2014年12月28日日曜日

2014年を振り返る

 ブログ「平和に生きる権利」の今年最初の記事は、東京都知事選挙の問題で、私は次のように書きました。「宇都宮けんじさんは、都の予算を大型開発優先から福祉・保育優先に変えていくこと、東電・福島原発の最大の電力消費地であった東京が被害者救済のためにできる限りの支援をしていくこと、安倍政権による「戦争する国づくり」に反対し、平和憲法の精神を生かして東京・ソウル・北京の市長会議を開催することなどを訴え、多くの聴衆から声援を受けました」
 この一年間は、都知事選挙で宇都宮けんじさんが訴えた争点をめぐって、大きな政治的な荒波に国民がさらされた一年であったと言っていいと思います。
 私は、安倍政権が進める「戦争する国づくり」と原発再稼働に抗する市民の運動を紹介し、パレスチナ・ガザ地区への攻撃やイラク戦争がもたらしたものに目を向けてきました。そこで考えたことは、世界から戦争という暴力をなくしていくためには、日本国憲法第9条の精神を日本から世界へ発信していくことが必要だということです。「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」…。そのためには、この憲法を壊す安倍政権による「集団的自衛権行使容認」の閣議決定とそれを具体化するあらゆる政策を撤回させなければいけないということです。
 12月の総選挙では、残念ながら、世界とアジアの平和について、日本がすべきこと、してはいけないことを真剣に考えて政権を選ぶことにはいたりませんでした。経済問題はもちろん大切な争点でしたが、これも貧困と格差拡大をすすめた安倍政権に審判を下すことになりませんでした。2015年は、改憲勢力が多数を占める国会のなかで、日本共産党をはじめとする憲法を守り生かす勢力が、国民各層のさまざまな運動と協力・共同して、戦争への道をストップさせることができるかどうかの正念場であると思います。
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【2014年1月~12月の記事一覧】
「新しい東京を、始めよう」と映画「ひまわり」
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26

東京都知事選挙と「さよなら、籾井会長!」NHK前抗議アクション
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01

戦争と芸術 ~藤田嗣治の半生~
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-02-11

真実から目をそらす情報操作 ~映画「フェア・ゲーム」
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-03-02

原発と東日本大震災と放射能汚染
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-03-11

メルトダウン 放射能“大量放出”の真相
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-03-16

第85回中央メーデー
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-05-02

原発再稼働に反対し続けて・・・
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-05-03

5・3憲法記念日の集い(千葉市)
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-05-04

沖縄-愛と平和と-宮良瑛子展(丸木美術館47周年)
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

ベトナム戦争とアレン・ネルソンと9条
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-05-31

人の命よりも大企業の利益を優先する安倍内閣
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-07-20

イスラエル政府はガザ地区への軍事攻撃を即時停止せよ
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-07-20-1

イスラエルはガザ地区への無差別攻撃を止めよ
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-08-10

世代を超えて戦争を語る-JIM-NETがイラクからゲストを招きツアー開始
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-10-26

原発ゼロの日本をめざす連帯と交流のつどい
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-11-02

「戦争する国づくり」をやめさせる総選挙に!
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-11-22

2014総選挙投票日の朝に
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2014-12-14

2014年12月14日日曜日

2014総選挙投票日の朝に

 今日は、安倍首相が消費税増税による貧困と格差拡大、沖縄県民にノーの審判を突きつけられた辺野古への新基地建設などの失政を払拭するために仕組んだ解散総選挙の投票日です。昨年7月の参議院選挙からネット選挙が解禁され、昨夜24時までインターネットを使って候補者が訴えをしていました。短い選挙戦を通じて私が感じたことを少し書きます。
 アベノミクスで恩恵を受けた一部の金持ちの他はみんな生活がたいへんで、師走の忙しい中で選挙だなんてつきあっていられないといった人たち、アベノミクスが争点だとか自民党が300議席超の予測報道を出すマスコミにしらけている人たちなど、総選挙への低い関心が当初目立ちました。
 しかし、首尾一貫して国民が主人公の政治を訴える政党が、アベノミクスを「この道に先はない」と批判し、消費税に代わる社会保障の財源を具体的に示すと、有権者の関心が高まってきました。政治とカネの問題で、私もかねてから主張してきた「政党助成金の廃止」も選挙の争点に登ってきました。
 また、川内原発をはじめとする原発再稼働の動きを何とか止めなくてはいけない、1年前に国民の反対を押し切って国会を通ってしまった「秘密保護法」を廃止しなくてはいけない、集団的自衛権の行使容認と戦争する国づくりをやめさせなくてはいけないという多くの人々が行動に立ち上がり、総選挙への参加を呼びかけました。安倍政権のきな臭い動きにストップをかけることができる政党はどこか明らかになったと思います。
 有権者としての権利を行使することが本当に大切なときであり、この総選挙は歴史を左右する選挙だと言っていいと思います。みなさん、一緒に政治を国民の手に取り戻しましょう。
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【政治を考える本2冊紹介】
『私たちは政治の暴走を許すのか』立憲デモクラシーの会編(岩波ブックレット)
『秘密保護法-社会はどう変わるのか』宇都宮健児・堀敏明・足立昌勝・林克明(集英社新書)
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2014年11月22日土曜日

「戦争する国づくり」をやめさせる総選挙に!

