと言うのは自己否定にほかなりません。
 今日、「政治改革神話」が崩れ、見直しの議論がされているのは歓迎すべきことです。小選挙区制を廃止して比例代表制的な選挙制度に変えることで、より民主的で本当に国民の願いが国会に反映されるような選挙制度に改革していただきたいと思います。
(2012年5月26日「しんぶん赤旗」記事より)

2012年5月9日水曜日

高速ツアーバス重大事故に関して、自交総連が「見解と要求」を発表

関越道の高速ツアーバス重大事故に関して、自交総連が5月8日、「見解と要求」を発表しました。自交総連は、タクシー・ハイヤー、自動車教習所、観光バス労働者を組織する労働組合です。
 「見解と要求」では、「貸切バス事業は2000年に規制緩和されて以降、99年度から09年度にかけて、事業者数は2336が4392に88%も増える 一方、営業収入は5434億円が4474億円に減少している。大量の新規参入による過当競争、安売り競争が激化し、運転者には長時間で過酷な勤務と低賃金 が押し付けられ、バス運転者(乗合含む)の年間賃金は538万円から386万円に28%も低下している。」「規制緩和以降、旅行業者が貸切バスを活用して 高速道路を経由する2地点間の移動を目的とする募集企画旅行を販売する「高速ツアーバス」といわれる形態が急速に拡大した。高速ツアーバスは、道路運送法 にもとづく乗合バスの規制が適用されず、安全性など様々な問題が指摘されていたものであり、今回、事故を起こしたのも、この高速ツアーバスである。」「自 交総連は、規制緩和が強行される以前からその危険性を指摘し、過当競争が運転者の労働条件を低下させ、いずれ重大な事故がおきかねないことを再三にわたり 指摘してきた。にもかかわらず、あずみ野観光バス事故に続き、再び多くの人命が奪われる重大な事故が起きたことは誠に残念であり、対策が後手となり、的確 な対応となっていなかったという点で国土交通省はじめ行政当局、政府の責任はまぬがれない」と告発し、運転労働者の労働条件を改善し、安全運転で生活でき る賃金・労働時間を保障すること、政府が交通運輸事業の規制緩和策を検証し、必要な規制の強化をはかることを求めています。
 私のブログの中央メーデーの記事のなかで「競争至上主義で、労働者の賃下げと長時間・過密労働が横行するなかで、さまざまな弊害と生命の危険が生じてい ます。労働者の生活と権利を守ることは、国民の命と暮らしを守ることと直結する問題になっています」と書きましたが、改めてこのことを述べて警鐘を鳴らし たいと思います。
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関越道の高速ツアーバス重大事故に関する見解と要求
2012年5月8日 自交総連

