2013年12月27日金曜日

福島の「いま」を見る・考える・・・旅(2)

 Jビレッジをあとにして、楢葉町に入った私たちは、宝鏡寺に向いました。600年の歴史を持つ古刹「宝鏡寺」の住職・早川篤雄さんは40年以上も地元で反原発の運動をされてきましたが、恐れていた原発事故が現実のものとなってしまい、お寺のご本尊様を持ち携えていわき市で避難生活をしています。当日、お寺に住職はいませんでしたが、原発事故の完全賠償をさせる会の佐藤さんに境内を案内してもらいました。楢葉町は2012年8月に警戒区域を解除され避難指示解除準備区域となり、泊まれないが日中の出入りはできるようになり、現在除染作業が進められています。宝鏡寺も除染作業をしたものの、裏山から木の葉や表土が落ちてくればすぐに放射線量が上がってしまい、今は作業をしてないそうです。早川さんがかつてお孫さんとすごした田んぼには、除染作業で出た汚染廃棄物の黒い土のうが積まれていました。静かな農村をこんな姿にしてしまった原発事故の罪深さを痛いほど感じました。
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 楢葉町の北の富岡町はさらに深刻な様相を呈しています。町の北部は今後4年以上帰れない「帰還困難区域」で、放射線量が高く立ち入りができないように柵で覆われています。人口の約3割がこれにあたるといいます。その手前が4年以内の帰還を見通せるという「居住制限区域」が人口の約6割ですが、津波と放射能汚染の両方に破壊されたJR富岡駅周辺は、まったく手つかずの状態で、壊れずに残った家屋の荒廃もすすんでいます。かつては桜の名所でにぎわった夜ノ森地区は、「帰還困難区域」との境になっており、放射線量(4~5μ㏜/h)が高いため、車から降りずに窓からゴーストタウンになってしまったその様子をうかがいました。
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 暗くなる前に、来た道をもとに戻り、夜はいわき湯本温泉のホテルに泊まりました。いわき市内にはたくさんの避難者が住んでいて、先の見えない生活のなかでストレスをためていたり困難が続いています。街の様子は表面的には落ち着いているように見えても、賠償について東電との交渉をめぐる問題や津波被災者や漁師の生活再建の問題などが山積しており、避難生活者と住民とのトラブルなども一部に生じているといいます。
 2日目は、避難を余儀なくされた双葉高校、双葉翔陽高校、富岡高校が教室を借りている(サテライト校)いわき明星大学、津波で校舎1階や実習棟、体育館などが壊されて一時は小名浜高校の校舎を借りていた県立いわき海星高校を見て回りました。日曜日で人気はありませんでしたが、様々な困難を乗りこえて学ぶ高校生の姿を想像しました。
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 原発被害と津波被害の被災者を支えて、もとの生活、あるいは新しい生活ができるようになるまで、国と東電、地方行政が最善の努力を払うことを強く願います。現地を視察した私たちは、立ち遅れている現実を多くの人に知ってもらい、福島県内で住む人々の生活と健康の保障、県外に避難している人たちへの支援、原発ゼロ=エネルギー政策転換を実現するまで、声をあげ続けていきたいと思います。
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福島の「いま」を見る・考える・・・旅(1)

 12月14日~15日、全国教育文化会館で働く仲間たち9人で、福島の被災地を視察する1泊2日の旅に行きました。1日目は、福島県の南にあるいわき市から北上して、福島第一原発から10㎞に位置する富岡町まで、10人乗りのレンタカーで見て回りました。「ガイドポイント」地図にあるように、津波被害が大きかった四倉から久之浜を最初に訪れました。放射線から子どもたちを守るための屋内の遊び場、地震・津波・火事・原発事故など、いくつもの困難に襲われた商店がおこした「浜風商店街」(久之浜町商工会)が、津波と放射能被害の重さを物語っていました。http://www18.ocn.ne.jp/~hisahama/
 次に行った広野町は、福島第一原発から30㎞圏内に位置し事故当時は全町民が避難しました。2011年9月に、国は広野町の緊急時避難準備区域の解除を発表し、広野町は詳細なモニタリングに基づく除染作業やインフラの整備をすすめてきました。2012年3月には、いわき市に移転していた役場機能を広野町の本庁舎に戻して従来の業務を再開しました。しかし住民は事故当時の人口5400人のうち約2割しか戻らず、小中学校生徒もいわき市内の仮設住宅などからバスで通学しているといいます。町の北部にあるJビレッジ(福島県、東京電力、日本サッカー協会、Jリーグが共同出資して作ったスポーツ施設)は、福島原発事故収束作業にあたる労働者の集結拠点になっています。ビレッジの裏側は除染作業で出た放射能汚染物を詰めた黒い大きな土のうが集められ、広い敷地に3段に積み上げられていました。(次回に続く)
◆被災地・現地視察ガイドポイント(クリックして拡大)
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2013年12月11日水曜日

日本IBMによるロックアウト解雇を許さない

 12月4日、もう一週間前のことですが、東京・千代田区の日本教育会館で、「許すな!日本IBMのロックアウト解雇 12・4大集会が開かれ、800人が参加しました。私もその一人です。
 集会は、南部合唱団によるうたごえ、コメディアン・松本ヒロさんのオンステージで始まりました。
 そのあと、東京地評議長の伊藤潤一さんが、「日本IBM解雇撤回闘争支援全国連絡会」の結成を宣言し、「日本IBMの乱暴な解雇攻撃は、すべての労働者にかけられた攻撃」だと訴え、全国連絡会への参加を呼びかけました。全労連議長の大黒作治さんは、「どこでも、だれでも解雇できる仕組みづくり、日本IBMはその先導役である。労働組合の存在価値が問われるたたかい。勝つまでたたかいぬこう」と訴えました。JMIU委員長の生熊茂実さんは、「解雇を制限する判例法理の『整理解雇の4要件』をすり抜ける違法・脱法だ。退職強要に反対し雇用を守ってきた労働組合弱体化を狙った解雇でもある」とこの間の経過を報告しました。
 IBM支部と原告が、寸劇で争議に立ち向かう原告家族と支部のたたかいを演じ、「僕は大人になったら、お父さんのように、勇気ある人になりたい」との子どもの作文に拍手がわきおこりました。日本IBM支部委員長の大岡義久さんは「人間の尊厳を奪い、犯罪者のように扱うロックアウト解雇を許せない。紙切れ一枚で首をきられてたまるか」と、たたかう決意を表明し、「集会アピール」を満場の拍手で確認しました。
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集 会 ア ピ ー ル

 本日わたしたちは、東京・日本教育会館大ホールにおいて「許すな!日本IBMのロックアウト解雇 12・4大集会」を開催し、800人を超える仲間が参加した。集会は、日本IBMのロックアウト解雇を告発するとともに、解雇攻撃とたたかうJMIU日本IBM支部の仲間を激励し、共にたたかう決意を固めあった。
 日本IBMではいま、いわゆるロックアウト解雇が猛威をふるっている。これは、終業時間間際に、突然、上司が労働者を別室に呼び出して解雇通告を読み上げ、「私物をまとめてただちに出て行け」と命じる極めて乱暴な解雇である。会社は、「就業規則上の解雇要件に該当する」と告げるのみで具体的な理由をいっさい示さないばかりか、労働組合との事前協議も行なおうとしない。
 このようなやり方で昨年7月以降、JMIU日本IBM支部組合員だけでも26人が解雇通知を受けた。そのなかには、労働組合活動の先頭に立ってきた役員が数多く含まれ、組合活動に重大な支障が生じている。しかも、職場単位でみると、JMIU組合員が集中的に狙われている。
 JMIU日本IBM支部は日本IBMの職場における唯一の労働組合として、常に職場での雇用と権利をまもるたたかいの先頭に立って奮闘してきた。ロックアウト解雇が、リストラによる利益の極大化と、労働組合と職場労働者との分断を図り、たたかう労働組合の団結破壊と排除を目的としているのは明らかである。
 JMIU日本IBM支部では、10人の組合員が解雇の無効を訴えて裁判所に提訴するとともに、労働委員会に不当労働行為の救済申立を行うなど、解雇撤回のたたかいに立ち上がった。マスコミもいまでは、日本IBMを「国内最大のブラック企業」と呼び、この事件に注目し始めている。
 「企業が世界でもっとも活動しやすい国をめざす」として、労働規制緩和をすすめる安倍政権の目標の中心は、「解雇の自由」にある。元社長が「リストラの毒味役」と自称したように、これまでも日本IBMは、他社に先んじて新しい手法のリストラを編み出し実行してきた。ロックアウト解雇も安倍政権がたくらむ「解雇の自由」そのものであり、この暴挙にストップをかけなければ、日本国中にロックアウト解雇の嵐が吹き荒れることになるだろう。こうした攻撃は日本IBMにとどまらず、全国の労働者・労働組合にかけられたものであり、総力をあげて反撃しなければならない。
 今日結成された、私たち「日本IBM解雇撤回闘争支援全国連絡会」は、多くの労働者・労働組合の結集により、「解雇自由」をはじめとする「安倍雇用改革」に反対する人々と広く手をつなぎ、日本IBMでのロックアウト解雇阻止のために総力をあげることを呼びかける。

2013年12月4日

              許すな!日本IBMでのロックアウト解雇 12・4大集会

2013年12月7日土曜日

秘密保護法案の強行採決・成立に抗し、憲法を守り生かすたたかいを

 昨日、参議院で強行採決された「特定秘密保護法案」に対する仁比そうへい議員の反対討論は、圧巻でした。「…同僚議員のみなさん、今この瞬間も立場をこえて国会を包囲し、国のすみずみから噴き上がっている、希代の悪法・特定秘密保護法案廃案、今国会成立などもってのほかという圧倒的な国民の声がどう聞こえているのでしょうか」(中略)「安倍政権がこの世論から逃げ切ったと考えるなら大間違いであります。追いつめつめられているのは、安倍政権と暴走する与党の側であります。たとえ国会多数をたのんで強行しても、法案の施行など許さない、廃止を求める国民のたたかいは一層燃えさかることになるでしょう」と抗議し、採決されてもさらにたたかいを進める決意を表明しました。
http://youtu.be/iYN1wFKbRG4