 安倍晋三首相は11月21日、衆議院を解散し、総選挙で安倍政権の政策を国民に信を問うことになりました。安倍内閣は、特定秘密保護法制定や集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更など「戦争する国づくり」と、大企業優遇の経済政策、国民生活破壊の消費税増税と社会保障の切り捨てを行ってきました。
 「打倒!安倍政権 守れ!国民のくらし、いのち、平和」を掲げて11月29日に大集会・国会包囲行動を準備していた「11・29大集会・大行動」実行委員会は、大集会・大行動を延期することを決め、歴史的な総選挙で安倍政権に審判を下そうと、アピールを発表しました。

 歴史的な総選挙で、安倍「暴走」政治ノーの審判を下そう!
  -「11.29大集会・大行動」実行委員会からのアピール -

 安倍首相は本日、消費税率10%への再引き上げの“延期”を表明したうえで、衆議院を解散し、総選挙に打って出ることを正式に宣言しました。アベノミクスの破たんが明白になり、沖縄県知事選挙で歴史的な大敗を喫するなど、世論と行動に追いつめられての解散・総選挙(12月2日公示、14日投開票)です。
 「戦争する国づくり」と「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」を強権的におしすすめる安倍「暴走」政治に審判を下す絶好のチャンスです。「暴走政治は許さない」という思いを寄せ合い、安倍政権に歴史的なノーの審判を下し、退陣に追い込みましょう。

 私たちは、11月29日に安倍政権打倒を掲げた大集会・大行動を行おうと、9月に実行委員会を正式発足させ準備をすすめてきました。
 憲法に反して集団的自衛権行使容認の閣議決定をおこない、8割以上の県民の拒否の意思を無視して名護市辺野古沖への米軍基地建設に強行着手し、福島原発事故の収束もないままに九州電力・川内原発の再稼働に躍起になるなど、安倍政権の存在は、日本の平和とくらしの安定の最大の障害物になっているという思いを一つにして集会の成功をめざして活動してきました。こうした私たちの運動の到達点が引き寄せた解散・総選挙です。
 11.29大集会・大行動の成功に向けて全国から寄せていただいた支援と活動を、総選挙での安倍政権ノーの審判に結実させましょう。そのため、予定した「11.29大集会・大行動」は総選挙後に延期することにします。職場・地域から安倍政権打倒の声をさらに大きくひろげていただく活動に切り替えていただくよう、心から呼びかけます。

 アベノミクスは、ごく一握りの大企業や資産家には恩恵をもたらしたかもしれませんが、労働者の賃金や中小事業者、農民の所得は改善せず、消費税増税と円安による物価上昇がくらしに重くのしかかっています。くわえて、安倍政権は、消費税率をさらに引き上げ、不安定で低賃金の労働者を大量につくりだす労働法制の大改悪や社会保障解体攻撃を推進し、TPP参加で農業や食の安全、医療、雇用、地域経済を破壊しようとしています。
 消費税増税は社会保障拡充のためという「嘘」もはっきりしました。安倍政権は、医療・介護・年金制度を大改悪し、給付削減と負担増を同時にすすめる一方で、法人税減税を早々に決定し、軍事費を聖域扱いしています。
 総選挙後には、集団的自衛権行使容認の閣議決定を具体化する日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)の見直しが、国会審議も国民的論議もおこなわずに、憲法の枠を飛び越えて最終合意されようとしています。

 安倍「暴走」政治に対する「評価」が、今回の総選挙での争点です。
 集団的自衛権行使容認など「戦争する国づくり」にも、消費税増税や原発再稼働、労働法制と社会保障大改悪、TPP交渉妥結など「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」にも、総選挙でノーの審判を下さなければ、安倍「暴走」政治を止めることはできません。
 私たちは広範な市民のみなさんに、一人一人が選挙権を行使し、また声をかけあって、安倍「暴走」政治にノーの審判を下すことを呼びかけます。
 投票日までの時間はわずかです。沖縄県知事選挙における翁長雄志氏の圧勝につづいて、多くのみなさんが「安倍『暴走』政治ノー」の声をあげ、行動に立ちあがっていただき、12月14日を政治の流れを変える日にすることを心から呼びかけます。

 2014年11月18日
  「打倒!安倍政権 守れ!国民のくらし、いのち、平和
              11.29大集会・大行動」実行委員会
【 11.29大集会・大行動実行委員会 】
呼びかけ人(敬称略):愛敬浩二(名古屋大学大学院法学研究科教授)、五十嵐仁(元法政大学教授)、池田香代子(翻訳家)、伊波洋一(元沖縄県宜野湾市長)、内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長)、斎藤貴男(ジャーナリスト)、名木昭(福島県青色申告会連合会名誉顧問)、浜矩子(同志社大学大学院ビジネス研究科教授)、堀尾輝久(東京大学名誉教授)、本田宏(外科医師)、山根香織(主婦連合会会長)
実行委員会参加団体(順不同):日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会、全日本年金者組合、日本民主青年同盟、治安維持法犠牲者国家賠償同盟、全国生活と健康を守る会連合会、全日本教職員組合、日本医療労働組合連合会、全国農業協同組合労働組合連合会、映画演劇労働組合連合会、全国福祉保育労働組合、婦人民主クラブ、消費税をなくす全国の会、日本宗教者平和協議会、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会、日本平和委員会、東京地方労働組合評議会、全国生協労働組合連合会、全国印刷出版産業労働組合総連合会、日本自治体労働組合総連合、公害・地球環境問題懇談会、消費税廃止各界連絡会、平和・民主・革新の日本をめざす全国の会、化学一般労働組合連合、日本婦人団体連合会、全国労働組合総連合、全日本民主医療機関連合会、新日本婦人の会、農民運動全国連合会、全国商工団体連合会、全国保険医団体連合会、憲法改悪阻止各界連絡会議、中央社会保障推進協議会、安保破棄中央実行委員会、「軍事費を削って、くらしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会