1.4月29日午前4時40分ごろ、群馬県内の関越自動車道において、金沢発東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)行の夜行高速ツアーバスが道路左の防 音壁に激突し、乗客7人が死亡、乗員含め39人が重軽傷を負うという重大事故が発生した。バスを運転していた43歳の運転者は5月1日に危険運転過失致死 傷容疑で逮捕されたが、疲れていて居眠りをしていたと供述しているという。行程の545kmを交替運転者なしの1人で運転していた。
 バスのツアーを企画したのは大阪に本社がある「ハーヴェストホールディングス」という旅行会社、バスを運行していたのは千葉県の「陸援隊」という貸切バス事業者である。
2.すでに多くの報道等でも指摘されているように、この事故の背景には、規制緩和による貸切バス事業の過当競争激化、運転者の労働条件の悪化がある。
 貸切バス事業は2000年に規制緩和されて以降、99年度から09年度にかけて、事業者数は2336が4392に88%も増える一方、営業収入は 5434億円が4474億円に減少している。大量の新規参入による過当競争、安売り競争が激化し、運転者には長時間で過酷な勤務と低賃金が押し付けられ、 バス運転者(乗合含む)の年間賃金は538万円から386万円に28%も低下している。
 さらに規制緩和以降、旅行業者が貸切バスを活用して高速道路を経由する2地点間の移動を目的とする募集企画旅行を販売する「高速ツアーバス」といわれる 形態が急速に拡大した。高速ツアーバスは、道路運送法にもとづく乗合バスの規制が適用されず、安全性など様々な問題が指摘されていたものであり、今回、事 故を起こしたのも、この高速ツアーバスである。
 一般の貸切バスも含め、旅行を企画する旅行会社と運行を請け負う貸切バス事業者との関係では、過当競争状態にある貸切バス事業者の立場が圧倒的に弱く、 公示運賃を大幅に下回る低運賃や無理な運行計画が旅行業者から押し付けられる事例が蔓延、道路運送法違反の日雇い・アルバイト運転者の雇用なども増える傾 向が顕著になっていた。
 今回事故を起こした陸援隊という会社は、こうした貸切バス事業の問題点をことごとく体現しているような問題事業者であることが、その後の調べで明らかに なってきた。運転者は違法な日雇いで、自分の所有するバスで中国人向けバスツアーを違法な名義借りで個人営業、今回の金沢での休息期間中にも自分の所有す るバスの修理手配などをしていたと報道されている。まともな運行管理や点呼もしないという非常識な無管理状態で営業し、多数の道路運送法違反があったこと も明らかになっている。今回の運行は、旅行会社から別の2社を介在して受注したもので、東京-金沢往復を公示運賃の下限35万6500円(545km×2 日で試算)の半額以下の15万円で受注していたといわれている。同社は、もともと「インバウンド」といわれる外国人旅行客のツアーに特化していた会社で、 東日本大震災により外国人旅行客が激減する環境のなかで、生き残りのために安値をいとわない状態にあったと思われる。
3.こうした貸切バス事業をめぐる問題点は、07年2月に大阪で起きたあずみ野観光バスの過労運転・死傷事故をきっかけに社会問題となり、国土交通省が 08年9月に1日の乗務距離670km以上は交替運転者を配置することとした指針を定めたのをはじめ、10年9月には総務省行政評価局が貸切バスの安全確 保対策に関する行政評価・監視に基づき国土交通省等に勧告を行い、国土交通省では「バス事業のあり方検討会」を10年12月から開催、今年3月に報告をま とめたところであった。
4.自交総連は、規制緩和が強行される以前からその危険性を指摘し、過当競争が運転者の労働条件を低下させ、いずれ重大な事故がおきかねないことを再三に わたり指摘してきた。にもかかわらず、あずみ野観光バス事故に続き、再び多くの人命が奪われる重大な事故が起きたことは誠に残念であり、対策が後手とな り、的確な対応となっていなかったという点で国土交通省はじめ行政当局、政府の責任はまぬがれない。
 交替運転者の配置指針が1日670kmとされたことについて、自交総連は、その制定当初から、運転者の疲労の実態に合わず、500km以下とするように 国土交通省に要請してきた。また、この配置指針の距離が1日の運転時間の上限を9時間とした運輸規則の規定から算出されたものであり、さらにそのもとと なったのが厚生労働省告示の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」の規定であることから、厚生労働省に対しても同告示の改正を申し入れてきた。
 総務省の行政評価の調査には積極的に協力して問題点の摘出に貢献した。その結果、的確な勧告がなされたにもかかわらず、それを受けた国土交通省の「バス 事業のあり方検討会」での論議は、勧告で指摘された点に真剣に応えないものとなっていることが中間報告の段階で明らかになったため、昨年10月には国土交 通省と同検討会に対して適切な最終報告とするよう申入れを行った。旅行会社の要求を断れず運賃ダンピングが常態化していることやインバウンドの問題点、ア ルバイト雇用の実態なども指摘して、改善を申し入れた。しかし、この要請の趣旨は生かされず、不十分な最終報告が今年3月に出された矢先に、今回の重大事 故が発生したのである。
 バス事業のあり方検討会報告の問題点は別添のとおりであるが、高速乗合バスと高速ツアーバスを一体化して新たな高速乗合バス規制に移行するというもの の、具体策は未定が多く、乗合バスに関しては従来より規制が緩和されるものである。さらに、貸切バス事業者に無理な運行と低運賃を押し付けている旅行業者 への指導・監督の強化は骨抜きとされ、運賃適正化は先送りされている。
5.交通機関にあって安全を担保するのは、直接、運転に携わっている運転労働者である。この労働者の労働条件を改善して、安全運転で生活できる賃金・労働時間を保障しない限り、真の安全は確保できない。
 政府は、この間の交通運輸事業の規制緩和政策を真しに検証し、必要な規制の強化をはかるべきである。
 国土交通省・観光庁・厚生労働省に対して、早急に以下の点の改善を求めるものである。