 日本弁護士連合会は、法案成立後直ちに「特定秘密保護法の採決強行に抗議する会長声明」をだし、「同法案の採決を強行したことは、内容面・手続面いずれにおいても国民主権・民主主義の理念を踏みにじるものであり、到底容認されるものではない」と強く抗議するとともに、「当連合会では、民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道の自由の侵害、重罰化、適性評価によるプライバシー侵害のおそれをはじめとした様々な問題点が残されている同法について、引き続きこれらの問題点の克服のための活動を行っていく所存である」と頼もしい決意表明をされました。*****************************************************************
 特定秘密保護法の採決強行に抗議する会長声明

 本日、参議院本会議において特定秘密保護法案の採決が強行され、特定秘密保護法が成立した。
 同法は、国民の知る権利を侵害し、国民主権を形骸化するものである。衆議院における4党修正案によっても、官僚が恣意的に特定秘密を指定する危険性を除去する実効的な方策は規定されておらず、その危険性は何ら変わっていない。そのため、同法案に対しては、報道、研究、映画界等様々な分野から廃案を求める意見が出されてきたところである。
 ところが、国会で審議が開始されてからも、衆議院においては、政府側からの答弁に不一致や変遷が起きるなどして審議が混乱し、みんなの党及び日本維新の会からの修正案を取り入れた4党修正案についてもわずか数時間の審議で採決がなされてしまった。参議院では、衆議院で検討が不足していた論点について、十分な検討がなされるべきであったが、参考人や公述人の多くが反対意見や問題点を指摘する意見を述べたにもかかわらず、これらの意見についても十分に検討がなされないまま、短時間の審議で採決が強行された。これは、およそ重要法案の審議とはいえず、国会の存在意義を自ら否定するに等しい。
 よって、同法案の採決を強行したことは、内容面・手続面いずれにおいても国民主権・民主主義の理念を踏みにじるものであり、到底容認されるものではない。この点について強く抗議する。
 当連合会では、民主主義社会の根幹である国民の知る権利や報道の自由の侵害、重罰化、適性評価によるプライバシー侵害のおそれをはじめとした様々な問題点が残されている同法について、引き続きこれらの問題点の克服のための活動を行っていく所存である。あわせて、国民主権確立のために不可欠な情報公開制度・公文書管理制度の改正、特定秘密保護法の有無にかかわりなく整備されるべき秘密指定の適正化のための制度策定に向け全力を尽くし続けることを誓うものである。

                   2013年(平成25年)12月6日

                            日本弁護士連合会
                            会長 山岸 憲司

2013年12月5日木曜日

秘密保護法を参院の特別委員会で強行採決

 今日(12月5日)は、国会周辺(参院議員会館前と国会正門前など)で終日、特定秘密保護法の採決強行を許さない行動が行われました。昨日の国会包囲ヒューマンチェーン行動(6000人)に続く大規模な市民のデモンストレーションが展開され、私も参加しました。
 「秘密保護法」廃案へ!実行委員会が呼びかけた午後3時40分からの参院議員会館前の抗議行動の最中に委員会強行採決の知らせが入りました。混乱した委員会採決は、委員長の発言も聞こえず、何がどうなったのか分からないものだったということです。
 以下は毎日新聞 5日21時43分配信記事です。

 「議長!」。午後4時過ぎ、自民党の石井浩郎議員が突然、手を挙げて叫んだ。「委員長」と言うべきところを間違えたらしい。8人予定されていた質問者の7人目、宇都隆史議員(自民)の「国民に丁寧に説明すべきではないか」という質問に森雅子法案担当相が答えた直後。審議を打ち切り採決を求める動議だった。
 委員長席に野党の理事が殺到。マイクを奪って机をたたき、中川雅治委員長(自民)の発言を遮るかのように口の前に紙をかざす。自民党理事の佐藤正久議員の合図で与党議員が無言で起立した。中川氏は口を動かしたが、まったく聞こえない。午後4時7分だった。
 「何も聞こえていない。こんなのは絶対許されないぞ!」。仁比聡平議員(共産)が委員会室を退出する中川委員長の前に立ちふさがったが、一緒に出てきた多数の与党議員に押しのけられた。
 がらんとした委員会室では、民主党理事の福山哲郎議員が書類を机にたたきつけ、傍聴席に向かって叫んだ。「理事会では、今日採決なんて話は出てませんから!」~(以下省略)

 夜の抗議行動は、今まで以上に熱がこもり、次々に仕事を終えた人たちが国会に押しよせてきました。国会正門前行動での「秘密保護法絶対廃案」のコールは、ドラム隊から力をもらい、途切れることなく続きました。明日の参院本会議での採決を許さず、廃案にするための世論と行動を、もう一回り大きくしていきましょう。
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2013年12月3日火曜日

「秘密保護法」廃案へ!12・2国会前キャンドル行動

 貧困と格差の拡大、「愛国心」教育の押し付け、国家安全保障会議の設置、そして「特定秘密保護法」制定は、日本をアメリカとともに戦争する国へと作りかえるために、自民党が一貫してすすめてきた政治路線です。石破幹事長が、「秘密保護法」に反対する市民のデモを敵視して、「テロ」呼ばわりしたことは、こうした自民党の政治路線の本質をあらわにしたものです。
 今日(12月2日)午後6時から国会議員会館前で行われたキャンドル行動には、1500人が集まり、民主主義を否定する石破氏の発言と「秘密保護法」を許さないという市民の怒りが一段と強まりました。
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2013年11月10日日曜日

福島原発事故 絶望から希望へ(DVD)

 原発をなくすいわき市民の会が制作した、ドキュメントDVD「福島原発事故 絶望から希望へ」を見ました。
 第1章「絶望」では、双葉町の病院に勤めていた看護師さんの原発事故当時の生々しいお話し、楢葉町からいわき市に避難してきた金井さんと、同じく楢葉町にある宝鏡寺の住職である早川さんのお話しを聞きました。楢葉町は昨年、「避難指示解除準備区域」とされ、立ち入りが許され除染作業がされていますが住むことはできません。住宅ローンは残り、この先の見通しがまったく立たない生活を強いられています。自宅でくらせない被害者は14万人におよんでいます。
 第2章「危機」は、高い放射線量のなかで十分な身分保障や手当の支給もなく働かされている原発労働者の告発です。2012年7月から12月まで福島第一原発で働いていた上地さんのお話しは、作業現場の危険でずさんな実態をあらわにしていました。
 第3章「希望」では、危険な福島第一原発作業現場での事故から労働者を守り、下請け労働者への危険手当支給を勝ち取るために声を上げ、東電と交渉する粘り強い活動が紹介されました。また、楢葉町から避難してる早川さん、金井さんをはじめ原発避難者39人が東電を相手に損害賠償を求めて提訴し、たたかっています。原発をなくすいわき市民の会は、こうした活動を支援して「国の責任で原発労働者を守り、事故を収束させること」「原発事故による実際の被害、精神的被害に対して完全賠償すること」「原発事故を繰り返さないために原発をゼロにすること」を求めています。
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 原発事故による避難生活者は、いわき市だけでなく全国にちらばっています。東電の無責任な対応を追及して完全賠償させること、廃炉・収束作業を国の責任で行い、労働者の安全に最大限の配慮をすることは喫緊の課題です。多くの人にこのドキュメンタリーを見ていただきたいと思いました。1枚500円で販売されています。 お申し込みは、FAX  0246-27-5914 (会事務局)まで。お問い合わせはTEL  0246-27-5911 へ。
日本共産党いわき市議団のHPを参照してください。 http://pub.ne.jp/jcpiwakishigidan/
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2013年11月9日土曜日

国家安全保障会議と特定秘密保護法に反対

 安倍政権が、今臨時国会での成立をめざしている「国家安全保障会議」創設関連法案と特定秘密保護法案は、集団的自衛権行使とともに、日本をアメリカとともに戦争する国にするためのものであり、絶対に容認できません。
 11月7日、「国家安全保障会議設置法案」は、衆院本会議で、自民、公明、民主、維新、みんなの賛成多数で可決されました。(日本共産党、生活の党、社民党は反対)
 国家安全保障会議は、首相、官房長官、外相、防衛省による「4大臣会合」を定期的に開催し、安全保障の基本方針などを決めるというものですが、アメリカとの軍事機密や武器開発に関する情報を共有することを前提とし、有事の際の自衛隊の運用や作戦計画など、外交・安全保障戦略を推進するとしています。本来、憲法九条が禁止している集団的自衛権の行使を想定している点が重大な問題点です。
 そして、同法案とセットのものとして審議入した「特定秘密保護法案」は、政府・官僚が安全保障上重要と考える防衛、外交、スパイ活動の防止、テロ防止に関わる情報を「特定秘密」に指定し、それを漏えいした者を処罰するというものです。政府が知られると都合の悪い情報を隠し、私たち市民には何が秘密なのかも秘密です。具体的に何を秘密とするかは、行政機関の長の判断で決められ、その判断が正しいかどうかをチェックする第三者機関はありません。
 新聞各社は、秘密保護法及び国家安全保障法について、その問題点を指摘し、徹底審議を求めるの論説を伝えています。「北海道新聞」は、11月8日の社説で、両法案の成立を許せば「自衛隊の海外での武力行使など憲法の平和主義を逸脱した方針が首相ら少人数で秘密裏に決められてしまう恐れが強い」…「偏った情報を基に少人数で方針を決めれば、イラクに大量破壊兵器があるとの誤情報に基づいて米国が開戦に踏み切り、日本もそれを支持したような重大な判断ミスも起こりやすくなる」…「首相以下わずか4人の密室会合で国の行方を左右する重要方針が決められ、その決定過程や判断の妥当性をだれも検証することができない。そんな組織づくりを許して良いのか。参院でじっくり議論してほしい」と強く主張しています。
 7日には、STOP!「秘密保護法」11.21大集会実行委員会の主催で昼の国会前行動、夜の官邸前抗議行動が行われ、私も参加しました。11月21日の夜、東京・日比谷野外音楽堂で幅広い市民団体が共同して開く11.21大集会にむけて、世論と行動を大きく広げていこうと思いました。

2013年10月9日水曜日

憲法9条に違反する「集団的自衛権行使」は絶対に許さない

 10月7日、「九条の会」呼びかけ人の大江健三郎さん、奥平康弘さん、澤地久枝さんと事務局長の小森陽一さんは、記者会見で「集団的自衛権行使による『戦争する国』づくりに反対する国民の声を」と題するアピールを発表しました。憲法九条の解釈変更によって集団的自衛権行使を可能にすることを狙う安倍政権を批判し、「草の根からの世論で包囲し、この暴走を阻むための行動にたちあがりましょう」と呼びかけています。アピールの全文は以下のとおりです。
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集団的自衛権行使による「戦争する国」づくりに反対する国民の声を