2014年10月26日日曜日

世代を超えて戦争を語る-JIM-NETがイラクからゲストを招きツアー開始

 創立10周年を迎えたJIM-NETは、イラクから若者+シニア世代を招き、世代を超えて戦争を語るツアーを企画し、10月24日から催しが始まりました。JIM-NETのblog とfacebook、「しんぶん赤旗」の記事から抜粋してその様子をお伝えしたいと思います。まず、イラクからのゲストお二人の紹介です。
◆ムスタファ・イマッド (20歳) … バグダッド出身。8歳の時に、イラク戦争を体験。疎開先で米軍のヘリコプターの攻撃をうけ、足を負傷。ジャーナリストの土井敏邦氏が取材し、ニュース・ステーションで取り上げられると、反響を呼び募金が集まりヨルダンで手術を受けることができました。
◆アブ・サイード(61歳)… バグダッド出身のパレスチナ人。一族はハイファ出身。若いころは、パレスチナ抵抗運動に参加したことも。2004年から、JIM-NETに協力し、スタッフとして小児がんの患者の面倒を見ています。バグダッドのパレスチナ難民はイラク戦争後の迫害が激しく、多くは国を去っていきました。
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◎JIM-NET facebook ~ 23日に来日したムスタファ君とアブサイードさん。24日に早速参議院議員会館で記者会見しました。ムスタファ君は2003年4月に米軍の爆撃で負傷したこと、一時は切断の危機に瀕したが日本人ジャーナリストの土井敏邦さんの尽力でヨルダンでの治療を受けられたこと、今は高校に通いながら父の経営するスーパーマーケットで働いていること、将来は技術者になりたいと思っていることなどを率直に語りました。アブサイードさんは「イスラム教は本来知的な宗教、寛容な宗教なのです」と語り、暴力的な見方をされていることに対して深い懸念を表明しました。会場からは、マララ・ユスフザイさんのノーベル平和賞受賞でも話題になった「イスラム社会の女子教育」についても質問がありましたが、2人ともイラクでは男女に教育の差別はない(中学・高校は男女別学だが小学校・大学は共学)と答えました。
https://www.facebook.com/JapanIraqMedicalNetwork
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◎「しんぶん赤旗」10月26日付 ~ イラクで医療支援などを行っているNPO「日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)」は24日、イラクからのゲストを招いた集会を参院議員会館で開きました。「世代を超えて戦争を語る」と題して首都バグダッド出身のムスタファ・イマッドさんとアブ・サイードさんが現地の様子を報告しました。
 イラク戦争を経験したムスタファさんは、バグダッドにある祖父の家の前で、米軍の爆撃にあい、左足に大けがを負いました。治療により回復したものの、いまでも長時間は歩けません。高校に通っていますが、通学の際に危険地帯を避けるため「2分の距離を15分かけて遠回りしなければならない」と話しました。
 「米国による占領は破壊しかなかった」と語るサイードさん。「戦争前は決まりが守られていたが、戦争後は無法状態になってしまった。アメリカの言っていた民主主義とはほど遠い状況だ」「米国が区別して扱うせいで、一つの家族だったイスラム教のシーア派とスンニ派が、いがみ合うようになってしまった」といいます。
 2人は11月初旬まで日本に滞在する予定で、沖縄、福島、長崎などで交流会を実施。8日には「JIM-NET 10周年&2015チョコ募金キックオフ」集会を都内の立教大学で開催します。
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◎JIM-NET facebook ~ 【10/25】Talk&Music サダコがつなぐ広島とイラク(代官山)sadako legacy とのコラボ。 … 佐々木祐慈さんと佐藤真紀が、禎子さんの本物のおりづるを見せっこ。平和にむかって努力しなければいけないのは、禎子の遺言です。ふたりとも、「重たいですね」というところから話がはじまり、戦争を体験したムスタファが話してくれました。ムスタファ君は、技術者になりたいといいますが、一方で、幾ら勉強しても、コネとか汚職が蔓延していて、仕事に就けない。夢の実現は実に難しいかを説明してくれました。宗派対立に関しては、子どもは、詳しいことがわからなくても大人のまねをする。そのことをとても心配していました。「平和」とい言う言葉だけじゃだめで、リアルな平和を作るためには、大人が本気にならなければいけません。そして、祐慈さんが率いる輪音の演奏。「祈り」も歌ってくれました。

2014年8月10日日曜日

イスラエルはガザ地区への無差別攻撃を止めよ

 「イスラエルがガザ地区への本格的な攻撃を始めた7月8日以降、パレスチナ人の死者は少なくとも1900人、イスラエル側は67人(ほとんどが兵士)となっている。国連(UN)はパレスチナ人死者の少なくとも1354人が民間人で、子供は447人としている」 2014年 08月10日、AFPBB News は報じました。
 圧倒的な軍事力を持つイスラエル軍が、罪のないガザの市民を虐殺しています。何故、イスラエルはこんなにひどいことをするのでしょうか。
 2008年12月~2009年1月のガザ紛争時に、「イスラエルによるガザへの攻撃の中止を求める緊急アピール」(2009年 1月4日、世界平和アピール七人委員会=委員: 武者小路公秀、土山秀夫、大石芳野、井上ひさし、池田香代子、小沼通二、池内了)に示された平和的解決への努力が行われなかった結果、イスラエルの無法な戦争を許してしまっているのです。それは、「国連と各国政府が、ガザ地区における市民の窮状を深刻に受け止め、現在の惨状に対し、無条件での停戦を求め、事態の解決に向けてただちに人道的立場に立った紛争解決の仲介の労をとることを求めます。国連をはじめとする国際社会は、これまでもガザ地区における市民生活の支援に努めてきました。このたびの人道危機については、国連人道問題調整事務所や市民団体などが重大な関心を寄せています。私たちは、国連と各国政府に、目下の壊滅的な市民生活への支援をいっそう強化することを求めます。」
 イスラエルによるパレスチナへの無差別攻撃を止めさせることが平和的解決への第一歩です。パレスチナ人の平和的生存権(平和に生きる権利)を保障するために、国連と各国政府の努力を強く求めます。
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ガザ地区、停戦後の空爆100回以上に 新たに5人死亡
2014年 08月10日

【AFP=時事】イスラエル軍は9日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への空爆を40回行い、ガザの救急当局によれば、少なくともパレスチナ人男性5人が死亡した。
 8日に72時間の停戦が終わった後にイスラエルが実施した空爆は9日までに100回以上となり、パレスチナの医療関係者によるとこれらの空爆で10人が死亡した。
 9日に死亡した5人のうち2人は難民キャンプをバイクで通り抜けているときに空爆に遭い、3人は空爆で破壊されたモスクのがれきから遺体で見つかった。パレスチナ内務省は、イスラエル軍機が3か所のモスクを破壊したと発表。うち少なくとも2か所は、ハマスと関係があったとされている。
 ガザ住民のイブラヒム・タゥイール(Ibrahim Taweel)さんは、午前3時にイスラエル軍から電話があり、自宅から逃げろと言われたという。近くにあるモスクが空爆されるわずか5分前だった。「近所の人たち全員に教える時間はなかった。だから自分と隣家の人だけが逃げた。5分後にF16戦闘機が『ロケット』を次々と発射してモスクを破壊した」
 エジプトの首都カイロ(Cairo)での停戦延長の交渉がまとまらず、72時間の停戦は8日朝に期限切れとなり、戦闘が再開。ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は9日、ロケット弾14発を発射し、停戦終了後にハマスが発射したロケット弾は52発となった。8日にイスラエルの市民と兵士各1人が負傷したが、9日はイスラエル側に負傷者などの被害は報告されていない。
 イスラエルがガザ地区への本格的な攻撃を始めた7月8日以降、パレスチナ人の死者は少なくとも1900人、イスラエル側は67人(ほとんどが兵士)となっている。国連(UN)はパレスチナ人死者の少なくとも1354人が民間人で、子供は447人としている。