(1) 届出運賃(公示運賃)違反の是正措置を講じること。
また、法違反の日雇い・アルバイト運転者を一掃するため、監督・指導の強化をはかること。

(2) 低運賃や無理な運行(旅行行程自体が改善基準の拘束時間をオーバーしているもの等)を押し付ける旅行業者への監督・指導を強化し、罰則規定を創設すること。

(3) 高速ツアーバスの監査を強化し、高速乗合バス規制の緩和は行わないこと。

(4) 交替運転者の配置基準は1日500km以下とすること。

(5) 深夜運行は、運転者2人制(ツーマン化)とすること。

(6) 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を法制化すること。
当面して、①拘束時間1日13時間以内、②休息期間11時間以上、③運転時間1日7時間以内、④連続運転時間2時間以内とするなどの改善を早急に行うこと。

                      以 上

2012年5月7日月曜日

2012年国民平和大行進スタート

5月6日、東京・夢の島公園の第五福竜丸展示館前で、2012年国民平和大行進出発集会が開かれ、900人が参加しました。国民平和大行進は、全国で 11の幹線コース〔北海道→東京(4コース)、東京→広島、富山→広島、和歌山→広島、四国→広島、長崎→広島、宮崎→広島、沖縄→広島〕と、幹線コース に入らない自治体を回る網の目行進がおこなわれます。共通スローガンは、
 ◇核兵器の全面禁止を求めてともに歩こう!
 ◇秋の国連総会へ核兵器禁止の声をとどけよう!
 ◇非核三原則を守ろう!核も基地もない非核平和の日本を実現しよう!
 ◇放射線被害の根絶、原発ゼロ、自然エネルギーへの転換を!
 ◇ノーモア・ヒロシマ!ノーモア・ナガサキ!ノーモア・ヒバクシャ!
   広島・長崎の被爆者、世界の核被害者と連帯しよう!
 ◇原水爆禁止2012年世界大会を成功させよう!
 開会集会では、被爆者の方、宗教者、日本青年団協議会の代表、東京地評(労働組合)代表、青年Ring! Link! ZERO の代表からのお話しと、電話の音声で岡山「Peace Piece Okayama(PPO)」の代表からのお話が聞けました。13時に夢の島公園を出発した行進の参加者は1000人を超えて、途中、通り雨にあいながら、 17時30分に終着点である港区芝公園「平和の灯」前に到着しました。7日は、この場所を9時に出発して川崎市役所まで行進がおこなわれます。
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2012年5月5日土曜日

地球の上に生きる2012 DAYS JAPAN 写真展

今日、新宿のコニカミノルタプラザで開催中のDAYS JAPAN フォトジャーナリズム写真展を観に行きました。
 コニカミノルタプラザが入っている新宿高野ビルは、フルーツの高野がメインのビルで、5階がタカノフルーツパーラー新宿本店になっています。写真展をおこなっているギャラリーは、このビルの4階です。
 写真展は、3部構成になっていて、ギャラリーCで「第8回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞」の受賞作品約60点が展示され、ギャラリーBで「アニ マルワールド」と題して野生の動物たちの迫真の写真、同じギャラリーBの奥で、広河隆一氏の「新・人間の戦場」から15作品が展示されています。
 「国際フォトジャーナリズム大賞」の作品は、DAYS JAPAN 5月号に掲載されたものですが、展示されていた大きな写真はたいへん迫力があって、写真を撮られた場所の空気が伝わってくるように思いました。
 広河氏の「新・人間の戦場」は、初めて見る写真でした。戦場には軍人と住民がおりなす非日常的な場面があり、それが長期に続いて日常になってしまっているパレスチナの現実がありました。私がその場でメモした全作品です。
 1)2002年・パレスチナ西岸地区(アラム検問所)、2)1982年・レバノン(イスラエル戦車の砲撃)、3)1982年・ベイルート・レバノン(肉 親を殺されたパレスチナ人女性たち)、4)1984年・ベイルート沖・レバノン(レバノン左派による自爆攻撃で200人以上殺され撤退する米海兵隊)、 5)2002年・パレスチナ西岸地区(トゥルカレム難民キャンプの男たち)、6)2002年・パレスチナ西岸地区(カランディア検問所で通行拒否されるパ レスチナ人女性)、7)パレスチナ西岸地区(パレスチナ武装勢力メンバーが狙撃されて死んだ)、8)2002年・エルサレム・イスラエル(パレスチナ人に よる自爆攻撃後、恐怖が覚めないユダヤ人の親子)、9)2002年・パレスチナ西岸地区(パレスチナ難民キャンプを捜索するイスラエル兵)、 10)2002年・パレスチナ西岸地区(イスラエル軍の捜索を遠くから見るパレスチナ人親子)、11)2002年・パレスチナ西岸地区(外出禁止令が敷か たベツレヘムで様子を見に家から出てきた親子)、12)2002年・パレスチナ西岸地区(ジェニン難民キャンプのオマル氏)、13)2011年・福島第一 原発(水素爆発を起こした4号機・3号機)、14)2012年・福島第一原発(使用済核燃料が危険な状態にある4号機・上空から撮影)、15)2012 年・福島第一原発(4号機・3号機・2号機・上空から撮影) 以上です。いずれも、緊張感にあふれ、目を釘付けにされる作品でした。20120505.jpg
 写真展「地球の上に生きる2012」は、新宿・コニカミノルタプラザで、5月21日まで開催されています。是非一度足を運んでみて下さい。