 日本国憲法はいま、大きな試練の時を迎えています。安倍首相は、「憲法改正は私の歴史的使命」と憲法の明文を変えることに強い執念をもやす一方で、歴代内閣のもとでは「許されない」とされてきた集団的自衛権行使に関する憲法解釈を転換し、「戦争する国」をめざして暴走を開始しているからです。
 日本が武力攻撃を受けていなくともアメリカといっしょに海外で戦争するという集団的自衛権の行使が、「必要最小限度の範囲」という政府の従来の「自衛権」解釈から大きく逸脱することは明白です。それどころか、日本やアメリカの「防衛」ではなく、日米同盟を「世界全体の安定と繁栄のための『公共財』」(防衛省「防衛力の在り方検討に関する中間報告」)とみなし、世界中のあらゆる地域・国への武力介入をめざす体制づくりです。
 この企ては、本来なら衆参両院の3分の2以上と国民投票における過半数の賛成という憲法「改正」の手続きを経なければ許されない内容を、閣議決定だけで実現してしまうものです。そのため、長年にわたり集団的自衛権行使を違憲とする政府の憲法解釈を支えてきた内閣法制局長官の入れ替えまでおこないました。麻生副総理が学ぶべきと称賛したナチスがワイマール憲法を停止した手口そのものです。これは立憲主義を根本からつき崩すものであり、とうてい容認することはできません。
 それだけではありません。安倍内閣は、自衛隊を戦争する軍隊にするために、海外での武力行使に関する制約をすべて取り払い、「防衛計画の大綱」の再改定により、「海兵隊的機能」や「敵基地攻撃能力」など攻撃的性格をいちだんと強めようとしています。
 「戦争する国」づくりにも足を踏み入れようとしています。すでに安倍内閣は、防衛、外交に関する情報を国民から覆い隠し首相に強大な権限を集中する「特定秘密保護法案」や日本版NSC(国家安全保障会議)設置関連法案などを臨時国会に提出しようとしています。自民党が作成した「国家安全保障基本法案」では、「教育、科学技術、運輸、通信その他内政の各分野」でこれらの「安全保障」政策を優先させ、軍需産業の「保持・育成」をはかるとしているばかりでなく、こうした政策への協力を「国民の責務」と規定しています。これを許せば、憲法の条文には手をふれないまま自民党が昨年4月に発表した「日本国憲法改正草案」における第九条改憲の内容をほとんど実現してしまいます。
 さらには福島原発事故の無責任と棄民、原発技術輸出の問題、その他問題山積の現状があります。
 戦前、日本国民はすべての抵抗手段を奪われ、ズルズルと侵略戦争の泥沼に巻き込まれていった苦い経験をもっています。しかし、いま日本国民は国政の最高決定権をもつ主権者であり、さらに侵略戦争の教訓を活かした世界にも誇るべき九条を含む日本国憲法をもっています。いまこそ日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、歴史の教訓に背を向ける安倍内閣を草の根からの世論で包囲し、この暴走を阻むための行動にたちあがりましょう。

 2013年10月7日
                               九条の会

2013年10月6日日曜日

グローバルフェスタ JAPAN 2013

 10月5日~6日、東京・日比谷公園でグローバルフェスタJAPAN2013が開催されています。今年のテーマは「見つけよう!世界とつながるあなたのトビラ」です。今日は一日雨模様で、足下が悪かったのですが、高校生から大人までたくさんに人が来ていました。
 最初によったのは、JANIC国際協力ブックフェアのテントです。国際協力NGOの情報誌「シナジー」最新号(vol.159)の特集2「エシカル✕NGO~可能性を探る~」は興味深く読みました。「エシカル」という言葉は、人・社会や地球に配慮し「倫理的に正しい」消費行動やライフスタイルを指し、エコ、フェアトレードや社会貢献などを含んだ考え方です。エシカルなアパレルブランド「エシカルファッションジャパン」の伊藤瞳さんのお話し、「エシカルコットンサミット」を開催した特定非営利活動法人ACEの白木朋子さんのお話を読んで、消費者の側、企業の側が、生産地の労働や環境問題に目を向けていく機会を作り広げていくことが大切だと思いました。
 次に足を運んだのは、スカイエリアにテントを出していた日本国際ボランティアセンター(JVC)です。ここで毎年、JVC国際協力カレンダーを買っています。2014年のカレンダー「心のお陽さま」によせた、写真家・安田菜津紀さんのコメントを紹介します。「…未来を担う子どもが笑えない社会は、豊かとは言えません。これまで、日本で、海外で、決して楽とは言えない生活を送る子どもたちとたくさん出会ってきました。彼らと話をしていると、生活の苦しさだけでなく、家族を支えることへの誇りや、置かれた環境を生き抜いてきたたくましさを言葉の節々に感じます。…『心のお陽さま』というタイトルは、彼らと出会い、温かな心をもらった感謝の気持ちであり、そして彼らの心に光がふりそそぎ続けてほしいという願いからつけました。このカレンダーを見た皆様の心にもまた、温かなお陽さまの光が届きますように。」
 次は、イエローエリアの日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)のテントです。内戦が続くシリアの文化と古い遺跡の写真が展示してありました。それを見ながらスタッフの方のお話を聴き、一日も早い内戦の終結と平和なシリアへの難民の帰還を強く願いました。シリアでつくられたオリーブオイルソープ「アレッポの石鹸」を買いました。
 最後に、グリーンエリアの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のスタッフの方に声をかけられて、難民が実際に使っているテントの中に入り、クイズラリーに参加しました。(写真2枚目) UNHCRクイズは10問あって、難民・避難民キャンプの実際を想像し、考え、学ぶことができるように工夫されていました。私は、7問正解でした(^_^)。
 毎年開催されているグローバルフェスタJAPAN は、本当にたくさんの国際協力NGOのみなさんが、一生懸命に活動していることが伝わってきて、とてもよいイベントだと思います。明日(10月6日)も開催されますので、ぜひ足を運んでみてください。
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2013年9月29日日曜日

消費税増税に絶対反対!

 昨日(9月27日)東京・日比谷野外音楽堂で開催された「9.27消費税大増税ストップ!! 国民集会」に参加しました。集会は、全国から労働組合、中小業者、年金者組合、市民団体の人々が集まり、会場をあふれる5000人の熱気に包まれました。
 消費税は、たびたび指摘しているように、所得のない(所得税非課税の)人からも税金を巻き上げる、逆進性の強い悪税です。経営が赤字の業者でも納めなければいけません。法人税であれば、赤字なら課税されません。一方、輸出大企業には、「海外での販売には日本の消費税を課すことができない」という理由で、「輸出戻し税」だといって消費税が還付されます。(参考「戻し税-どこか腑に落ちない輸出企業への消費税の還付」 http://president.jp/articles/-/8619 PRESIDENT Online )
 このような矛盾に満ちた消費税の増税を許せません。消費税増税法の附則にしたがって、「施行の停止を含め所要の措置を講ずる」ことができるので、あきらめずに声を上げていきましょう。
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9・27集会アピール

 安部首相が10月早々にも判断する2014年4月からの消費税増税をめぐり、矛盾が広がっています。この情勢のもとで私たちは、消費税大増税の中止を願う国民の声を届けるため、本日9月27日、全国津々浦々から日比谷野外音楽堂に集まりました。
 -「低賃金で子どもを産むことすら躊躇している。増税で人間としての幸せを奪わないで」、「物価が上がり、介護保険は上がり、医療費も上がる。一方で年金は下がる。今後どうやって暮らせばよいのか」-。多くの国民は2014年4月の8%への大増税に反対です。国民の意思を無視して大増税の道を突き進むべきではありません。
 国民の暮らしも日本経済ももうまったなしの深刻な状況です。東日本大震災・東電福島原発事故の被災・被害者はいまだに復興からは程遠く、多くの人が苦しんでいます。ここに、13兆5000億円といわれる大増税が強行されれば、格差と貧困はさらに広がり、税収は増えず、「デフレ」脱却にもがく日本経済を奈落の底におとしいれます。
 史上最大の消費税増税を、わずかの期間の経済指標で判断するのは無謀です。しかも、判断の基準とされたGDPの押し上げは、大型公共事業のバラマキや投機優遇の金融緩和によるものです。大多数の国民の景気回復感は薄く、恩恵はありません。そのうえ、さらなる大企業減税に言及する閣僚もおり、庶民から吸い上げた税金を大企業に回すなど言語道断です。一方、医療・介護・年金・生活保護が次々切り捨てられ、国民に二重の負担増が押し付けられており、「社会保障のため」という理由付けも破綻しています。
 私たちは憲法の「応能負担」の原則にそって、能力に応じて税金を集め、使い方も、国民本位に改めていくことが必要と考えます。大企業への行き過ぎた減税や富裕層への優遇税制を見直し、国民のくらしと権利を守るルールをつくり、国民の所得を増やせば景気は持ち直します。さらに、ムダな支出を削減し、国民のくらし、福祉、教育の充実などに税金を優先的に使えば地域から経済が活性化します。
 国民のみなさん。
 「消費税は必要」という人も、「いま増税するのは反対」の一点で大同団結し、今回の増税を中止させようではありませんか。
 歴史は、重税に対して声をあげた国民が政治を動かしてきたことを教えています。昨年の増税法成立以来、増税中止を訴えてきた私たちの運動と世論によって、いま、追い詰められているのは安倍政権・増税勢力の側です。国民不在の政治は必ず退場に追い込まれます。「大増税は中止を」の声を全国津々浦々に広げ、消費税大増税をストップさせましょう。

2013年9月21日土曜日

「若者にまともな雇用を!」キャンペーン☆おかしいでしょ!若者の使い捨て!