2014年7月21日月曜日

イスラエル政府はガザ地区への軍事攻撃を即時停止せよ

【7月20日 AFP】パレスチナ自治政府のユセフ・アブ・リシ(Yussef Abu Rish)保健副大臣は20日、ガザ市(Gaza City)内の病院で記者団に対し、イスラエルがガザ地区(Gaza Strip)への本格的な攻撃を開始した今月8日以降のパレスチナ側の死傷者は、死者が410人、負傷者が少なくとも3020人になったと語った。
救助隊員らによると、20日の犠牲者が特に多かったのはガザ市とイスラエル国境の間にあるシェジャイヤ(Shejaiya)という場所で、前夜からの極めて激しい攻撃で50人以上が死亡したという。(c)AFP
AFPBB News
2014年07月20日 21:15
【7月20日 AFP】パレスチナ自治政府のユセフ・アブ・リシ(Yussef Abu Rish)保健副大臣は20日、ガザ市(Gaza City)内の病院で記者団に対し、イスラエルがガザ地区(Gaza S……
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 7月8日に始まったイスラエル軍によるガザへの軍事攻撃により、女性・子どもを含む多数の死傷者が出ています。日本国際ボランティアセンター(JVC)をはじめとする11の国際協力NGO団体は、武力攻撃を即刻停止するよう求める要請文を7月15日に発表しました。(ヒューマンライツナウ、アムネスティ・インターナショナル日本、日本国際ボランティアセンターなど)
 そして、今日7月21日18時30分から東京・明治公園で「7.21 NGO緊急集会とキャンドル・アクション STOP!空爆~ガザの命を守りたい~」が行われます。私も参加しようと思っています。人権に国境はありません。かけがえのない命を守るために、武力によらない紛争の解決を求めて、声を上げ、行動していきましょう。
*******************************************************************************◆下の写真は、DAYS JAPAN 5月号掲載の「ガザに生きる子どもたち」アリ・ヌールディーンの記事です。彼は、1985年パレスチナ・ガザ地区生まれのフォトジャーナリストで、「まだ駆け出しの17歳のころ、イスラエル軍がガザ地区北部に侵攻するのを撮影し、多くの血が流されるのを目撃しました。子どもたちは泣き叫び、男も女もすすり泣いていました。そんな体験はまったく初めてでした。それは、消し去ることのできない記憶となって胸に刻み込まれました‥‥。ガザは私の故郷なのです」とその想いを綴っています。
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2014年7月20日日曜日

人の命よりも大企業の利益を優先する安倍内閣

 しばらくブログの更新をしていませんでしたが、この間に、安倍内閣は、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、九州電力・川内(せんだい)原発の再稼働を推進するなど、国民の命を軽んじる施策をすすめてきました。安倍首相の言う「積極的平和主義」とは、違法・無法な戦争を続けてきた米軍を支援するために自衛隊を海外派兵することであり、国際紛争の解決のために武力を用いるということですから、あきらかに日本国憲法9条に違反しています。そして、アメリカ依存の原発政策=日米安保を基軸とする政治・経済・軍事全般にわたる日本の安全保障政策が、原発の再稼働へと導いています。いずれも、国民の命よりも関連する大企業の利益を優先する現代版「富国強兵」策と言えます。
 戦前、日本国民は、軍国主義の教育と思想統制(弾圧)によって無謀な侵略戦争に動員されていきました。南京大虐殺や「従軍慰安婦」、沖縄集団自決などの史実を隠さずにしっかり見つめ直し、二度と戦争をしないことを私たちは決意し、憲法9条を守りぬかなければなりません。個人の生命や人権よりも、国家の利益(=大企業の利益)を上に置こうとするいかなる行政(内閣)・立法(国会)・司法(裁判所)の動きに反対します。それは日本国憲法を守り生かすということです。
◆津波と放射能汚染の両方に破壊されたJR富岡駅(2013年12月14日撮影
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2014年5月31日土曜日

ベトナム戦争とアレン・ネルソンと9条

 今日、DVD「9条を抱きしめて ~元海兵隊員 アレン・ネルソンが語る戦争と平和」を観ました。企画・制作は、アレン・ネルソン平和プロジェクトです。(2013年、50分)
 いま、安倍政権は「集団的自衛権の行使容認」という、憲法よりも軍事同盟を優先する国政の大転換を行おうとしています。「戦争中毒」と呼ばれるアメリカの軍需産業依存国家の実態を知れば、憲法9条を持つ国の国民として到底容認することはできません。
 アレン・ネルソンさん(2009年3月没・享年61歳)は、1966年に海兵隊員としてベトナム戦争の最前線に派遣され、非人間的な体験に心を蝕まれ、帰還した後は重いPTSD(心的外傷ストレス障害)に苦しみ、治療に18年の歳月を要しました。そんなネルソンさんは、学校で子どもたちに戦争体験を話し、自らの罪を認めることで立ち直りのきっかけを得ます。そして日本で1996年から13年間で1,200回を超える講演活動を行ってきました。DVD「9条を抱きしめて」は、アレン・ネルソンさんの戦争体験と講演活動、憲法9条への思いを収録したドキュメンタリーです。戦争を知らない世代に戦争の本当の恐ろしさを知っていただくためにぜひ観ていただきたいと思い、紹介します。
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2014年5月6日火曜日

沖縄-愛と平和と-宮良瑛子展(丸木美術館47周年)

