2012年9月22日土曜日

財界本位・アメリカ追従の政治勢力による改憲に断固反対

boox_bk-4761706848.jpg いま、一部の大企業だけが儲けを蓄えて、勤労者のほとんどが所得を減らし、貧困が拡大しています。自民党、民主党などの改憲勢力は、不安と不満を強める 国民を「決められる政治」という言葉で弄しながら、消費税増税と社会保障改革(改悪)を強行し、閉塞感を打開しようとしています。しかし、こうした政策の 行き着く先は、さらなる貧困の拡大と不況・失業の増大であることは火を見るよりも明らかです。
 私は、改憲を主張する政治勢力が「集団的自衛権の行使」を強く求めていること、それによって自衛隊がアメリカの戦争に加わり人殺しの武器を使用すること が起こりうると心配しています。憲法九条は、自衛隊が戦闘行為に加わることを許していません。しかしこれまでも、自衛隊をアフガニスタン戦争の後方支援と してインド洋に派遣したり、イラク戦争では自衛隊が多国籍軍の武装兵員を輸送するなど、憲法違反が行われてきました。軍事費を日本に肩代わりさせたいアメ リカと、武器産業で利益を得ようとする財界の要求が、改憲勢力を後押ししています。
 今年8月に学習の友社から出版された『改憲をめぐる新たな情勢と憲法を生かすたたかい- 憲法問題学習資料集[4]』を読んで、改憲をめぐる現状と課題、運動の展望が見えてきましたので紹介します。
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『改憲をめぐる新たな情勢と憲法を生かすたたかい- 憲法問題学習資料集[4]』
   憲法会議・労働者教育協会/編 (学習の友社、2012年)

 本書は題名どおり「資料集」ですが、冒頭で憲法会議・代表幹事の川村俊夫さんが解説を書かれています。私なりに短く要点をまとめました。
◆2007年5月、安倍内閣のもとで改憲手続法(日本国憲法の改正手続に関する法律)が強行成立したが、参院憲法審査会規程が整わずに始動できずにいた。 2011年10月、野田首相のもとで衆参の憲法審査会に息が吹き込まれた。◆2007年7月の参院選挙での自民党惨敗で小泉内閣以来の構造改革路線と「戦 後政治のレジームからの脱却」を掲げた改憲路線に国民が「ノー」をつきつけた。2009年総選挙で政権交代した民主党政権は、発足当初の国民の声に応える 政策は息を潜め、「構造改革」、日米同盟強化の道に踏み込み、「自民党以上に自民党的なやり方」で行き詰まりを乗り切ろうとしていること。◆憲法審査会発 足を機に、今年4月には自民党が「日本国憲法改正草案」を発表し、みんなの党、たちあがれ日本も改憲の基本構想を示し、民主党は党憲法調査会の活動を開始 した。さらに、民主、自民、公明、みんな、たちあがれ日本などの議員たちが「新憲法制定議員連盟」の動きを強めている。◆これらの改憲論がいずれも時代逆 行的な内容であり、それは、戦後日本の支配者たちが明治憲法の思想を克服していないこと、アメリカが日本を「反共の防波堤」にする政策のもとで、警察予備 隊を発足させ、公務員の労働基本権を剥奪するなど、日本国憲法に反する占領政策を率先して実行してきたことに通じている。近代立憲主義のもとでは憲法は権 力者に対する国民からの命令文書であるにもかかわらず、自民党の改憲案は「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」とし憲法を国民支配の道具にし ようとしている。◆自民党、みんなの党、たちあがれ日本の改憲案・改憲構想は、共通して天皇は「象徴」であると同時に「元首」であるとし、国民の主権者意 識を縮減する道具にしようとしている。◆9条について自民党案では、「自衛権の発動」による武力行使を許し、「国防軍」をもつことや軍事機密を守る法律の 制定などを盛り込んでいる。国民の基本的人権についても「自由及び権利には責任及び義務が伴う」ことを強調。いずれの案・構想も、大規模災害や有事の際に 内閣総理大臣に「緊急事態の宣言」・政令の制定・財政措置を認め、国民にその指示に従うことを義務づけるとしている。◆背景にあるのは、財界とアメリカの 強い圧力であること。野田内閣は、普天間基地の辺野古移転を画策しつづけ、武器輸出や他国との共同開発を可能にするために武器輸出三原則の形骸化を進めて いる。◆財界はその要求を国民に押し付けるために、比例代表議席を全廃し、圧倒的に第一党が有利になる単純小選挙区制の採用によって保守「二大政党」の実 現を求め続けていること。くわえて、民主、自民が失った国民の支持をとりこんで、より反動的な政治を実現しようと橋下徹大阪市長が率いる「維新の会」が国 政への進出をねらっていること、その手法は思想の自由を無視した処罰の脅しで職員を服従させる職員基本条例や、教育に行政が公然と介入し競争をあおる教育 基本条例など、憲法の基本原則を根本から無視したファッショ的なものである。◆最後に、基地被害に苦しむ沖縄県民、福島第一原発事故の被災者と放射能汚染 に苦悩する人々など、困難な状況を主権者として打開するために、かつてない広がりをもった共同の輪がつくられていること、「九条の会」が全国各地につくら れ、学習会や講演会、署名活動、街頭での宣伝行動などを日常的に行っていること、国会では改憲を支持する勢力が2/3を超えながら、具体的に改憲に着手で きないのは、草の根におけるこうした国民の団結があるため。日本国憲法の先駆性・先進性への確信をさらに多くに人々に広げるなら、それは新しい日本を実現 する道につながる。

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