 いま、安倍政権がすすめている景気対策と「雇用改革」は、企業の利益を確保するために、大企業優遇税制を拡大したり、非正規労働者の低賃金を放置して、首切り自由の「限定正社員」制度を導入するなど、労働者の貧困と格差をいっそう酷くするものです。「ブラック企業を許すな!」の世論は大きくなってきましたが、若者の使い捨ては後を絶ちません。全労連は、「若者にまともな雇用を!」キャンペーンにとりくみ、ビラや討議資料を作成し、活用を呼びかけています。このキャンペーンがめざす重点課題は、1)若者が自立して暮らせる賃金の底上げ、2)ブラック企業対策の抜本的強化、3)就活地獄の解消です。
 もうひとつ、労働組合青年部と青年・学生団体が実行委員会を結成して準備している「全国青年大集会2013」の取り組みがあります。「もう黙ってはいられない!! まともな仕事と人間らしい生活を」と呼びかけて、10月20日に東京・明治公園で、分科会・ブース企画、メイン集会、アピールウォークを行います。
 青年だけではなく、日本の多くの労働者が、長時間・過密労働と低賃金、パワハラ、メンタル疾患、人権侵害に苦しめられています。全労連のキャンペーンと青年大集会の成功、そして国民世論の力で、政府と国会を動かして、労働者の生活と権利、若者の今と未来を守っていきましょう。

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2013年9月16日月曜日

「ブラック企業」を許さない世論と行動、労働行政の拡充を!

 昨日(9月15日)、千葉市文化センターで「ブラック企業をなくそう! 吉良よし子参院議員と語る若者のつどい」が開催されました。主催は日本共産党千葉県委員会で、司会・コーディネーターは寺尾さとしさんでした。
 吉良さんは、ご自身の就職活動の経験に触れながら、今の若者が苦しめられている就職の困難と、やっと就職できても、「サービス残業当たり前」といった違法が常態化している実態を指摘し、参議院選挙で「ブラック企業」を告発する演説をすると、多くの人から反響があったことを話されました。青年労働者を長時間・過密労働で酷使して、病気になれば使い捨てといったことが、日本の企業に蔓延しています。
 参加者からは、航空会社に勤める女性が妊娠出産を理由に雇い止めを通告され、労働組合の支援を受けて裁判をたたかう決意をしたこと、日本郵便で非正規労働者の割合が高く、最賃ぎりぎりの給料で若い人たちは辞めていき、現場に過酷な労働が押し付けられていることが告発されました。
 製造業(ナノテック)で働く男性は、業績不振を理由に給与カットされボーナスも支給されず、労働組合を結成して団体交渉をしたがゼロ回答。さらに組合員に対してマイク付き監視カメラで四六時中監視するなど、人権侵害が行われていることが報告されました。
 「A中央病院」を突然解雇された男性は、労基署に宿日直に対する不払い賃金の支給を求めたことが処分理由であり、不当解雇を撤回させるためにたたうとともに、地域医療を守る運動をすすめていくことを表明しました。
 高校の教師は、学生のアルバイトがまったくの無権利状態で、最低賃金違反の企業や働いてもバイト料を1円ももらえずに辞めていく子どもがいることにふれ、ブラック企業の問題を学校で教えていくことが必要だと話されました。
 日本IBMにロックアウト解雇された男性は、このような無法を許すことはできないと裁判でたたかっていることを報告し、解雇の本質は労働組合つぶしであり、不当労働行為であるとして、大きな支援を寄せてほしいと訴えました。
 吉良さんはまとめの発言で、安倍政権がねらう労働法制の規制緩和をくいとめて、長時間労働、サービス残業を告発して、それを是正させるための労働行政の拡充(予算増)が必要であると述べ、全労連の「働くあなたに贈る権利手帳」を読んだり、厚生労働省の「知って役立つ労働法」などを活用して学習を広げ、組合に入るのが当たり前、産休・育休をとれるのが当たり前の社会にしていくために声を上げていこうと訴えました。
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2013年9月11日水曜日

社会権規約及び拷問等禁止条約に関する審査と日本の人権問題(1)

 月刊誌『前衛』10月号に掲載された「世界の逆を向く『人権後進国日本』-社会権規約・拷問等禁止条約審査を傍聴して」(吉田好一・著)を読んで、日本政府による人権問題への取り組みの遅れと不誠実な対応が、世界からみてひどいものであることを痛感しました。その内容を抜粋・要約して紹介します。
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[国連人権規約・条約は人権の国際基準]
 4月30日に社会権規約日本政府報告審査(第3回)、5月21日・22日に拷問等禁止条約(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約)第2回審査が行われました。また、来年7月には自由権規約第6回日本政府報告(政府報告は昨年4月に提出)審査が予定されており、今年10月に行われる委員会で日本政府に出される質問事項(リスト・オブ・イシュー)に向けて、NGOとしての対応も準備中です。このように今年は多くの問題をもつ日本の人権状況を前進させるための重要な年です。ほとんどのメディアがまともに取り上げていないだけに、多くの人たちに関心をもってもらうためには人権NGOの努力が重要です。

 社会権規約第3回日本政府報告審査

[審査前に行われた2回のNGOミーティング]
 4月29日(審査前日)、パレ・ウィルソン(国連人権高等弁務官事務所)の審査会場と同じ部屋で、NGO主催の「ランチタイム・ブリーフィング」と社会権規約委員会主催のNGOミーティングの両方が行われました。どちらも委員とNGOが参加し、日本の人権状況をNGOが発言し、委員からの質問や意見が出され、それにまた答えるなどのやり取りも行われます。
 発言は、日弁連、ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク、在日朝鮮人人権協会、ヒューマンライツナウ、社会権規約NGOネットワーク、社会権規約NGOレポート連絡会議などが発言しました。国際人権活動日本委員会からは、年金者組合、過労死家族の会、JAL不当解雇裁判原告の3人が発言し、委員からの質問にも答えました。

[日本政府報告書審査を傍聴]
 社会権規約委員は、ロシア、エジプト、カメルーン、ポルトガル、インド、アルジェリア、ポーランド、スペイン、エクアドル、ベラルーシ、モーリシャス、ブラジル、スリナム、オランダ、韓国、コロンビア出身の17人です。審査には日本政府代表団として、外務省、男女共同参画室、内閣府、法務省、厚生労働省、文科省、環境省などから16人、ほかに関連する国連機関やマスコミ関係者なども出席しているので、会場は常時満員状態でした。
 まず日本政府代表が「2009年12月に提出した第3回政府報告書から3年目になる」と切れ出し、リスト・オブ・イシューへの回答内容を含めて、男女平等、人身取引、障害者、雇用問題、社会保障、大震災など全般的な問題に関して発言しました。それを受けて社会権規約委員から日本政府に対し、質問し、答えを求め、あるいは委員の見解を述べるという形式で行われました。東日本大震災、福島第一原子力発電所事故と放射能汚染、労働者の権利(長時間労働、非正規雇用、解雇、差別、過労死など)、女性差別、社会保障、貧困、自殺問題、「慰安婦」問題など多岐にわたって委員から質問と意見が出されました。
 それらの意見は「日本委員会」を含めて、NGOが提出した大量のレポート(机の前に並べられている)を読んだ上で、さらに委員の意見を主張するものです。同時適訳で聞きながら心打たれました。
 日本政府代表団の回答は、用意したペーパーを読み上げるだけの通り一遍な回答で、委員の質問へのまともな回答になっていない場合が多く、建設的対話にもなりません。今回の審査では、日本政府が長い間批准を留保していた社会権規約13条2項の留保が撤回されたので、そのことも議論されました。
 ワリード・サディ特別報告者(ヨルダン)が、「積極的側面として評価される社会権規約第13条2(b)(c)(中等教育及び高等教育における無償教育の漸進的な導入)の留保撤回について問題を残している」として、「高等学校の無償化から朝鮮学校が排除されているのは平等の権利に反する。北朝鮮の拉致問題と日本にある朝鮮学校に通っている子どもは何の関係もない。日本で生まれ、日本で育ってきた子どもを排除する理由にはならない」と発言しました。また日本軍「慰安婦」問題についても、「日本政府の対応はドイツと違う。ドイツがヨーロッパで受け入れられたのは、ナチスが犯した犯罪へのドイツの反省・謝罪をしているからだ。次の世代が同じことを操り返さないためにも日本もドイツと同じように対応してもらいたい」と発言しました。
 後日、拷問等禁止条約の審査の折に、お会いした社会権規約委員のシン・へイシュウさん(韓国)は、「日本は過去に向き合ってこそ未来がある」と言いましたが、日本政府代表の発言は、過去を振り返らず、反省もせず、現在の「北朝鮮」を持ち出すなどまったく恥ずかしくなる回答でした。

(次回に続く)

2013年9月4日水曜日

シリアへの軍事攻撃反対!平和解決に努力を

 米オバマ大統領は、シリアのアサド政権が反政府勢力に対して化学兵器を使ったとして、軍事攻撃を行なうと発言し、議会に承認を求めています。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は、内戦の当事者に対する外部からの軍事的支援について、「軍事の理論が一つの国を完全な破壊の瀬戸際に追いやり、地域を混乱に陥れ、世界規模の脅威をもたらしている。なぜ火に油を注ぐのか」と厳しく警告しています。大量破壊兵器を隠しているという理由で、米国をはじめとする多国籍軍が行ったイラク戦争(2003年3月~2011年12月)の過ちを繰り返すことになります。
 アメリカは、9・11同時多発テロ(2001年)以降、アフガニスタンへの報復戦争、イラク戦争と10年にわたって軍事攻撃を続けてきました。アフガニスタンでは度重なる誤爆で、多くの民間人が殺されました。イラクでは、ファルージャ掃討作戦などの無差別殺戮が行われましたが、こうした戦争犯罪への反省はありません。イラク戦争開始前後に、国際的な反戦デモが広がり、日本でもイラク戦争反対集会が開かれました。しかし、当時の小泉総理は、真っ先にアメリカの戦争を支持すると発言しました。このときの口惜しさを私は忘れません。
 そして、長引いたイラク戦争は、イラク人だけでなく、米軍やその同盟国の兵士にも多くの犠牲を生みました。
イギリスやフランスでは、この過ちを繰り返すなと、「NO WAR on Syria 」の世論が高まり、イギリス議会は先月29日、シリアへの軍事介入に関する議案を否決しました。
 一方、自民党の石破幹事長は31日、「米国が提示した(化学兵器使用の)証拠を日本政府として説明を受け、国民にも説明できるのであれば、時を置かずにその行動を支持することが必要だ」と述べ、米軍の軍事介入に理解を示しています。
 私は、政府自民党が「集団的自衛権の行使」に関わる憲法解釈を変えて、アメリカとともに戦争する国に日本をしようとしていることと、米・シリア戦争への動きがリンクして、憲法9条を壊す重大な危機に直面することを懸念しています。日本国内で「NO WAR on Syria 」の世論と行動を大きくしていかなくてはいけないと思います。今日(9月3日)の夕方、日本原水協の呼びかけで行われた「シリアへの軍事攻撃反対と問題の平和的解決を訴える緊急宣伝行動」に参加しました。
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2013年9月1日日曜日