 5月5日、原爆の図で有名な丸木美術館の開館記念日(47周年)の行事があり、私は初めて丸木美術館を訪れました。丸木美術館では、沖縄で戦争や社会の現実に向き合う女性画家・宮良瑛子さんの個展が7月12日まで開催されています。
 順路に従って、2階に上がると、宮良瑛子さんの絵本原画が展示されていました。一つは「湖南丸と沖縄の少年たち」で、1943年12月21日に湖南丸という船が米軍の潜水艦グレイバック号によって雷撃され800人あまりの児童が犠牲になった事件を題材にしたものです。沖縄の海では戦争でたくさんの船が沈み、子どもたちも犠牲になりました。もう一つは、「忘れな石」という作品です。1945年、米軍沖縄上陸の直前、八重山諸島の最南端・波照間島の人々は飼っていた牛や豚を軍隊に皆殺しにされ、西表島に疎開させられました。しかし疎開した多くの子どもたちがマラリアに倒れ亡くなりました。沖縄戦が終わって2か月後に波照間国民学校の校長が「この石を永遠に忘れるなかれ」と痛恨の思いを込めてコツコツ彫り込んだのが「忘勿石」だったというお話です。
 2階の広い部屋と1階に、丸木夫妻(位里さん、俊さん)による『原爆の図』の作品群が展示されています。原爆が投下された広島の現実はまさに地獄絵ですが、丸木夫妻の共同制作で生み出された作品は、生死をさ迷う人にも、亡くなってしまった人にも、確かに生きた証があったことを感じさせます。それは、無惨だと言い捨てることはできない、受け入れがたい死だということを思いました。私が強く印象に残ったのが、「原子野」「少年少女」「母子像」「焼津」「とうろう流し」です。
 1階の宮良瑛子展は、色彩鮮やかな「市の女たち」「七月エイサー」、戦争が残した傷跡を描いた「海底幻影」(1986年)、「転生」(1994年)、「オモニ・幾星霜」(1996年)、現在の基地問題を描いた「美ら島・辺野古」(2005年)、「漂泊の島より-辺野古断章-」(2009年)などの力作が目をひきました。ぜひ多くの人にみていただきたいです。
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 この日、午後1時から「開館記念日の集い」、1時30分から外岡秀俊さんによる講演「沖縄の明日 不屈の美 -宮良瑛子さんの展覧会に寄せて」が行われました。
 丸木美術館の入門書としておすすめは、同館で発行・販売している『戦争と平和と美-丸木位里と丸木俊の芸術-』ジョン・W・ダワー著/袖井林二郎訳です。また、同館学芸員・岡村幸宣著『非核芸術案内-核はどう描かれてきたか』岩波ブックレットNo.887も購入して興味深く読みました。033.jpg

2014年5月4日日曜日

5・3憲法記念日の集い(千葉市)

 5月3日、千葉市文化センターで憲法記念日の集い(主催:千葉県憲法会議・憲法改悪反対千葉県共同センター)が開かれ、500人を大きくこえる参加者が会場を埋めました。
 最初に文化行事で、合唱団プリマベラによる澄んだ歌声を堪能しました。
 記念講演は、森英樹さん(名古屋大学名誉教授)を講師として、「どうなる憲法?どうする憲法!―暴走する改憲・壊憲の矛盾を突く」と題して行われました。
 森英樹さんは、安倍晋三氏が2007年1月の内閣総理大臣施政方針演説で「戦後レジーム」からの脱却を宣言し、憲法を頂点とした行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みを見直すとともに、憲法「改正」にむけて全力で取り組むと述べたことを、彼のホームページに5年前から掲載していることを指摘し、歴代の首相のなかでも日本国憲法を攻撃する姿勢が突出していると述べました。
 日本国憲法は、日本が犯した侵略戦争の反省のうえに、戦争の放棄、基本的人権の尊重、国民主権を柱にしたすべての法律の基本法です。しかし、安倍首相は、「特定秘密保護法」制定に示されるように国民の人権保障よりも国家目的のために人権を制限し、教育の場にも上意下達の「愛国心」教育を押し付け、現憲法下では絶対に認められないとしてきた「集団的自衛権の行使」を容認する憲法解釈をごり押しするなど、日本国憲法を壊す(あって無きものにする)壊憲=暴走政治の道をすすんでいます。
 森氏は、国民の多数が、「戦争する日本」を拒否しているなかで、集団的自衛権の行使を「限定的にする」と誤魔化しながら導入しようとしているその手口に注意を促し、閣議決定だけでは派兵できないので、同盟国(米国)の戦争に派兵するための法律の制定、ガイドラインの改定などが必要になってくると述べました。一方、安倍内閣による靖国神社参拝や従軍慰安婦への軍の関与否定など、侵略戦争を美化し、戦後国際秩序を否定するさまざまな言動を挙げ、国際的に孤立していることを指摘し、第一次安倍内閣の改憲を阻止した「九条の会」などの市民パワー、国民的な運動で改憲・壊憲を阻止することを呼びかけました。
 憲法記念日の集いは、最後に集会アピールを参加者全体で確認して、成功裏に閉会しました。
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2014年5月3日土曜日

原発再稼働に反対し続けて・・・

 首都圏反原発連合は、5月2日(金)に100回目の首相官邸前デモ(2012年3月を行い、約3000人が参加しました。私は7時過ぎに、桜田門から国会正門前での抗議デモの隊列の横を通って反対側に横断歩道を渡り、“希望のエリア”のデモに参加しました。政府が原発ゼロを決断し、全国の原発を廃炉にして、政府と東電が福島原発事故の被害者を全面救済していれば100回目の官邸前抗議行動はなかったのですが、安倍政権はまったく私たちの願いを踏みにじって、原発の再稼働を行おうとしています。参加者から次々に抗議のスピーチがあり、「原発再稼働反対」「海を汚すな、命を汚すな」「子どもを守れ」「原発なくせ」のコールが続きました。トランペッターの松平晃さん、国会議員の吉良よし子さんもお話しされました。
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第85回中央メーデー