2012年5月3日木曜日

5・3 憲法記念日の集い

憲法記念日の5月3日、「千葉市文化センター」で憲法記念日の集いが開かれ、400人が参加しました。
 主催は、千葉県憲法会議、憲法改悪反対千葉県共同センターです。
 開会あいさつで高橋勲弁護士は、東日本大震災と福島第一原発事故後の政治のなかで憲法とかけ離れた現実が顕わになっていることを指摘し、憲法改憲を阻止し、憲法を活かす=「活憲」の運動をすすめようと呼びかけました。
 続いて、千葉合唱団のみなさんによる合唱で、「陽のあたる道」「花祭り」「アリラン」「あきらめないで(長崎平和宣言より)」の4曲が演奏されました。
 記念講演は、三宅明正さん(千葉大学教授)が、「世界の動きの中で読む日本国憲法 くらし・人権・民主主義」と題しておこないました。最近の動きで、4 月25日、福島県双葉町長の井戸川克隆さんが、参議院憲法審査会のなかで、憲法第13条の幸福追求権、第25条の生存権が双葉町の住民に対してはまったく 守られていないと発言したこと、4月27日、自民党が新たに日本国憲法改正草案を発表したことに触れました。そして国の為政者が人々のくらしや生命を守る ことに情熱を持っているとは思えないと述べました。次に、世界の変動の中で、歴史教科書批判がフランス、イギリス、ドイツなどでも起きるなど不安定化とナ ショナリズムへの回帰が見られること、その一方で人権については、グローバル化のプラス面があらわれていることを紹介しました。こうした問題をさまざまに 重ね合わせながら議論と対話をしていく必要があること、政治的な共同体を作り直す課題と正統性(日本国憲法とその理念)、日本が世界に遅れている教育条件 の問題などを考えていく必要があることなどを話されました。
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第83回中央メーデー ~国民生活の危機打開を!

5月1日、代々木公園で「働くものの団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本をめざそう」をスローガンに第83回中央メーデー式典が開かれ、2万1000人が参加しました。
 野田政権が、多くの国民の反対を押し切って、消費税増税を強行しようとするなかで、今年のメーデーは、労働者、自営業者、農民の連帯をいっそう強くするものになりました。
 4月29日の早朝に関越自動車道で起きたバス激突の大惨事は、2000年、自公政権と民主党の賛成で、道路運送法が改悪され、規制緩和によって過当競争が煽られたことが背景にあります。
 競争至上主義で、労働者の賃下げと長時間・過密労働が横行するなかで、さまざまな弊害と生命の危険が生じています。労働者の生活と権利を守ることは、国民の命と暮らしを守ることと直結する問題になっています。
 また、TPP交渉参加で日本の農業が大打撃を受ければ、食糧自給率が下がり、食の安全が脅かされることになります。それは国民生活と国のあり方にかかわる大問題です。関税によって自国の農業を守ることは主権国家として当然のことです。
 野田政権の国民犠牲の政治、大企業とアメリカの利益優先の政治を止めるために、今年のメーデーが跳躍台になることを期待しています。
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 第83回中央メーデー宣言