虹がかかるまで ~本当は、いじめは嫌なんだ~

 今日、東京・北区赤羽会館で、子どもたちと弁護士がつくるお芝居「虹がかかるまで ~本当は、いじめは嫌なんだ~」を観ました。東京弁護士会は、1994年の子どもの権利条約の批准を機に、「もがれた翼」と題して、子どもを取り巻く現実とその現代的課題をテーマにすえて、子どもたちとお芝居を上演してきました。今回は、そのパート20(20回目)の劇となりますが、私は初めての観劇です。(脚本:坪井花梨/演出:米内山陽子)ストーリーを紹介します。
 主人公、水沢萌は、百田中学校三年生。入学式の時に友達になった亜里紗たちから酷いいじめを受けて、法律事務所に相談の電話をします。萌の相談を受けもつ新人弁護士の桐谷は、学校に聞き取りに入りますが、学校側は記名式の生徒アンケートの結果を示して「いじめはない」の一点張り。萌の母親のきつい抗議の電話をうけて「モンスターペアレント」だと警戒するありさま。
 萌のクラス担任は、生徒にからかわれることが多く、萌の事件を知りながらも対応が遅れ、メンタルを患い休職をする事態になる。桐谷弁護士は、ボス弁・三浦のアドバイスをうけ、区の「子どものオンブズパーソン」(第三者委員会)の力を借りる。
 学校側の後手後手の対応のなか、とうとう萌は、校舎から飛び降り、自殺未遂をしてしまいます。心から萌を心配し、親身に話し相手になる桐谷。マスコミの取材攻勢から子どもたちを守る弁護士。いじめ問題解決のために真摯な対応を求められ、動き出した学校。
 いじめる側の子どもの苛立ちとその根底にある家庭の問題をしっかり受け止めて、様々なソーシャルネットワークがサポートに入る。いじめた側も、いじめられた側もこうした支援によって立ち直っていく。しかし「いじめ」で失った日々は戻らないし、心の傷跡はなくならない。
 先輩弁護士は言う。「いじめはなくならないと思う。でも、いじめがあったとき、早く周囲が対応すれば解決することはできる」 ・・・・ 子どもたちと弁護士による熱演は、とてもリアリティがあり、観る者の心を打ちました。

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2013年8月26日月曜日

国境をこえ、かけがえのない「いのちの輝き」

 今日、DAYSフォトジャーナリズム祭 in 赤レンガ倉庫 を観に行きました。
 前回の記事で内容紹介しましたが、私が観た順で再度紹介します。
 DAYSの展示がされている赤レンガ倉庫1号館は、2棟ある赤レンガ倉庫の小さい方の建物です。
 今日は、その1号館脇の広場に消防車がならんでいて、何だろうと思ったら、「横浜防災フェア2013」が開催されていました。
 2階に上がって、休憩スペースの向こうに受付が見えました。中は撮影禁止だと思ったので、入る前にスナップ写真を1枚撮りました。受付で入場料を払い、左手(無料スペース)のアニマルワールド「びっくり動物写真展」を堪能し、その奥の部屋へ移動。
 そこは、沖縄の基地問題を中心にした展示です。最初の「米軍政下で生きる」は、1960年 団塊の子ら(森口豁さん)から1965年 那覇市での中高生の「大行進」(森口)まで、その時代を感じさせる作品がならんでいました。次の「復帰40年目のオキナワ」は、沖縄県高校生文化連盟がまとめた高校生による作品で若い感性を感じました。そして、沖縄タイムス社による報道写真が続きます。私が強い印象を受けたのは、1969年2月4日「B52出ていけ」で、2・4ゼネストに結集した約4万人が嘉手納基地を包囲するなか、爆音を立ててベトナムに飛び立つB52戦略爆撃機の大きな翼です。それから、1959年6月30日、宮森小学校に米軍戦闘機が墜落して多数の死傷者がでた事件で、米兵に担架で運ばれる子どもの痛々しい姿です。
 左側一番奥の部屋は、広河隆一さんが40年間撮り続けた作品をまとめた「チェルノブイリから福島、そして世界の戦場」です。去年のDAYS JAPAN写真展で観た「新・人間の戦場」の作品があり、2002年・パレスチナ西岸地区カランディア検問所でイスラエル兵に対して長時間Vサインをかかげ続けるパレスチナ人女性の写真に目を引かれました。
 右側奥の部屋は「拝啓、震災後を生きる子どもたちへ、大人たちへ」で、爆発した福島第一原発の写真からはじまり、チェルノブイリ原発事故後のウクライナ周辺の村の写真では、農地を放射能で汚染された老夫婦の姿を目に焼き付けました。「福島の人々の声をきく」では、先の見えない避難生活のなかで懸命に生きる母子の写真とコメントを見ました。そして放射能汚染から子どもたちを守りたいと作られた保養施設「沖縄・球美の里」で福島の子どもたちが撮った写真がありました。きれいな海で笑顔で遊ぶ子どもたちの姿が輝いていました。
 右側の次の部屋は、「地球の上に生きる」第9回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞受賞作品です。ここに展示されていた作品は、以前私のブログでも紹介しましたので省略します。
 最後に、受付の右側の部屋が「いのちのかたち~誕生・成長・老い・死~」の作品です。宮崎雅子さんの「Mother-いのちが生まれる」「NICUのちいさないのち」を観ると、すべての赤ちゃんが幸せでありますようにと祈る想いがこみあげてきます。ブルース・オズボーンさんの作品は、親子をテーマにしたもので、東日本大震災の被災地で生きる親子の絆を強く感じました。大塚敦子さんの「さよなら、エルマおばあさん」は多発性骨髄腫(血液のガン)を患いながら生きて、穏やかに死を迎える、そんな心を感じる作品でした。
 国境や民族をこえて、「平和に生きたい」と、ささやかな幸せを願う想いが、どの作品群にも共通して感じられました。DAYSフォトジャーナリズム祭 in 横浜赤レンガ倉庫は、8月28日までです。ぜひ足を運んでみてください。
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2013年8月12日月曜日

DAYS フォトジャーナリズム祭 in 横浜赤レンガ倉庫

 「いのちの地球(ほし)に生きる」をテーマに、DAYS フォトジャーナリズム祭が、8月16日から、横浜赤レンガ倉庫で開催されます。
 内容がたいへん充実していますので紹介します。
赤レンガ倉庫1号館2Fで開催の「企画展示」は、
①「触れる地球とびっくり動物…◎アニマルワールド「びっくり動物写真展」
   ◎夏休み子ども自由研究「触れる地球」で地球環境を考えよう(8/20~27)
②「いのちのかたち~誕生・成長・老い・死~」…
   写真:宮崎雅子、大塚敦子、ブルース・オズボーン
③「沖縄」…沖縄タイムス紙や沖縄の高校生たち、ほかの伝える沖縄
④DAYS JAPAN 写真展「地球の上に生きる2013」…
   第9回DAY国際フォトジャーナリズム大賞受賞作品約60点を展示
⑤広河隆一「チェルノブイリから福島、そして世界の戦場」…
   2面大型スクリーンで体験する、広河隆一が撮り続けた世界
⑥「拝啓、震災後を生きる子どもたちへ、大人たちへ」…
   ◎子どもたちのために何ができるのか ◎チェルノブイリから学ぶ、福島の
   今とこれから ◎福島の子どものための保養施設「沖縄・球美の里」写真展

 以上の企画展示の他に、横浜市開港記念会館で16日と18日に「イベント」が行なわれます。いずれも魅力的な企画ですので、ぜひ足を運んでみてください。
http://www.daysjapan.net/event-info/pdf/chirashi201307_1.pdf
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2013年8月16日(金)~28日(水)
時間 12:00~18:00 (金曜と土曜日は19:00まで)
     ※最終日は16:00まで
会場 横浜赤レンガ倉庫1号館2F
入場料 500円(高校生以下、70歳以上無料)
     ※展示室1は「触れる地球とびっくり動物」は無料
主催 DAYS JAPAN
お問い合わせ yokohama2013@daysjapan.net

2013年8月10日土曜日

ヒロシマからの愛の伝言 ~映画「アオギリにたくして」

 一昨年(2011年7月)に他界された被爆体験の語り部、沼田鈴子さんをモデルにした小説『アオギリにたくして』(中村柊斗著)の映画を、今日、渋谷UPLINKで観ました。
 原爆によって人間としての、女性としての幸せを、ことあるごとに打ち砕かれながら、生き抜いた田中節子(沼田鈴子さんがモデル)の生きた軌跡が丁寧に描かれています。劇中の主人公は、フリーライターの片桐千草(菅井玲が演じる)。3・11から1年たった東北を取材しに行ったときに、福島で被爆アオギリの幼木を植えている場面に出会い、アオギリのおばあさん=田中節子について取材することを決意し、広島に向かいます。そこで節子の妹、良重に出逢い、節子の壮絶な人生を知ることになります。「被爆者が被爆者を差別する」という言葉に象徴されるように、広島に落とされた原爆は、人間の肉体だけでなく心も蝕んでいきました。
 若き日の節子の心の苦しみ、葛藤は、観るものの心を強く打ちます。
 物語はもとより、映画作品としてすばらしいものだと感じました。原作・脚本・監督がずべて中村柊斗さんであり、彼は、沼田鈴子さんをよく知る中村里美さん(シンガーソングライターでこの映画のプロデューサー)のお兄さんなのです。
 小説の一節を紹介してこの映画の核心に触れたいと思います。片桐千草の想い「本当は、語り部になってからの日々こそが田中節子の真骨頂なのだ。何十万という修学旅行生たちに被爆体験を伝え、世界を股にかけて八面六臂の活躍を見せる。しかし、その部分はすでに多くの著作が残されているし、平和公園の原爆資料館に入れば、語り部としての彼女の肉声を聞くこともできる。私が書かなければならないのは、そこではない。今まで誰も書くことのなかった、彼女の心の内側を切り取るのだ。そして、- 田中節子は、いかにして田中節子となったのか。その一点だけを描けばよい。それが私の仕事だ。」
 是非多くの人に、この映画を観ていただきたいです。そして映画で描ききれていない部分を、小説で読んでほしいです。この夏、心が震えた作品でした。
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2013年8月9日金曜日