 5月1日、東京・代々木公園で第85回中央メーデー集会が行われ、2万7千人が参加しました。
 メインスローガンは、◇安倍「暴走政治」ストップ。憲法がいきる安全・安心社会の実現 ◇すべての労働者の大幅賃上げ。最賃は全国一律1000円以上に。派遣法など労働法制改悪反対。ディーセントワークの実現 ◇消費税大増税・TPP参加反対。被災者が希望のもてる復興。原発ゼロ。社会保障制度の大改悪反対 ◇「戦争ができる国づくり」反対。集団的自衛権の行使容認・改憲反対。特定秘密保護法の廃止。教育の国家統制反対。普天間基地の即時撤去、辺野古新基地建設反対。オスプレイ配備・訓練反対。核兵器の全面禁止を ― です。
 私はとくに、集団的自衛権の行使を容認しようとする安倍政権の暴走を止めなければ、自衛隊員が海外の紛争地で米軍とともに戦争をすることが現実になってしまうこと、国の言いなりになる「愛国心」教育の徹底をはかる教育委員会制度の大改悪を止めなければいけないということを強く思い、メーデー集会とデモ行進に参加しました。
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 第85回中央メーデー宣言

 本日、私たちは労働者・国民の団結と連帯の力で第85回中央メーデーを成功させました。
 集会では、日本を再び「戦争できる国」へと変える安倍「暴走政治」にストップをかけ、生活と雇用の危機を打開する国民共同のたたかいをすべての職場・地域・学園で強めていくことを誓いあいました。

◇すべての働く仲間のみなさん
 「アベノミクス」は大企業やファンド、富裕層には多くの恩恵を与える一方、庶民に対しては物価高、消費税増税、社会保障制度改悪で痛みを押し付けています。労働者の賃金は年々減少し、「貯蓄ゼロ」世帯は全体の3割に、また貧困ライン以下で生活する人は2400万人にものぼっており、「格差と貧困」は拡大するばかりです。安倍首相は「経済の好循環のために賃上げを」と言いながら、派遣法改悪など、非正規化と解雇の自由化、賃下げを加速させる労働法制の大改悪を進めています。
 何よりも優先されるべき被災地の復興は、3年たっても遅々として進ます、原発事故の収束のめどすらたっていません。被災者は、復興事業で儲ける元請大企業を横目でみながら、生活苦に沈み、将来を思い描くこともできず、筆舌に尽くしがたい失望を味わっています。

◇すべての働く仲間のみなさん
 安倍「暴走政治」への国民の反撃もはじまっています。「特定秘密保護法」廃止にむけた学者・文化人、市民、労働組合などを結集したたたかい、国の教科書押し付けに抗する沖縄・竹富町の人々、集団的自衛権行使による戦争できる国づくりに反対する「九条の会」アピールへの広範な著名人の賛同など、新たな国民的共同が拡がっています。派遣法など労働法制改悪でも、日弁連やすべての労働団体が反対を表明し、取り組みを強めています。沖縄・名護市長選での「新基地建設NO」を掲げる稲嶺市長の再選や東京都知事選で都民本位の都政を訴える候補の健闘など、政治転換をめざす流れも強まっています。
 春闘では、私たちが一貫して主張してきた「大企業の内部留保還元」「賃上げによる景気回復」の要求が政府や財界・大企業を動かし、一部大企業の賃上げ回答を引き出しました。しかし、増税負担や生活悪化の下、生活改善や経済の好循環という点では到底十分とは言えません。あらためて「すべての労働者の大幅賃上げ」「最賃は全国一律1000円以上に」などの要求の実現にむけ、職場・地域からたたかいを強めていきましょう。

◇すべての働く仲間のみなさん
 世界の労働者は、国の緊縮財政政策に反対し、「格差と貧困」解消に向けたたかいを繰り広げています。ドイツでは来年から8.5ユーロの全国一律最低賃金導入を決め、アメリカではオバマ大統領が最賃10.10ドルへの引き上げを訴え、連邦政府の発注事業で働く労働者の最賃を同額とする指示を出しました。
 新自由主義に反対し、「格差と貧困」解消を求めるたたかいは世界の労働者共通の課題です。多国籍企業の民主的規制を求め、アジアや世界の労働者と団結、連帯してたたかいを進めていきます。
 「すべての労働者の賃上げによる日本経済の回復、8時間労働制の実現をはじめディーセントワークの実現、社会保障の拡充、被災者が希望の持てる復興、原発ゼロ」の実現をめざしてたたかいを進めていきましょう。

 働くものの団結万歳!
    世界の労働者万歳!
       第85回中央メーデー万歳!

 2014年5月1日  第85回中央メーデー集会

2014年3月17日月曜日

メルトダウン 放射能“大量放出”の真相

 今日、NHKスペシャル「メルトダウン File.4 放射能"大量放出"の真相」を見ました。
 昨年3月10日に放送された「原子炉“冷却”の死角」に続く福島第一原発事故の検証番組です。
 それを見て私は、2号機の事故で大きな思い違いをしていたことに気付きました。3月11日に私のブログ記事「原発と東日本大震災と放射能汚染」で、「15日の午前0時2分にベントが実施され・・・」と書きましたが、実際にはベント機能が果たされなかったということです。ベントは原子炉の圧力上昇による冷却水注入困難などを解決するために、放射性物質を含む水蒸気を圧力抑制 プール(サプレッションチャンバー)から外に放出することです。2号機の建屋が無事だったのは、ベントが行われたためだと思っていましたが、そうではなく別の場所から大量の放射性物質を含む水蒸気が漏れ出したということです。
 2号機について調べ直してみると、政府の事故調査・検証委員会の報告書も、国会の事故調査委員会の報告書も、ベント機能が果たされることはなかったと考えていますが、原子力安全・保安院の報告書では、ドライウェル(原子炉格納容器)ベントが起きた可能性を指摘していました。
 検証番組では、放射性物質の大量放出を防ぐための“最終手段”と位置づけられている「ベント」の思わぬ落とし穴も明らかにされました。圧力抑制 プール(サプチャン)内の水温が上昇すると、放射性物質を含んだ水蒸気が水に戻らずに、大半がそのまま放出してしまうということです。このように福島第一原発は、いくつもの機能不全をおこして、おびただしい量の放射能をまき散らすことになったのです。
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2014年3月13日木曜日