 私たちは本日、労働者・国民の団結と連帯の力で第83回中央メーデーを成功させました。
 国民生活の危機、日本の危機が進行し、歴史的な転換の時期にある今こそ、メーデーの原点に立ち返り、すべての働く者が連帯と共同の力を発揮したたたかいで、くらしと雇用・仕事が安定した憲法がいきる社会をめざすことを確認しました。
 消費税増税、TPP参加を推し進めようとする野田政権の悪政との当面のたたかいや、3.11東日本大震災からの早期復興と原発ゼロにむけたとりくみに力を寄せあい、要求実現をめざす決意を固めあいました。

◇すべての労働者・国民のみなさん
 「3・11」から1年余が経過しましたが、被災地の傷跡は余りに大きく、くらしも生業も復旧にはほど遠い状況です。仮設住宅での相次ぐ孤独死、ゼネコン 主導の復興による賃金ピンハネの横行、職を求め、ハローワークに列をなす労働者-いま被災地では生活の再建とそれを支える雇用の確保が喫緊の課題です。
 原発事故が未だに収束しない福島では、16万人もの方々が故郷を追われ、多くの方々が健康と将来に不安をかかえながらの生活を強いられています。政府の対応は、災害に比して不十分で政治災害の状況です。
 こうしたもとで野田政権は、消費税率を10%に引き上げる大増税の法案を提出し、国内産業に壊滅的な打撃を与えるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定) への参加表明を行おうとしています。福島原発事故の原因が未解明な段階で、「大飯原発再稼働」を押し進めようとしています。被災者と被災地城にさらなる負 担を押し付け、その心情を顧みない悪政に、激しい怒りが沸き起っています。
 私たちは、その怒りに共鳴し、一部の大金持ちや輸出大企業の求める政治から「99%」の国民が望む政治への転換を求めます。生活危機突破の要求を高く掲げてたたかいを広げ、野田政権を追い詰めましょう。

◇すべての労働者・国民のみなさん
 2000年代を通じ、労働者の賃金は減少し続けてきました。不安定で劣悪な労働条件を強制される非正規労働者も増加し続けました。労働者の状態悪化が国 内消費を縮小させ、日本は成長しない国になりました。一部の大金持ちと大企業に富が集中し、格差と貧困が拡大し続けています。大企業が元気になっても、労 働者の雇用は安定せず、所得も増えず、地域経済も活性化しませんでした。国や地方自治体の財政も悪化の一途です。
 いま必要なのは、デフレ・スパイラル=負の連鎖を止め、内需中心の経済に転換させることです。賃上げと雇用の安定、適正な下請け単価の支払いのための規 制を強めます。被災者本位の震災復興に全力を挙げ、年金、医療などの社会保障を充実するなど、労働者・国民の懐をあたためる施策を大胆に進めることです。 巨額な内部留保をため込む大企業などに応分の負担を求め、軍事費などの無駄を削減して内需拡大の財源を確保することです。
 今の生活を守り、明日の日本社会に希望をつなぐたたかいに立ち上がりましょう。
 大阪・維新の会による憲法違反・競争主義強化の二条例制定や組合攻撃など、憲法をないがしろにする逆流とのたたかいを強めましょう。

◇すべての労働者・国民のみなさん
 日本でも世界でも、変化がおきています。6割の国民が「脱原発」を切望し、さる3月11日には全国で10数万人以上が「震災復興と原発ゼロ」を求めて行 動に立ち上がりました。消費税増税や「TPP参加」反対のたたかいでは、要求の一致点での国民的共同が全国で広がっています。アメリカでは「ウォール街占 拠」運動が世論を動かし、ヨーロッパでは投機のつけ回しによる財政緊縮策に反対するたたかいが国境をこえて広がっています。
 震災に便乗した期間社員の雇止めを撤回させる一方で、解雇・雇止めを容認する不当判決が出されるなど、労働者の権利と雇用をめぐる状況も複雑です。しか し、働く者すべてが力をあわせ、明日への希望を持ってたたかいつづければ、攻撃は必ず跳ね返すことができます。それは、世界の動きとメーデーの歴史からも 明らかです。
 今日を機に、「99%」の力の総結集で「雇用と仕事の確保、賃上げ、社会保障拡充で、内需中心の経済、震災復興、原発ゼロ」のたたかいを飛躍的に前進させましょう。
 働く者の団結万歳! 世界の労働者万歳! 第83回中央メーデー万歳!

2012年5月1日
     第83回中央メーデー集会

タグ:メーデー