「第2の白血病」と闘う被爆者と医師 ~傷つけられた遺伝子

 今日、長崎被爆68年を迎えました。この1年間で新たに亡くなった長崎の被爆者は3404人といいます。8月6日放送のNHKスペシャル「終わりなき被爆との闘い~被爆者と医師の68年~」では、十数年前から被爆者の間に増えている新たな病気、「第2の白血病」と呼ばれるMDS(骨髄異形成症候群)についての医学的な研究と被爆者の苦しみが報道されました。DSC00989.JPG

 被爆者の命を救おうと、広島・長崎の医師たちは、MDS発症のメカニズムの解明を進めています。原田浩徳さん(広島大学病院)は、被爆者の方の骨髄細胞で染色体異常を研究しています。一つの染色体の中に平均およそ1000個ある遺伝子の一つ(RUNX1)が放射線によって傷つけられると、まわりの遺伝子の異常を誘発して、異常な遺伝子が少しずつ増えていき、その結果60年かけて染色体全体の異常を引き起こすと原田さんは考えました。
 MDSと被爆の関係を世界で初めて証明した朝永万左男さん(長崎原爆病院院長)は、ノルウェーの首都オスロで開かれた核兵器禁止をめざす国々による国際会議で、「放射線によって傷付けられた遺伝子は、被爆者を一生、白血病やガンで苦しめます」「(被爆者の)この苦しみを世界からなくすには核兵器の廃絶しかありません」と訴えました。
 広島・長崎への原爆投下によって被爆者となった方々の終わりなきたたかい。ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ。福島第一原発事故で引き起こされた被ばくの被害、アメリカの核戦略に同調する日本政府・・・・。私たちは、核兵器廃絶と原発ゼロの声をもっともっと大きな世論にして、世界を動かしていかなくてはいけないと思いました。
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2013年7月18日木曜日

憲法9条改悪を許すかどうかの分かれ道

 参議院選挙の終盤になって、安倍首相が憲法9条改定を明言しました。去年の総選挙で自民党は、衆議院の安定過半数とされる269議席を超える294議席を獲得し、憲法改悪の野望をあらわにしています。
 まやかしの景気対策(アベノミクス)で支持率を上げてきた安倍内閣は、この参議院選挙で衆参のねじれを解消して、どんな悪法でも成立させることができる独裁政治の道を進もうとしています。
 多くの識者や弁護士が自民党の「憲法改正草案」の危険性を指摘し、警鐘を鳴らしています。しかし、それをせせら笑うように、自民党の石破幹事長は、4月21日放映の「週刊BS-TBS報道部」のなかで、国防軍になると出動命令に従わなければ、「その国における最高刑に死刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら懲役300年。そんな目に遭うぐらいなら、出動命令に従おうっていう」こうした重罰を科すために審判所(軍法会議)は必要で、それは「公開の法廷ではない」と述べました。
 このような軍事国家づくりを許すことはできません。参議院選挙では、憲法を守り生かす政党の候補者に大切な一票を投じなければいけないと思います。
 私が注目しているのは、日本共産党と東京選挙区の吉良よし子さんです。
 吉良さんと若手弁護士による憲法トーク集会の動画は、たいへん憲法の勉強になります。多くの人にみてもらいたいです。

2013年6月19日水曜日

国民平和大行進への稲嶺名護市長からのメッセージ

 2013年原水爆禁止国民平和大行進の沖縄-長崎コースが、6月16日、名護市辺野古海岸を出発しました。「平和行進活動交流ニュース」でそのことを知りました。
 沖縄には、住宅密集地の中心部に滑走路をもち、住民にとって非常に危険な米軍普天間基地があり、基地の早期無条件撤去が求められていますが、日米両政府は、ジュゴンが棲む美しい海に続く辺野古に新たな基地を造ることを強引に推し進めようとしています。オスプレイの配備と飛行訓練も、沖縄県民の強い反対をよそに強行されました。
 毎年世界から多くのNGOや政府の代表が参加する原水爆禁止世界大会に向けて行われる国民平和大行進の沖縄-長崎コースが、辺野古海岸から出発したことは、米軍基地撤去と核兵器廃絶の世論をさらに大きく広げていく力になると私は思いました。名護市の稲嶺市長から寄せられたメッセージでも、そのことを意義深く感じていると述べています。
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◆稲嶺進名護市長からメッセージ
 この度は、核兵器廃絶国民平和行進の開催にあたり、貴実行委員会をはじめ、ご参集されました多くの平和を愛する皆様に、ご挨拶を申し上げます。
 一昨年の東日本大震災以後、「核」を利用することに伴う「核」の危険性に対する国民の声は、ますます強く厳しいものとなっております。その中でも核を軍事目的として利用する核兵器は、あってはならないものであります。その思いから、本市では、一昨年、広島市と長崎市が主宰している平和市長会議へ加盟いたしました。平和市長会議は、2020 年までに核兵器の廃絶を目標とし、「2020 ビジョン(核兵器廃絶のための緊急行動)」の展開や被爆の実相を伝える活動などに取り組んでおり、本市も核兵器の廃絶を目指し、北東アジア非核兵器地帯を求める国際署名へ賛同したところであります。
 本日の核兵器廃絶国民平和行進も今年で56 回目を迎えると伺っておりますが、今年の平和行進も、核兵器のない平和な世界への思いを胸に一歩一歩、頑張っていただきたいと思います。
 私は、普天間飛行場移設問題に関しまして、「辺野古の海にも陸にも新たな基地は造らせない」との信念を貫く決意であり、平和行進が辺野古から出発することについて、意義深く感じております。
 結びに、参加者の皆様におかれましては、体調には十分注意され、核兵器の廃絶を訴えて平和行進を無事終えられることを祈念するとともに、皆様方のご活躍とご健勝を祈念申し上げ、私のメッセージとさせていただきます。
   平成25 年6 月16 日
    名護市長  稲嶺 進

2013年6月9日日曜日

生活保護制度の改悪に反対

 国会では、生活保護の申請をはねつけ、利用者を追い出す生活保護法改悪案と生活困窮者自立支援法案が今月4日の衆院本会議で、自民、公明、民主、維新、みんなの各党に加え、生活の党も賛成に回り、賛成多数で可決し参院に送られました。日本共産党、社民党は反対しました。国民の命を脅かす悪法に自民・公明はじめ野党4党も加担する異常事態です。衆院の審議はわずか2日、本会議採決では討論さえ行われませんでした。
 生活保護を申請する際、これまで口頭でも申請できたのに、改悪案では、書類提出を義務付け、窓口で申請をはねつけることを可能にします。扶養義務者に対する調査権限を強化し、保護開始の要件ではない扶養義務の履行を強いることで申請を抑える内容になっています。
 貧困と格差の拡大が続くなかで、各地で餓死や孤独死が絶えません。人間が人間らしく生き、そして人生をまっとうできるように、社会保障を充実させなければいけません。巨額の内部留保をため込んでいる大企業には減税し、庶民には消費税増税、そして生活保護の切り捨て。参議院選挙で、国民のいのちとくらしを守る政治への転換をはかりたいものです。
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「しんぶん赤旗」6月8日付

◆小池晃のいけいけコラム

 生活保護制度の大改悪が強行されようとしています。自公民、維新、みんなに加えて、生活の党も賛成しました。許せないことです。
 昨年1月に札幌で、40代の姉妹が孤立死する事件がありました。当時、北海道民医連の看護師さんから聞いた話が忘れられません。
 お年産が、何度も区役所に生活保護の申請に行ったのに門前払いされ、先に自宅で脳出血で亡くなられたようです。
 同居していた妹さんには知的障害があり、「一人で外に出てはいけない」と言われていて、それを忠実に守ったのではないか。看護師さんは、涙ながらに語っていました。
 残された妹さんの携帯電話には「1,1,1…」と打ち込んだ跡があったと。119番か110番か。どんな思いで救いを求めていたのか。
 いま政治が真っ先に取り組むべきことは、生活保護を受けるべき人が、もれなく受けられるようにすることです。それとは逆に、受けにくくする制度改悪なんて、とんでもありません。
 社会保障は、カネで買う商品でも、恵まれない人への施しでもないのです。近代社会の基本原則であり、憲法25条で保障された国民の権利であり、国は最優先で保障しなければならないのです。
 餓死や孤独死を一人も出さない国へ。日本共産党の勝利で、いのちを守る政治をつくりましょう。 (党副委員長)

2013年6月3日月曜日

6・2 NO NUKES DAY 全国から押しよせた反原発の大行動

今日は、東京・明治公園で開かれた「原発ゼロをめざす中央集会」と「0602反原発☆国会大包囲」行動に参加しました。朝の天気予報では、一日曇りだったのですが、昼前から晴れて日差しが強くなり、腕が真っ赤に日焼けしてしまいました。原発をなくす全国連絡会主催の明治公園での集会には、全国から1万8000人が集まり、いまだに放射能放出と内部被曝の危険にさらされ続けている福島県と東日本の実態が告発され、玄海原差し止め発訴訟伊方原発をとめまっしょい☆若者連合、柏崎刈羽原発再稼働反対、島根原発・エネルギー問題連絡会の活動が報告されました。
集会後3コースに分かれてデモ行進。その後は、国会前に移動して、首都圏反原発連合主催の国会大包囲行動に参加。「さようなら原発1000万署名」市民の会主催の「6・2つながろうフクシマ!さようなら原発集会」の参加者も合流して、大デモンストレーションを繰り広げました。

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2013年5月7日火曜日

2013年国民平和大行進

 今日(5月6日)、2013年国民平和大行進の東京-広島コースと北海道-東京コースがスタートしました。
 東京・夢の島の第五福竜丸展示館前で出発集会が行われ、13時に国民平和大行進は出発しました。参加者は、核兵器廃絶、新基地建設反対、憲法9条守れ、原発再稼働反対を訴えながら行進し、東陽公園と坂本町公園の2カ所で休憩をとり、東京八重洲口前を通り、外堀通りを新橋駅銀座口で右折、西新橋から愛宕を通り御成門、そして増上寺前を通り芝公園の平和の灯まで歩きました。御成門のあたりで雨が降り始め、予期せずに濡れてしまいましたが、無事に初日の行進を終えることができました。(写真は、永代橋で撮影したもの)
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2013年5月6日月曜日