原発と東日本大震災と放射能汚染

 今日、3・11東日本大震災から3年目をむかえました。
 私は、世界の貧困や戦争の問題を正面から取り上げているフォトジャーナリズム誌「DAYS JAPAN」の2011年1月号(2010年12月発行)の「浜岡原発 爆発は防げるか」を読んで、地震と津波によって原子力発電所に臨界事故(メルトダウン)が起きることを知り、警鐘を鳴らす必要を感じ、ブログに記事を書きました。
http://s-mituru.blog.so-net.ne.jp/2010-12-21
そして、2011年3月11日の東日本大震災によって恐れていたことが現実になってしまいました。福島第一原発は、電源喪失により原子炉の冷却が不能に陥り、翌日(12日)、1号機が水素爆発を起こし、14日には3号機、15日には4号機の原子炉建屋が爆発しました。建屋が爆発しなかった2号機でも14日の夜には炉心溶融が始まり、15日の午前0時2分にベントが実施され、6時14分に圧力制御室付近で爆発音がありました。大気中に放出された放射性物質は福島県内だけでなく関東地方にも降り注ぎましたが、政府はそのことの重大性を隠してきました。
 DAYS JAPAN 2012年6月号は、「隠される被ばくに立ち向かう」を特集しました。ETV特集「ネットワークでつくられる放射能汚染地図5」に関わったディレスターの手記、チェルノブイリ事故後の子どもたちの病と向き合ってきたベラルーシの母親からのメッセージ「わが子が甲状腺がんを宣告された日」、原爆被爆者の治療を続けてきた肥田舜太郎さんのインタビュー(聞き手・おしどりマコさん)などを掲載し、放射性物質の飛散情報が隠されていたために、半減期が8日と短いヨウ素131による被ばくの実態が把握されていない問題と危険な内部被ばくへの注意を喚起しました。
DAYS2011-12&2012-6.JPG 福島第一原発事故は現在進行中です。メルトダウンした核燃料は放射能を出し続け、核燃料棒もまた崩壊しそうな原子炉建屋のプールにあるのです。原発の再稼働をすすめる政府に対して、多くの国民が抗議の声を上げ、全国各地にある原発の廃炉を求め行動しています。放射能汚染をこれ以上広げないためには、廃炉しか道はありません。

2014年3月2日日曜日

真実から目をそらす情報操作 ~映画「フェア・ゲーム」

 少し前の映画ですが「フェア・ゲーム」(製作2010年)をDVDで観ました。イラク戦争の「大義」とされたイラクの大量破壊兵器=核兵器開発の情報への疑惑(核開発計画はなかったこと)をイラク戦争開戦前に調査して明らかにしていたCIA秘密諜報員のヴァレリー・プレイム・ウィルソン(ナオミ・ワッツ)とその夫で元大使のジョー・ウィルソン(ショーン・ペン)が、ホワイトハウスの不正とたたかいます。
 これは実際にアメリカをゆるがした“プレイム事件”を映画化したものです。ヴァレリーには2人の幼い子どもがあり、CIAエージェントとしての激務をかかえながらも、夫の協力を得て家庭を大切にして生活していました。しかし、2003年3月にイラク戦争が始まり、イラクの核開発についての情報がねつ造されたことをジョーがニューヨークタイムズ紙に投稿すると、その妻であるヴァレリーがCIA秘密諜報員であることを暴露されるといった合衆国政府からの報復を受け、見知らぬ人からの脅迫電話などによって平穏な家庭生活を壊されていきます。ホワイトハウスは誤った核開発情報によってイラク戦争をミスリードし、その疑惑から国民の目をそらすために、ヴァレリーをマスコミの餌食にしたのです。
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 アメリカの国家権力の中枢による不正を告発し、それとたたかったヴァレリーとジョーの苦闘を描いた作品がこのように映画化されたことに私は驚き、ダグ・リーマン監督とスタッフに尊敬の念を抱きました。
 DVDには、特典映像のなかにインタビューがあり、ナオミ・ワッツとダグ・リーマン監督の次に、「ヴァレリー・プレイム×ジョー・ウィルソン」が収録されており、真実を曲げずにたたかった2人の想いが語られています。
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2014年2月11日火曜日

戦争と芸術 ~藤田嗣治の半生~

 今日(2月11日)、民教協スペシャル「嗣治からの手紙 ~画家はなぜ戦争を描いたのか~」を観ました。http://www.minkyo.or.jp/01/2014/01/28_1.html
 民教協は、民間放送教育協会の略称で、放送を通じて教育の機会均等と振興に寄与することを目的として1967年設立され、それぞれの地域を代表する全国34の民間放送局で組織されています。
 藤田嗣治は、1913年(大正2年)フランスに渡り、ピカソやモディリアーニら各国の若い画家との交流で刺激を受け、乳白色のマチエール(絵肌)と独特の線描で、パリの寵児に上りつめました。第2次世界大戦が始まると、日本へ帰国。美術による戦意高揚を図った日本軍の方針に従い、従軍画家として戦地を訪れ、戦闘場面などを生々しく描写した「戦争画」を精力的に描きました。しかし、敗戦後、藤田は「戦争協力者」として非難を浴びせられ、失意の中、日本を離れフランスへ戻り、以後、日本には帰りませんでした。

 藤田嗣治氏は、従軍画家という立場で、戦場のリアリズムを芸術作品として描きました。パリの寵児と呼ばれていた時代と当然画風が変わりますが、彼が日本の戦争を美化するとか、戦況の悪化を隠すとかいうことを考えていたわけではありません。アッツ島玉砕の画は、そのことを物語っています。番組のナレーションでは「画は祈りの対象だった。その祈りは戦意高揚と敵がい心に姿を変え、人々を戦いに駆りたてた」とありましたが、戦地の地獄絵さえも利用する軍部の狡猾さを思わずにはいられません。
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 ナチスのヒトラーは、新しいドイツを実現するために「アーリア人至上主義」「反ユダヤ主義」を体現する純正ドイツ芸術を民衆に推奨しました。アドルフ・ツィーグラーがドイツ精神を代表する画家としてもてはやされ、ナチス政権下の帝国造形美術院の指導者となりました。音楽においては、ジャズが徹底的に弾圧され、ヒトラーの意向を取り入れて演出されたオペラを上演する音楽祭がたびたび催されました。こうした芸術政策は、ナチスによる扇動を目的としたものですが、ヒトラー自身が印象派以降の美術を理解していなかったという側面も指摘されています。
 日本軍国主義とナチズムには共通点もありますが、従軍画家を利用した日本の軍部には、芸術を意識的にファシズムのために動員したヒトラーほどの周到さはなかったと思います。またその必要もなかったのです。絶対主義的天皇制が国民を抑えつけ、「大東亜共栄圏」思想で戦争を正当化することに(国内だけだったが)成功していたからです。
 「戦争と芸術」は、いろいろな角度から論じられることがありますが、芸術作品の評価は、それが技術的にすぐれているとか、人の心を引きつけるとかいうことに終わらずに、命の尊さや平和への希求ということが土台にあるかどうか、ひとつ考えに入れてみたいものです。