ラストメッセージ 井上ひさし「木の上の軍隊」(NHKスペシャル)

 5月4日放送のNHKスペシャル「ラストメッセージ 井上ひさし“最期の作品”」で、彼が死の間際まで書き上げたいと願っていた未完の戯曲「木の上の軍隊」が上演されるまでのドキュメンタリーを見ました。
 2010年に他界された井上ひさしさんが 最後まで書こうとしていた「木の上の軍隊」は、戦中戦後、2年の間ガジュマルの木の上で生活した兵士の物語でした。(演出:栗山民也、脚本:蓬莱竜太)
 井上ひさしさんの娘の井上麻矢さんが、亡き父の想いを知るために、沖縄で父の足跡を追いかけます。井上ひさしさんをガマに案内した女性は、「耐えていらっしゃるみたいな感じで、私もこんなつらい話をしていいのかな」と当時を回想していました。また米軍・嘉手納基地を視察した井上ひさしさんの言葉が録音されて残っていました。基地の想像を絶する現実にショックを受けたこと、それを押し付けている本土の人間の一人として腑抜けだと思ったことを、井上ひさしさんは語っていました。
 ガジュマルの木の上で生き抜いた二人の兵士の物語は、沖縄の歴史のひとつのエピソードで終わらすことのできない史実です。私たちが、沖縄戦や基地問題を考えるとき、戦争・軍隊の過酷さ、亡くなった無数の住民の無念、その中でも生きぬいた人間の宿命に想いを寄せて、はじめてそれを理解できるものなのだと、このドキュメンタリーを見て思いました。
 こまつ座&ホリプロの「木の上の軍隊」…私はまだ観る機会を得ていませんが、 5月10日・11日に名古屋公演(会場:名鉄ホール)、5月16日~19日に大阪公演(会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)と続きます。
http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002091157P0050001P006001P0030004P0030002P0030005P0030001P0030006
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2013年5月3日金曜日

憲法を草の根で守るとき 憲法記念日の集い(千葉市)

 今年の憲法記念日は、憲法9条「改正」に執念を燃やす自民党・安倍政権が、まず96条を改悪して、憲法改正発議を国会議員の過半数の賛成で行えるようにすることを、この夏の参議院選挙の争点にするという情勢の中でむかえました。千葉市文化センターで開催された「5・3憲法記念日の集い」には、昨年を上回る450人が集まり、憲法96条改悪のねらいを学び、ひろく知らせていくこと、安倍政権の暴走をストップさせ、憲法をくらしと政治に生かしていくことを確認し合いました。
 この「集い」は、千葉県憲法会議と憲法改悪反対千葉県共同センターの主催で行われ、文化行事として、アルパという中南米の民族楽器(ハープ)を奏でるアンサンブル「グルーポ・エルマナス」のみなさんによるすてきな演奏で始まりました。アルパ(写真)は、奏者手前側の太い支柱が反響板になっていて、とても張りのある豊かな音色を響かせます。また、奏者が着ているのはパラグアイの民族衣装で、ステージに華やかさをそえていました。DSC00867.jpg
 記念講演は、小林武さん(沖縄大学客員教授/憲法学専攻、法学博士、弁護士)が、「憲法を草の根で守るとき-沖縄で考える」と題して話されました。以下レジュメの骨子です。
 Ⅰ 憲法 未曾有の危機に-「過激な国家主義者の内閣」がもたらしたもの
 Ⅱ 沖縄と憲法
  1 沖縄に今投げかけられている「負担軽減」の難題=政権の傲慢
  2 沖縄から見る「4.28」(主権回復記念式典)
   O 講和条約による「主権回復」の意味するもの …まさに「屈辱の日」
   O 講和条約以降の沖縄 …基地被害と米兵犯罪に生活を脅かされる
  3 日本国憲法-本土では「66年」、沖縄は「41年」
   O 憲法を27年間奪われた沖縄
   O 沖縄にとっての安保(日米安全保障条約)
 Ⅲ 憲法を憲法でないものにする安倍改憲
  1 憲法=人類の知恵が生み出したすぐれもの-「ナショナルプライド」としての日本国憲法
   O 人々の自由と権利(基本的人権)を守るために、国家権力の手を縛る(=立憲主義)
   O 国民主権の日本国憲法-天皇の「4.28」式典への出席問題を考える
  2 平和憲法は私たちの安全確保の基盤
   O 世界各国の憲法の平和主義より、一歩先を歩む
    …前文「平和的生存権」、9条「戦争の放棄」「戦力の不保持・交戦権の否認」
   O 現今の東アジア情勢と日本国憲法
    …非暴力・不服従・非武装の抵抗という根本的な姿勢をもって、問題を平和的
      に解決する努力
  3 自民党改憲草案は、立憲主義原理の墓場
 Ⅳ 安倍改憲にどう立ち向かうか-草の根の役割
   O 憲法改正手続き(96条)の「改正」が現今の焦点 …立憲主義の根本に関わる問題
   O 安倍首相の改憲イデオロギーの特徴をつかむ
   O 96条を守る国民の広汎な結束/草の根の憲法運動への格別の期待
      (憲法会議、九条の会)
   O むすびにかえて …憲法選挙としての参院選DSC00871.jpg

2013年5月2日木曜日

第84回中央メーデー開催

 今日(5月1日)、第84回中央メーデー集会が、東京・代々木公園で開かれ、約2万1千人が参加しました。
 全労連の大黒作治議長はあいさつの中で、安倍政権がつくっている成長戦略を「働く人を犠牲にするもの」と批判し、「賃上げの実現こそ、デフレ打開の道だ」と訴えました。
 全国各地でも集会が行われ、労働者・国民の生活と権利の向上、安倍政権の「成長戦略」の名による解雇自由化や残業代ゼロ法案など労働法制改悪反対、原発ゼロ、TPP交渉参加阻止、消費税増税中止、貧困と格差の解消、憲法改悪反対を掲げて、デモ行進を行いました。
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第84回中央メーデー宣言

 私たちは本日、労働者・国民の団結と連帯の力で第84回中央メーデーを成功させました。
 集会では、すべての働くものの連帯と共同の力で、くらしと雇用を守り、憲法がいきる安全・安心社会の実現をめざすことを確認しました。

◇すべての労働者のみなさん
 安倍政権は高支持率を背景に、一度国民が「NO」の審判を下した構造改革・新自由主義路線への回帰を強め、日米同盟の再強化をはかろうとし、インフレと景気回復の二極化を促進・拡大する「アベノミクス」、増税や社会保障制度の大改悪で貧困の連鎖、格差拡大をもたらそうとしています。とりわけ財界・大企業の要求に応え、「成長戦略」の名のもとに、解雇自由化や残業代ゼロ法案、「多様な正規」という名の非正規労働者の拡大、労働者派遣法の緩和など働くルールや労働法制を根本から破壊する「労働ビッグバン」を強行しようとすることは重大です。そのうえ、国家公務員に続く地方公務員の退職手当や賃金引下げは地域を疲弊させ、地域経済にも多大な影響を及ぼしかねません。
 また大震災から2年経った今も、原発事故の収束・賠償問題や復興は進まず、31万人が避難生活を続けるなど、被災者は復興の遅れに対する憤り、風化への不安をかかえながらの生活を余儀なくされています。

◇すべての労働者のみなさん
 この間、私たちが主張してきた「大企業の内部留保を社会的に還元しろ」の声はいまや大きな社会的世論であり、国民的大義となっています。今年の春闘ではマスコミや多くのエコノミストが「賃上げでデフレ脱却」と主張し、政府も不十分ながら経済三団体に「報酬引き上げ」を要請しました。しかし、大企業の対応は一時金引上げや正社員中心の賃上げでしかありません。労働者の35.2%が非正規労働者という中で、「すべての労働者の賃上げ実現」こそ、日本経済回復の道です。生活保護費削減や年金引下げなど社会保障制度の大改悪に反対し、労働時間短縮、長時間過密労働の根絶、全国一律最賃1000円以上の実現など春闘での要求前進に向けて、引き続き職場・地域からの取り組みを進めていきます。増税・TPP参加に反対し、原発再稼働など安倍政権の暴走を許さず、早期復興、原発ゼロの実現、憲法96条の見直しなど憲法改悪に反対するたたかいを強めていきます。

◇すべての労働者のみなさん
 今も7割の国民が「原発ゼロ」を求め、官邸前行動に呼応する行動が全国各地でおこなわれています。オスプレイ配備撤回やTPP参加に反対する一点共同も拡がっています。国による地方公務員賃下げ強要に全国市長会がアピールを出すなど、地方自治を侵す強権発動に批判が強まっています。また、ここ数年間の最賃引き上げや公契約条例制定運動の前進、大企業の違法行為を断罪、非正規労働者を正社員として認定した山口地裁判決、中国人研修生訴訟での長崎地裁・勝利判決は全国でのたたかいによる大きな成果です。
 世界的にも貧困解消と格差是正、最低生活保障を求める運動は共通の課題です。ヨーロッパ各国での教育・福祉予算の削減や緊縮策に反対する労働者のたたかい、アジア各国での最賃引き上げ、欧米での「富裕層増税」を求める世論と運動が広がっています。
 間近にせまった都議選、参院選は安倍内閣の暴走にストップをかけ、国民本位の政治転換にむけた絶好のチャンスです。すべての働く仲間の力を総結集し、「すべての労働者の賃上げと長時間過密労働の是正、安定した雇用と仕事の確保、中小企業支援、社会保障拡充、震災の早期復興、原発ゼロ、憲法改悪反対」のたたかいを飛躍的に前進させましょう。
 働くものの団結万歳! 世界の労働者万歳! 第84回中央メーデー万歳!

 2013年5月1日
         第84回中央メーデー集会

2013年4月29日月曜日

サンフランシスコ平和条約発効の日は「従属と屈辱の日」

 1951年9月8日に締結され、翌52年4月28日に発効したサンフランシスコ平和条約と旧日米安保条約は、形式的に日本を主権国家としながらも、米軍が駐留を続け、沖縄への占領支配を継続するもので、事実上、日本を米国の支配下に置くものとなりました。
 安倍政権が、この日を「主権回復の日」として式典を開いたことは、米国との関係を絶対的なものとして、日米軍事同盟の強化と国民犠牲のTPP交渉参加を強引に推し進め、自民党結党以来のもくろみである憲法改悪を実行に移すための布石と言わざるを得ません。
 今日(4月28日)、全国労働組合総連合(全労連)、全日本民主医療機関連合会、全国商工団体連合会、農民運動全国連合会、新日本婦人の会、日本平和委員会、安保破棄中央実行委員会、憲法改悪阻止各界連絡会議、日本共産党の呼びかけで、「安保条約廃棄・真の主権回復を求める国民集会」が東京・御茶ノ水で開かれました。
 シンポジウムでは、伊波洋一さん(元宜野湾市長)、大日方純夫さん(歴史研究者)、志位和夫さん(日本共産党委員長)が、沖縄の歴史と基地問題、オスプレイ配備の危険性、サンフランシスコ講和条約の特徴と問題点を明らかにしました。リレートークでは、米軍の低空飛行訓練による爆音被害とのたたかい(群馬)、米兵による殺害事件を告発する被害者遺族の訴え(横須賀)、農業破壊の根源にある日米安保条約とTPP交渉参加を許さないたたかい(農民運動全国連合会)が報告されました。シンポジストからは、安倍晋三氏が「主権回復」式典を憲法九条改定(国防軍の設置)と一体の動きとしてすすめてきた危険な政治背景が明かされました。また、中国との尖閣諸島をめぐる領土問題については、しっかりした外交によって解決することが求められており、軍事力の増強で対抗しようということは絶対にしてはいけないとの発言がありました。最後に、沖縄県民と連帯して、米軍基地の撤去、真の主権回復を求め、憲法改悪を阻止する大きな世論と行動を起こしていくことを「集会アピール」で確認し合いました。

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2013年4月21日日曜日

第9回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞

 先日届いた、DAYS JAPAN 5月号の特集は、「第9回DAYS 国際フォトジャーナリズム大賞」でした。私は、世界各地で起きている内戦や民族紛争による殺りくと、飢餓や深刻な人権侵害など、心が痛む現実を知り、日本国憲法の「戦争の放棄」「基本的人権の保障」がいかに尊いものであるかをかみしめました。受賞作品を紹介します。
http://www.daysjapan.net/taishou/index.html

第1位 ゴラン・トマシェビッチ 「『自由シリア軍』の戦い」

第2位 ティム・ディルヴェン 「紛争と干ばつ 飢えるニジェール」

第2位 シャノン・ジェンセン 「スーダン難民たちの長い旅」

第3位 ホセイン・ファーテミー 「22年目を迎える戦場ソマリア」

第3位 林 典子 「キルギスの花嫁誘拐」(誘拐されて結婚した女性たちを取材)

第3位 宮田幸太郎 「南京大虐殺 75年の記憶」
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審査員特別賞 ハテム・ムーサ 「イスラエルによるガザ爆撃」
       アレッシオ・ロメンツィ 「包囲されたシリア」
       ピエルパオロ・ミッティカ 「福島 放射能の檻」
       ステファノ・デ・ルイジ 「2012年北西航路の旅」
       ドミニク・ナール 「南北スーダン国境沿いの緊張」
       フィル・ムーア 「コンゴ 内戦下の暴力」
       高橋 邦典 「ネパールのストリート・チルドレン」
       トム・ストッダート 「南スーダン難民キャンプ」
       野田 雅也 「反原発 革命前夜」

 生きるためにたたかう人々、虐げられた人々の姿がそこにはありました。しかし、武器を持って戦うことは、あまりにも大きな犠牲がついてきます。兵士や武器を持った男たちだけでなく、子どもや女性たちが巻き添えを食います。武器を売ったり戦争で利益を得る人たちをこの世からなくさない限り、この悲惨な戦争を止められないのでしょうか。
 審査員講評のなかからフォトエディターのジョン・G・モリス氏の言葉を紹介します。
 「DAYS大賞の審査員に選ばれるということは、恐怖のショーへのチケットをもらったようなものです。悲劇を含め、すべてのテーマについて、フォトジャーナリストが今日直面しなければならない問題を見ることになるからです。しかし不思議なことに、私たち審査員がすべてを見た結果、残った作品には、きちんと人間の美しさや気高さが現れています。賞を獲得した写真は、そのことを雄弁に語ってくれます。」
 私は一人でも多くの人に、DAYS国際フォトジャーナリズム大賞の作品を見ていただきたいと思います。
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2013年3月12日火曜日

あの日から2年 メルトダウン原子炉"冷却"の死角

 3月10日放送のNHKスペシャル「3.11 あの日から2年 メルトダウン 原子炉"冷却"の死角」をみました。DSC00739.jpg
 2年前の3月11日、巨大津波に襲われた福島第一原発は、高温の核燃料棒が溶け出す「メルトダウン」を起こして、12日 午後3時36分に1号機が水素爆発を起こしました。今回検証された一つ目は、この1号機に備わっていた冷却装置イソコン(アイソレーション コンデンサー)が正しく作動していればメルトダウンを防げたのではないかということです。なぜならばイソコンは電気に頼らずに原子炉内の水を冷却することができる装置だからです。
 地震発生後、原子炉内では制御棒が核燃料棒の間に挿入され核分裂の連鎖を停止しますが、300度という高い温度のままの原子炉を冷却しなければ、核燃料はメルトダウンして制御できなくなってしまいます。1号機・2号機の間にある中央制御室では、イソコンを使って1号機の原子炉の冷却をはじめました。原子炉は急激に冷却をすると傷むため、イソコンの起動と停止を繰り返しながら冷却を行ないます。しかし、大津波による海水流入で11日 午後3時37分に全交流電源を喪失し、1号機・2号機の動作状況を確認できなくなりました。中央制御室から350メートル離れた免震重要棟では、この時イソコンが動いているという誤った認識がされていたのです。2号機の冷却装置であるRCICという冷却装置は、運転を電気で調整する複雑な機械だったため、免震重要棟は2号機の冷却ができていないことの方に不安を感じていました。
 NHKは取材を通して、イソコンが動いていないことに気付くチャンスが何度かあったのに、それを生かせなかった問題点を指摘しました。全電源喪失の1時間後(午後4時44分)、“ブタの鼻”と呼ばれるイソコンから発生する蒸気を建屋の外に排出する管から蒸気が「モヤモヤ出ている」ことが確認され、免震重要棟はそれをイソコンが動いている状態と誤認したのです。アメリカのナイン・マイル・ポイント原発では、4年に一度イソコンの起動試験を行なっていて、イソコンが作動している時に出る蒸気の激しさを作業員は知っていました。それに対して福島第一原発では、イソコンを40年も動かしたことがなかったのです。
 二つ目に検証された問題は、3号機の消防車による注水冷却の失敗です。3号機は1号機と違って非常用バッテリーで冷却装置が動いていましたが、それも時間の問題でした。消防車を使って外部から注水を行なうために、複雑な配管のバルブを操作して、早く確実に水を注がないとメルトダウンしてしまいます。しかし、そうした訓練は一度もしたことがなかったのです。13日午前9時25分から注水を開始し、その日だけで400トンを超える水が注入されましたが、実は抜け道を通って復水器という場所に流れ込んでいたのです。復水器への抜け道にはポンプがあり、そのポンプが動いていれば水は流れないはずでした。全電源喪失を想定していなかったためにこの抜け道が見落とされていたのです。そのために3号機もメルトダウンして、14日午前11時1分に水素爆発しました。DSC00734.JPG
 今回のNHKスペシャルで検証された問題でさえも、国と原子力規制委員会は充分な対策を立てておらず、地震と津波によって生じる原発の過酷事故を確実に防ぐ手だては今のところありません。福島第一原発の廃炉作業さえも大量の汚染水の処理に行き詰まっています。原発の安全性について国民が納得できるものは何もありません。直ちに「原発ゼロ」を実現し安全な自然循環型エネルギーの開発をすすめるべきだと私は思います。

2013年3月11日月曜日

大震災から2年、急がれる被災地住民の生活本位の復興と原発ゼロへの政治決断

 3月10日、東京では11時から「東日本大震災復興と原発ゼロの実現をめざす3・10東京集会」が日比谷公園で行なわれ、5000人が参加しました。この集会の主催は、原発をなくす全国連絡会で、日比谷公園の草地広場での開催を当初予定していましたが、公園を管理する東京都に集会で使うことを拒まれ、日比谷野外音楽堂の近くで開かれ、主催者あいさつ、被災地からの報告のあと日本共産党委員長の志位和夫さんが原発事故視察の様子を報告し、再稼働許さない決意を表明しました。DSC00685.JPG
続いて首都圏反原発連合のミサオ・レッドウルフさんが連帯のあいさつ、農民、青年、科学者、地域で活動されている方々が、大震災被災地への支援のとりくみと原発ゼロへの想いをスピーチされました。
 午後からは、首都圏反原発連合主催の原発ゼロ☆大行動が繰り広げられました。午後1時に日比谷野外音楽堂に満員の人が詰めかけて反原連の集会が始まった時は、とても暑かったのですが、急に砂混じりの冷たい風が吹いてきて私は「すごい黄砂だ」と思いました。でもツイッターで情報を追ってみると、実はそれは黄砂ではなく、寒冷前線の通過に伴う砂嵐(煙霧)でした。集会後の国会請願デモは延々と続き、最後尾は1時間以上おくれて出発し、霞ヶ関の官庁街から首相官邸前、国会議員面会所前を通り、原発ゼロと被災地の住民生活本位の復興を訴えました。デモ行進の後、国会議事堂正門前を中心に夜の7時まで各エリアごとに「原発なくせ」「再稼働反対」「子どもを守れ」のコールとスピーチが続けられました。DSC00709.JPG
午後の砂嵐から夜にかけて、たいへん寒くなった天候のなかでしたが、日比谷野外音楽堂集会、霞ヶ関・国会デモ行進、国会前集会にあわせて約4万人が参加しました。ツイッターで首都圏反原発連合のスタッフが「今後も抗議活動を続け、原発ゼロの民意をたたみかけていきましょう」と呼びかけました。