2014年2月2日日曜日

東京都知事選挙と「さよなら、籾井会長!」NHK前抗議アクション

 今日(2月1日)は、午後2時から新宿駅西口で開かれた、東京都知事候補・宇都宮けんじさんの街頭演説を聴きに行き、夕方6時からは、「さよなら、籾井会長!」NHK本局前抗議アクションに参加しました。
 宇都宮けんじさんの政策は、どれもすぐれていますが、安倍政権下で「戦争する国」づくりがすすめられるなかにおいて、「アジアに平和と核廃絶を発信するまち東京をつくります」の政策は、いま大きな注目を浴びています。
 その内容は、①東京からアジアに平和と核廃絶を発信します。アジアの諸都市と連携し、地域の平和をめざします。○東京、北京、ソウルの3都市を結んで、平和と環境の国際会議を都民参加で開催します。○東京、北京、ソウル3都市とASEAN10カ国の首都との交流を通じて、武力によらない紛争解決の規範づくりをめざします。○東京から核兵器のない世界を発信します。全世界で5860都市の首長が加盟している平和首長会議に東京都知事として加盟します。
 ② 靖国参拝、集団的自衛権などアジア諸国の対立を煽る安倍政権の政治を東京から変えます。○特定秘密保護法の廃止をめざし、「知る権利」のモデルとなる東京をつくります。○安倍首相の靖国参拝に抗議し、「戦争の記憶」を風化させず、次の世代に受け継ぐための取り組みを市民の力ですすめます。東京都の平和関係予算を拡充し、「東京平和プロジェクト」を立ちあげます。
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 ③基地のない平和のまち東京をつくります。平和の日本をつくるためのイニシアティブをとります。○地元自治体、住民の同意もないままの普天間基地の辺野古移転、横田基地へのオスプレイ配備には、自治を侵害する行為として、政府に、ただちにやめるよう申し入れます。他の自治体とも連携して米軍基地の撤去、米軍艦船の配備・寄港の停止に向け、努力します。○地元住民に対する騒音等の被害の深刻な橫田基地の即時返還を、アメリカ政府に求めるよう、政府に強く要求します。
 宇都宮けんじさんの平和憲法を生かした都政への熱意が感じられます。

 NHK籾井会長が就任会見に際して「従軍慰安婦は戦争地域にはどこにでもあった」「(国際放送では)政府が右ということを左というわけにいかない」と発言し、公共放送のトップが、日本軍がつくった「慰安婦」制度を免罪し、政府方針に忠実な「国営放送」化へ導いたことへの批判と怒りが巻き起こっています。日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の呼びかけで、2月1日の18時から緊急のNHK本局前抗議アクションが行われました。wam(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」)館長の池田恵理子さん、「慰安婦」問題とジェンダー平等ゼミナールの吉川春子さんらが、籾井会長の事実の歪曲がひどいこと、2000年の女性国際戦犯法廷を取り上げたNHKの番組改ざん事件を引き起こした安倍晋三(当時内閣官房副長官)の政治介入の問題、安倍首相の靖国参拝や特定秘密保護法の制定を政府見解のまま無批判に報道するなど、権力から自立し、「中立・公正のNHK」という存在が失われてしまうと述べ、抗議の声を上げました。集まった、約100人の参加者は、みんなで「籾井会長はただちに辞任せよ!」「公共放送を守れ!」「NHK職員がんばれ!」「安倍首相は責任をとれ!」とNHKにむけてシュプレヒコールをしました。
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2014年1月26日日曜日

「新しい東京を、始めよう」と映画「ひまわり」

 昨日(1月25日)は、東京都知事候補・宇都宮けんじさんの応援で、午後2時からの街頭演説(池袋駅東口)に候補者ビラを撒きながら参加し、そのあと銀座数寄屋橋交差点での対話形式のトーク演説、銀座4丁目交差点から歩行者天国での候補者ウォーク(練り歩きともいう)にも参加しました。宇都宮けんじさんは、都の予算を大型開発優先から福祉・保育優先に変えていくこと、東電・福島原発の最大の電力消費地であった東京が被害者救済のためにできる限りの支援をしていくこと、安倍政権による「戦争する国づくり」に反対し、平和憲法の精神を生かして東京・ソウル・北京の市長会議を開催することなどを訴え、多くの聴衆から声援を受けました。
 私は、そのあと午後7時から、赤羽会館で開かれた映画「ひまわり ~沖縄は忘れない あの日の空を~」上映会に行き、去年から観たいと思っていたこの映画を鑑賞しました。この映画は、以前、私のブログでも記事を書いた、沖縄県石川市(今のうるま市)の宮森小学校に米軍のジェット戦闘機が墜落・炎上して、学童11名、住民6名がなくなり、重軽傷者210名を出す大惨事(1959年6月30日)を取り上げたもので、若者が沖縄の基地問題を学び、ジェット機墜落事件の被害者・遺族の心の痛みを聞き取り、Peace Sky コンサートを企画していくというストーリーです。監督は及川善弘さん、企画・制作は「アンダンテ 稲の旋律」の桂壮三郎さんで、出演は、長塚京三さん、須賀健太さん、能年玲奈さん、福田沙紀さんなど充実した配役です。
 上映会のあとは、宇都宮けんじさんを迎えて、希望のまち北区勝手連のキックオフ集会が開かれ、自民党・安倍政権による辺野古基地建設に「ノー」を突きつけた名護市長選挙の勝利に東京も続いていこうと決意を固め合いました。
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